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【S02:STORY】ハッピーになりたい時は、ボラカイJAPANのライブへGO!

vo.MentoS、vo.Juliy、gt.Akira、key.Yuri、per.金剛力士像の5人で活動しているボラカイJAPAN(ジャパン)。彼らのルーツを知るべく、JuliyとAkiraに話を聞いた。

南国リゾートのような音楽を

ボラカイ島は、フィリピンの首都・マニラから300㎞ほど南東の海に浮かぶ小島である。見渡す限りの白い砂浜、透き通った青い空、陽光を受けて輝く海は息をのむほど美しい。

バンド名にこの島の名前を冠する理由を訊くと、ギターのAkiraは「結成当時、メインボーカルのMentoSがボラカイ島にハマってて、よく観光に行ってたんです。インスタグラムで写真を見たら、本当に雰囲気がいい場所で。とりわけ夕陽が綺麗だなぁと、しっくりきたんですよね」と答えた。

「後半の『JAPAN』も、元はMentoSの口癖です。俺たちは曲を作る時も、何をするときも、全部フィーリングなんですよ。気持ちに響くものがいいものだろう、と思っているので。バンド名もそうでした」。

対バンをきっかけに集まった、個性豊かな仲間たち

ボラカイJAPANのメンバーは、全員、他のバンドや職業との兼任である。

MentoSは学生時代からHIP HOP MUSICグループ『水戸コンドリア』で活動。Juliyはロックバンド『theElpis』のボーカルを務めるとともに、アイドルグループ『おはよう!もきゅれーしょん』への作詞提供などを行っている。

同じく『theElpis』に所属するAkiraの本業はベーシストであり、高円寺にて3つのミュージックレストランを経営。Yuriと金剛力士像も、それぞれキーボードやパーカッションとして活躍中だ。

Juliyは、結成のきっかけをこう振り返る。「2017年の夏頃、theElpisと水戸コンドリアが対バンしました。その打ち上げで、水戸コンドリアのキーボードを弾いていたYuriと俺が『サーフミュージックをやりたいね』と意気投合したんです。彼女のおかげで、あれよという間に結成が実現しました」。
当初は助っ人として参加していた金剛力士像も、18年秋に晴れて正式メンバーとなった。

多忙な彼らが顔をそろえるのはライブ本番と、事前練習の一回のみ。全員が集まれない時も多い。しかしAkiraは「俺たちの音楽は、ライブをしながら作っているので」とこともなげに話す。

彼らの主な連絡手段はLINEだ。話題は音楽活動のことだけでなく、日常で見つけた面白い出来事はすぐに共有するという。

仲間から「スーパースター」「カリスマ」と評されるMentoS。他のメンバーより一回り若く、紅一点の華でもあるYuri。まるで父親のような穏やかさで全員をまとめる金剛力士像。

「みんなポジティブで個性豊かだから、LINEのやりとり、スタジオ練習、ライブ本番の全てが楽しい」とAkiraが言えば、Juliyも「とにかく面白い」と同意する。

「これまで色んなバンドで、色んなスタンスでの活動を経験してきました。ボラカイJAPANは、演奏する俺たちも、聞いてくれるお客さんも、肩の力を抜いて楽しめるバンドだと思います」。

高円寺から世界中の人々へ

彼らは、17年11月の結成ライブ以降、Akiraが経営する『JAPUB円蔵(ジャパブ・エンゾー)』を拠点として活動してきた。『和』をコンセプトとした立ち飲みライブバーには、外国籍の客も多数集う。人種と音楽のサラダボウルとも呼ぶべき店に、彼らの音楽は非常によく馴染む。

メロディアスなイントロから、即興でラップを始めるMentoS。絶妙なコーラスを重ね、時にはカズーやトランペットを吹き鳴らすJuliy。予測不能な展開を見せるギターとキーボード。全体に一本、芯を通すカホンのリズム。

全員の弾けるような笑顔が、音楽にかける誠意が、まっすぐに場を熱くする。彼らに「もっともっと!」と煽られたら、日常の何もかもを忘れてしまう。音楽に合わせて踊りたくなる。ハモりたくなる。どんな酒も美味く感じられ、「もう一杯いくか」という気分になる。

彼らの演奏を「歌詞が日本語だ」というだけでJ-POPの枠に収めてしまうのはもったいない。本質的な意味での『フリースタイル』と呼ぶべきだ。

今後の目標を聞くと、AkiraとJuliyは「ボラカイ島でライブがしたい!」と声を揃えた。「せっかくならフィリピン全体、いっそアジアを巡るツアーにしたいですね」。

昨年、現地へ足を運んだというJuliyは、彼の地の風土にすっかり魅せられ、早速人脈を築いたそうだ。もしツアーが実現したなら、彼らの音楽は言葉や文化の壁を越え、現地を沸かせること間違いなしだろう。

現在、ボラカイ島では、増えすぎた観光客による環境汚染が深刻化している。フィリピン政府は、18年4月から半年間、観光客の入域を制限する措置を取ったほどだ。対策の甲斐あって環境は回復しつつあるが、まだ完全とは言えない。

いつか、完全に復興した美しい海辺で、燦燦と輝く彼らの音楽を聴きたいものだ。

text:Momiji photos:Lin-ya Kanzaki casting:Smitch

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