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【S04:COLUMN】J-POPとの邂逅

30を超えて邦楽を聴き始めた。

J-POP=セルアウトという偏見があったのだが、偶々くるりを聴いたところ良質なインディーロックを鳴らしており印象が一新された。鉱脈を見つけた気分である。

手始めにとディスクガイドの上から順にdigしている。その流れで椎名林檎に辿り着いた。

デビュー当時の林檎は異端として扱われていたと傍目に記憶している。

今になって1stを聴いてみるとキャバレー音楽調のアレンジと寺山修司的な詩作、なるほどオルタナティブな音楽性である。

女子高生だった林檎はNUMBER GIRLのライブに出入りしていたそうで、あの歪んだギターワークの由来だろう。水商売を題材にする一方でガーリーな格好をするところはCourtney Loveを連想した。総じて90年代ギターロックの文脈にあるのだと思う。

林檎の音楽はメインストリームから外れた聴きづらさを持つ一方で描き出す世界観はリアルで自分と地続きに感じられる。

上京少女は歌舞伎町の女王を夢見るし、丸の内はサディスティックに新卒を苛む。それはプロデュースありきのアイドルとは違った同時代性を持つ。

歌い手と聴き手が同じ世界に生きると感じられること、これこそがポピュラーミュージックということではなかろうか。

2ndは何故かデジロックに振れるのだがこれも名盤である。Garbageぽい。

最近この発見を友人に吹聴して回ると呆れたように笑って返される。

「中学の頃から知ってたわ」

text:トマトケチャップ皇帝/This Charming Man  illustration:Kei

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