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【2211:編集後記】正しさのその先で

まえがき

2022年も、残すところ、あと1か月!

現行のフリーペーパーも、MOOK本も、あと一つ。

感慨深いものがあります><

REASNOT第一章の最後に相応しいものを用意しておりますので、楽しみにしていてください。


さらに、ネットショップをリニューアルしました!新MOOK本やフォトカードブックの情報を追加しています。ぜひチェックしてください。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

Record.27 いくまろ

いくまろさんと知り合ったのは、2020年2月4日。下北沢BREATHさんのブッキングライブイベントへ出演した日でした。

私はピアノ弾き語りで、彼はロックバンドとしての対バンでした。

当時、彼がやっていたバンドの演奏がとてもカッコ良かったので、取材依頼をしました。

取材が実現したのは20年3月。最初の緊急事態宣言の直前でした。

あれから色んなことがありました。

取材をした渋谷のカフェは、学生時代からよく通っていたのですが、コロナ禍による客足減少を理由に閉店してしまいました。

いくまろさんも仕事の都合でご実家に帰られて、バンド解散して、新しいユニット組んで、と大変そうなところをTwitterで拝見していました。

そのなかでも彼はメッセージをくださいました。
全部はここに書けませんが、つまるところ「状況も何もかも変わってしまってますが、僕があのとき話したことに偽りはありません」という内容です。

カッコいいなと、思いましたね。

 *

正直なところ、私は、取材で聞いたお話の継続性には、重きを置いていません。私自身、十数年前には「シンガーソングライターとして成功してみせます」的なことを言っていて、不義理をしたうえに消えたものの、こうしてほぼ同じ場所に、別の形で戻ってきています。

若さというのは素晴らしく、愛しくも残酷なもので。
時の流れは美しく、優しくも無情なもので。

人の思いも、世の中も、何一つ留まってはくれません。

「将来の夢は消防士さん!」と言っていた4歳の男の子が、小学校に入ったら「野球選手になりたい」、中学校に上がったら「ロックバンドで売れてやる」と言い出すかもしれない。

でも高校生になったら、不登校になって、退学して、鬱になってしまうかもしれない。

でも立ち直って就職して、結婚して子どもが生まれるかもしれない。

起業して、破産して、離婚するかもしれない。

また立ち直って再婚して、奥さんの連れ子を育てて、いいお父さんになるかもしれない。

どの選択も自由で、可能性は無限にあり、素晴らしいと思うのです。

 *

私がやりたいこと、やるべきだと思っていることは、今ここにある夢と好きを記録することです。それがいつか失われるとしても。

たとえ明日、一週間後、一年後、十年後には、本人すら「間違っていた」「価値がなかった」と語ってしまうとしても、確かに今ここには輝く夢と好きがあったんだと、刻んでおきたいのです。

だけどね。

できれば、夢や好きの価値は永遠であってほしい。たとえ別の輝きを見つけても、他の道を選んでも、「あれはあれでよかった」と誇っていたい。

私は十数年前にああいう活動をしていてよかったし、ぶちかました数々の失礼も勉強になったし、おかげさまで今があって、全ての時間を無駄だと思ったことはありません。

できれば、他にもそういう人がいてくれると嬉しい。

だから、いくまろさんからメッセージをいただいたときは感激しましたし、さらに時間をおいて再始動されたことは喜ばしかったですし、「新しい活動をまた取材してください!」とご連絡いただいたときは、一も二もなく予定を組みました。

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