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【N13】ふと目にしたきっかけで#テレビドラマ感想文

珍しくテレビドラマを見ていたので、このお題に挑戦してみます!好き勝手書いていますが、個人の感想ということで、どうぞお許しください。

※以下、ドラマ&原作のネタバレを大いに含みます。

月:イチケイのカラス [個人的ヒット度 ★★★☆☆]

序盤は文句なしに面白かったです。特に、草刈民代演じる日高亜紀が表舞台を去ったお話は、前後編だけあって見ごたえがありました。

『上』という不確かな権力に正義で対抗しようとする主人公たちという図式以上に、『人は傷つけない』という信念をもって空き巣をしている犯人の美学に訴え、解決に持っていく部分が痛快でした。

「この事件は主人公の過去にも関わるし、最終回にもってくればよかったのでは?」と思いました。


とても面白かったので、このタイミングで原作漫画を読みました。

全四巻と手に取りやすい長さで、堅実にまとめられた良作でした。著者がよく勉強しているのが伝わってきて、味わい深かったです。

ただ、華がありません。絵も設定も話もすべてが地味でした。


その点、ドラマはがんばっていたと思います。

もっとも大きなポイントは、原作の主人公である男性・坂間真平が、ドラマではヒロインの女性・坂間千鶴に翻案されていること。これは非常に合理的な判断だと感じました。

坂間真平は良いキャラですが、単独では魅力が薄い。堅物の彼が、一癖も二癖もある入間みちおと関わって成長していくのが面白いわけで。坂間をヒロインにしてしまえば、画面も華やいで一石二鳥ですよね。


原作には明確なヒロインがいません。しいて言えば一ノ瀬糸子なのでしょうが、事務官という役職上、どうしても存在感が弱いです。

いっそ糸子を主役にして、坂間と入間の日常を観察しつつ「ふたりともカッコいい~どっちも好き~迷っちゃう~」みたいな三角関係を描く、という手法もアリだったかな。それはそれで、月9らしいノリになったかも。しかしキャラ崩壊はなはだしい&主題そこなの?感はすごかっただろうなぁ。


また、原作の「ポチャかわマスコット系男子」である入間みちおを、「髭の似合う大人っぽいイケメンだけど中身は変人」とキャラクター変更したのもよかったですね。原作のみちおの魅力は漫画ならではのもので、あれを現実に落とし込める役者は思いつきません。

みちおのよさを生かしつつも、月9の主人公らしく、竹ノ内豊にとってのハマリ役になっていて、素晴らしいキャラクター変更でした。

他、事務官の面々も含め、キャラクター造形や舞台設定は、原作の良さを生かしつつ、エンターテイメントに仕上げているなと感じました。


しかし、ストーリーの根幹たる事件の翻案は微妙でしたね。

なんというかこう…万引き事件の「娘が解決の糸口になる」とか、要素だけ使っているんですよね。原作では裁判員裁判をするはずの事件の要素も、ドラマでは他事件に使って、別事件を裁判員裁判にしたり。

それがすごくあざといというか…。無駄に事件のスケールが大きくなっていたのとあわせて、個人的には演出過多に感じ、残念でした。

みちおの「職権を発動します」ってセリフも、最初は物珍しいし竹野内豊の演技も相まってカッコよかったんですが、だんだんと「毎回こうやって引っ掻き回されたら、一緒に仕事する人はしんどいだろうな…。そりゃ疎まれるよな…」って気持ちが出てきちゃいました。。

なので個人的には、前述の日高さんのお話がピークでした。そこまで見てしまった&原作も読んでしまったので、最後まで追いましたが。

キャラクターの改変、キャスティング、舞台設定で十分エンターテイメントになったのだから、あとは原作を踏襲して、堅実なストーリーを展開してほしかったなと思います。


やっぱり日高さんのお話を最終回にもってきて、他はもうちょっと身近な事件を、シンプルに、ほっこり描いてくれたらよかったのになぁ。

とはいえ、普通に面白いドラマでした。

火:着飾る恋には理由があって [★★★☆☆]

横浜流星かっこいい!!!!!!!!!
川口春奈かわいい!!!!!!!!!!

……現場からは以上です。

うそです。ちゃんと書きます。笑


でも、正直、最初の二行が感想のほとんどを占めています。元々、横浜流星と向井理が好きなので、それだけの理由で見始めて、川口春奈のかわいさにも気づいてしまった……って感じの三ヶ月でした。

舞台設定のキラキラ感は、前職の雰囲気を思い出せて楽しかったです。港区あたりのスタートアップとかメディアとか、あんな感じですよね。


ストーリーは……前半は、よかったです。キュンが溢れてました。なんといってもイケメンと美女だし。癒されまくりました。温泉回は特に好き。

しかし、後半は、うーん。

ふたりがくっついたあたりから、「相性悪くない?」って感じ始めて。川口春奈演じる真柴くるみが仕事で追い詰められた時、横浜流星演じる藤野駿が「逃げるな」って言ったのが、個人的には無理でした。。

誰だって逃げたいときはあるもの。近しい人にいったん受け入れられたいというのは自然なことであって。「ここで『逃げて良いよ』と言いたくない」ってポリシーだとしても、黙って聞いてあげるくらいはいいと思うんだ。

まぁ彼も余裕ない状況って描写なので、理解はするのですが。。

まぁ向井理演じるシャチで、バランス取ってるとは分かるのですが。


そこから最終話の流れ、個人的には、うーん。。のままでした。

「自分が逃げて後悔したから、君には後悔してほしくない」っていうのはわかる。わかるけど、あなたと彼女は別の人間だからね?!

人生は数学じゃないんだから、同じ問題でも答えはひとつじゃない。あなたにとってはAが正解でも、彼女にとってはBが正解かもしれない。なんやかやあって上手くいった感でてるけど、下手したら彼女の心を壊す決定打があなたになりかねないよ?!……って、思っちゃった。

それに、フードトラックで全国を回るのって楽しそうだけど、ちゃんと稼げるのかしら。。共働きだし理解あるからいいんだろうけど、子育てもろくに手伝えないでしょう。。。くるみは頑張り屋だからいいんだろうけど、子どもは大きくなってからどう思うんだろう。。。。

5年後、10年後、幸せな家族像があんまり見えませんでした。

劇中のくるみと駿が20代前半なら、まだ納得しやすかったかも。ふたりとも24歳くらい(駿は専門卒ですぐ彼女の父に乗せられて開業→挫折した設定)で、5年間お互いフードトラックとバイヤーがんばって、29歳くらいで駿はもう一度、今度は自分の力で固定店舗を開いて、くるみもバイヤーとして軌道に乗ったタイミングで結婚しました、みたいな結末なら。


ただ、それを補って余りあるくらい、はるちゃんカップルはよかったです。

前半は、羽瀬さんがアーティスト志望こじらせすぎてて辛かったんだけど、中盤以降のはるちゃんが素晴らしくて。特に、最後の流れは美しかったですね。捨てると決めたら手伝って、でも実は回収しておいて、っていう。それは幸せ家族計画見えるわ!って思いました。

おかげでストーリー満足度はプラマイゼロに落ち着きました!

普通に面白いドラマでした。

木:レンアイ漫画家 [★★★★☆]

鈴木亮平演じる刈部 清一郎が、不器用だけどひたむきでかっこよくて。吉岡里帆演じる久遠あいこが、清楚でけなげでかわいくて。

恋愛面だけでなく、天才的なアーティストが虚構と現実のバランスをどのように保つのか、というテーマを真摯に描いていてよかったです。

脇役も味があってよかった。刈部まりあを尊敬して大事にしようとする向後さん、金城先生。レンくんは子どもらしくて癒される。カフェのお兄さんも、あいこのお姉さんもいいキャラしてた。

最終回まで見て、よさが二倍になった作品でした。


わりと素直に感動したので、最終回後に原作を全巻借りてきました。

しかし、正直に申し上げて、がっかりしました。

私がドラマを見て「いい」と思った部分が、何一つなかったから。


キャラクター設定とか、ストーリー全体の流れとか、たしかに大枠は同じなんだけど、中身がぜんっぜん違う。

刈部(原作では下の名前が違う)は、漫画家としては凄いのかもしれないけどその他の部分は全部破綻してる異常者だし。あいこは頭の悪い残念な女だし。レンくん可愛げゼロだし。向後さんは非常識で自己愛のかたまりだし。

何故あいこがレンくんのために動くのか分からないし、無思慮な惚れっぽさを「お前は愛に溢れてるんだから早く結婚しろ」で片付けるお姉さんも謎だし、それで刈部さん勧めるのも謎だし、ふたりがくっつくのも謎。

ごめんなさい、私には謎しかなかった!!

私には、この原作のよさは、さっぱり分かりませんでした。


ここまで大胆に原作を組み替えて、こんな素敵なドラマに仕上げた方々は、本当にすごいと思いました。

主題歌も好きです。『カタワレ』。ドラマの脚本を全部読んでから作ったのかな……めっちゃはまります。すきです。


機会があれば、もう一回、最初から最後まで通して見たいです。

土:コントが始まる [★★★★★]

今期……っていうかここ10年見たテレビドラマの中で一番よかったです。

ストーリー、キャラクター、その他もろもろ、文句のつけようがない!

ドラマの最初から最後まで、一分一秒の無駄もなく、きっちり魅せてくれる脚本と映像でした。素晴らしい。


男性主人公・春斗は、仲間たちと「お笑い芸人」という夢を追って、最高の青春を過ごしたけれど、思い描いたような成功は得られなくて。

女性主人公・里穂子は平凡なりに幸せを掴もうとしていたけれど、恋愛でも仕事でも裏切られて、ボロボロで。

彼らの出会いが、ともすれば「無意味な失敗」と呼んでしまったであろう日々を、意義ある過去に変えるというのが、泣ける。

ゆえに未来へ歩いて行ける、超泣ける。

常々「たった一つの事実に対し、真実は無限に存在する」と考えている私にとって、「そうだよそれだよ」な展開が目白押しでした。


役者陣の自然な演技も素晴らしい。元々、神木隆之介と菅田将暉は大好きですが、もっと好きになりました。

女性陣は妹ちゃん、古川琴音の演技力が光ってましたね。はじめて知った役者さんですが、難しい役どころを可愛く演じていて胸打たれました。

何気ないシーンを、しっかり時間をかけて見せてくれる構成も最高でした。リアルな彼らを見てる気分だった。


とにかく全体的に素晴らしすぎて言うことがないです。

みんな見るべき。

あいみょんの『愛を知るまでは』もよきです。


毎週土曜日が楽しみでした!

制作に関わった皆さま、素敵な作品をありがとうございました。

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長くなってしまい、申し訳ありません。感想書くのって楽しいですね。またいつか書こうかな。

ここまでお付き合いいただいて、ありがとうございました!

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