心が動かなかった話

大抵のことは終わりがくれば、過程がどうであれなんとなく最後はプラスの感情が働くものだと思う。それは別にその人の意志が弱い、とかじゃなくて。確かにそこまでの努力が報われたと思えるようなラストだったのかもしれないし、そこまで頑張った自分を無駄にしたくないからそう思ってるのかもしれない。

どんなにやめてやろうと途中まで思っていたって、最後の最後でなんか詐欺みたいに良い思い出に塗り替えられて、それを続けてここまで来てしまったみたいなことはよくあることだと思う。

私にとってはそれが吹奏楽。

振り返ると今まで練習期間もずっと前向きな気持ちでいられてたのって中2の夏だけな気がする。それ以外は結局過程でいろんなことがあって、擦り減らして、でも最後の幻想みたいな解放感とか達成感とかに引きずられて、そうしてわたしは今日の今日までずっと吹奏楽を選んでいる。
自分でも何がしたいのかよくわからないなぁと思うし、振り返ってもやっぱやめとけばよかったって思うことの方が多いけど、その存在に救われてきたことも事実なので別に後悔してるかと言われるとそんなこともない。
長い時間を費やしてきたので、わたしの周りには吹奏楽のお陰で得られたものが多すぎる。

本番後のみんなの喧騒とか達成感とか、わたしはそういうのがなんだかんだ嫌いになれなくて、それでここまできた。

だから終わったあと1ミリも心が動かなかった演奏会は初めてだった。
本当に1ミリも動かなかった。何も思わなかった。予定ではもう少し動くはずだった。もっと頑張ればよかったって後悔したり、アンサンブルやってみてよかったなって思ったり、するはずだった。いつも通りに。
しんどいことがやっと終わった、よかった、とすら思わなかった。他人のソロとか出番に対しては思うところもあったけど、自分に対しては何も思わなかった。ホールに行くまでは嫌だなとか出たくないなとかそういう気持ちがあったけど、みんなの中に入った瞬間に全部なくなった。全部自分と関係ない出来事みたいだった。

確かに今回、他の人と比べて特別何かをしていたわけではない。でも別に、かといって全く何もしなかったかと言われたらそんなことはないと思う。毎回の練習にはちっとも間に合ってなかったけど、アンサンブルはせっかくだから頑張りたいなって思ってたし、文句言うなら自分も一定はやらなきゃなと思って練習時間外で個人練したりもした。もっと何もしてない演奏会だって今までたくさんあった。

でもダメだった。
なんか、はじめて本気でこれで終わりかなという気がしている。
自分の心を擦り減らすのも、それを誰かに聞いてもらって人に迷惑をかけるのも、疲れた。自分より大変な人がいるのになんでわたしはこんなに頑張れないんだろうって責めたり悩んだりするのをもうやりたくない。

好きじゃないと言いつつも、心のどこかでずっと大切にしていたものにそんな感情が湧いてきたのがさみしい。本当はわたしもみんなと頑張ってよかったね、楽しかったね、ってはしゃいでる中に交わりたい。自己矛盾甚だしいなと思いながらも、今回だって楽しいものとして終わりたかった。今までだったら思えていたことが思えなくなって、これからどうするのかなぁと他人事みたいに考えている。
演奏する場としてではなく、人との繋がりの場として大事な場所であることに変わりはなくて、今のわたしにとってなくしちゃいけないものなはずだし、きっとそれは間違い無いんだけど。
それでも今は、そこまでして留まらなきゃいけない場所なのかなって疑っている。




#吹奏楽 #ネガティブ

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