リーグオブレジェンド観戦ガイド~これから観戦を始める、もっと観戦が楽しみたいあなたへ~
1.はじめに
初めましてこんにちは、私はLoLのesportsシーン、日本の公式リーグであるLJL(League of Legends Japan League)の公式キャスターを務めているRecruitだ。
LoL、ひいてはMOBA,RTS系のジャンルは長年日本では日の目を浴びづらい環境だったのだが、世界的には非常に人気あるジャンルだ。その理由の一端には”観戦がおもしろい”という要素が存在し、毎年行われるWCSとよばれるLoLの世界大会では異常な盛り上がりを見せている。
最近はストリーマーの方々がLoLのイベントや配信などで日本のLoLを盛り上げてくださっていて感謝してもしきれないという現状だ。実際にそのおかげでアクティブユーザーも増えているようで今後もっと増えていくだろうという風に考える。
なので、そんな新規の方や、今まで観戦にあまり興味なかったよという方にぜひともこの記事を読んでもらって、LoLのゲーム観戦画面は複雑すぎてわからない。。。という状態を解消して、一緒に自分たちキャスターと観戦で盛り上がってほしい、という思いで筆を執っている。
また、記事後半では競技シーンを普段から見ている方にも益のある記事にしたいという事で、ワンポイントアドバイス的なものも入れている。
まだ初心者の方はそこをチェックする必要はないが、中級者以上の方は見てみるとより観戦が楽しめるようになるかもしれない。
では本編へと入っていく。
※追記
書いていてあまりにも長いなと思ったので各項の終わりにまとめを用意しておいた、それだけつまんでもよい。
2.観戦画面の説明(初心者向け)
a.画面割り当てについて
まず初心者が一番最初にぶち当たる問題、それは”プレイ画面と観戦画面が全く違う”ということだろう。この項では具体的にどこに何が書いてあるのか、そしてどのように見るのかを説明していこうと思う。
上が競技シーン等でよく見る画面だ、ゲーム画面にオーバーレイをのっけて華やかな見た目にしている。表示している情報も若干違ったりするが、基本は自分たちのクライアントでできる観戦画面を押さえておけば応用が利くので下の画面で解説していく。
①メインスコア(仮名称):
このゲームでどれだけキルやオブジェクトがとられているのかを示している場所、非常に重要な場所なので後ほど詳しく説明する。
②各キャラクターの詳細情報:
サモナースペルやRスキルの有無、現在レベルやヘルス、マナ状況等。
③キャラクター詳細欄:
キャラクター1体にフォーカスしたさらに細かい情報、各ステータスの数値やP,Q,W,E,Rの各スキルからサモナースペルのCDをすべて見ることができる。
④オブジェクトタイマー:
赤バフ、青バフ、ドラゴン、バロンといった強力なジャングルモンスターたちがあと何分で湧くのかを表示したもの
⑤ミニマップ:
読んで字のごとくサモリフのマップが小さくなって表示されている。アイコンでキャラクター達の位置が表示されており、サモリフを一望することができる場所。
⑥タイムコントロール:
観戦しているゲームの時間を進めたり戻したりできる。正直気にしなくていい。
⑦アイテム欄:
現在キャラクターたちが何を購入しているかが表示される場所。数字はCS数だったりキル数を現している。
上記7項目でざっと観戦画面についての説明は終了だ。正直呪文を書いてしまったと反省はしているが、ゲームをやっている、もしくは見ているうちにわかるようになるので、フーンそうなんだーと思って一旦おいておいてほしい。
補足だが、④のオブジェクトタイマーは競技シーンで見ると画面左上や右上に
このように表示が出る。見やすいので参考にしてみてほしい。
b.ゲームの勝ち負けはどうみるの?
じゃあ実際に何が書かれてあるかがわかったところで、肝心のゲームをどう見ればいいの?と思うだろう。
キャラクター数も圧倒的に多くゲーム性も複雑すぎるがゆえに、奥が深いのだが初心者を寄せ付けないでおなじみのLoL。当然観戦でも何をやってるのかわからないと思うのだが、こと競技シーンの観戦においては"わからないまま見ていい"というのが正解だ。
正直な話、160体以上のスキルを把握する、ゲームの展開を毎回違うキャラクター10体の組み合わせを見て予測できる。なんてのはゲームを1,2年見てからの話で、最初から覚えられるわけがないので心配しないでほしい。
しかし、わからないながらもゲームの状況整理を簡単にできるポイントがある。
これはいたって単純で"a.画面割り当て"で説明した①と⑦に秘密が隠されている。
まずは①の説明から、
ここはお互いのチームがどれだけのお金や状況有利を獲得しているかが書かれてある場所だ。具体的にどの数字が何に対応しているかを説明する。
①獲得したドラゴンの数
②獲得したバロンの数
③獲得したタワーの数
④自チームが所持している総ゴールド量
⑤キル数
⑥獲得したドラゴンの種類
⑦ゲーム時間
①~⑥はそれぞれのチームが獲得した有利の数になるので大雑把な覚え方にはなるが"ここの数字が多ければなんか知らんけど有利"と覚えておくといい。
特に総ゴールド量は大事な値だ。キャラクターの強さ比較はほとんどの場合でアイテム数の差で決まる(一部例外もあるがそんなものは後から覚えればよい)
アイテムはゴールドで買えるものである。と考えればゴールド量が一番大事なのは自明だ。
じゃあ⑦は何の意味があるのという話になってくるが、これは①~⑥までの数字がどれだけゲームに与える影響が大きいかを示す指標になっている。
回りくどい言い方をしたが、答えだけ言うと、
①,②,③,⑥は⑦の数字が大きければ大きいほど影響力が増し、④,⑤の数字は⑦の数字が小さければ小さいほど影響力が増す。
④,⑤に関してはゴールド量に関する数字になっている。増えれば増えるほど強いじゃないかと思うところだが、実はLoLには持てるアイテムが6個までという制限がある。すなわち、ゴールド量によるキャラクターの成長には頭打ちがあるという事だ。だから、ゲーム時間が延びて頭打ちのキャラクターが増えてくるとこの差が意味をなさなくなってくる。
逆に①,②,③,⑥はというと、味方のとれる陣地や戦略の幅がどれだけ広いかを現していたり、永続的なバフ効果の数を現した数字になっている。さらに全体で獲得できる量も限られていることから後半になるにつれ取り返しのつかない差になる。だからこそ後半に影響力が出てくるのだ。
こちらはa,画面割り当てで説明したアイテム欄を拡大したものだ。
大まかに分けると3つに分類される。
①CS数:ミニオンやジャングルモンスターをどれだけ倒したかを表す数
②K/D/A:この試合における各キャラクターのキル/デス/アシストの獲得量
③アイテム欄:各キャラクターの所持アイテムを表示したもの。
先ほど説明したa,画面割り当ての①で大雑把な有利不利を確認できるが、ここでは各レーン同士での比較など、どのキャラクターがどれだけ育っているのか、どれだけ差をつけているのかを細かく確認することができる。
CSやキル、アシストは取っていれば取っているだけお金がもらえるので個々の値が多ければ多いほどキャラクターが成長している。実際成長しているかどうかはアイテム欄の完成アイテムの数が指標になる。(ポーションや初期アイテム、ワードは含まない)
まとめると、
①画面上の数字が多い方のチームが有利!
②画面下のアイテムの数が多い方のキャラクターが強い!
と覚えましょう。
c.盛り上がる場所はどこ?
LoL観戦をしていると、どこが見どころなのかわからないし急に戦いが起こって気づけば終わってた、なんてのもよくある話だ。
これではせっかく状況の整理がついても見ていて楽しめない。
これについては序盤と中盤以降でパート分けして解説していく。
α.序盤の見どころ
これはいたってシンプル、ソロキルとガンクだ。
また呪文を詠唱してしまったが、ソロキルとは1vs1で相手を倒しきること、ガンクとはジャングルのプレイヤーがレーンに介入してレーン戦の邪魔をすることだ。
LoLでは勝つために相手より"いい状況"で戦うことが必須とされている。その"いい状況"の最たる例が人数差を作ることなのだが、ソロキルはそれ無しで相手を倒しているということ、すなわち通常では考えられない神プレイをしているという事だ。なので、ソロキルが起こった場合は狂喜乱舞で褒めたたえてほしい。
そして先ほどの説明からわかる通り、"いい状況"を作るための手段として真っ先に出てくるのがガンクだ。レーンで1vs1,2vs2しているところにジャングルが入ってくるわけだから強制的に2vs1,3vs2ができるわけだ。なのでガンクが入った場所は有利が取れる、ゲームが動いたという事になる。
まとめると、序盤はソロキル、ガンクの2点に注目しよう。特にガンクができるのは8割ジャングルなのでジャングルのプレイヤーをしっかり見ておくと追いつきやすいかもしれない。
β.中盤以降の見どころ
中盤から見るべきポイントはシンプル、集団戦だ。
このゲームは途中から4,5人で集まって全員で戦うフェイズがある。その5vs5のぶつかり合いのことを集団戦というのだが、お互いの必殺技が飛び交うので、LoLの観戦の中でも一番派手で華やかな瞬間といっていいだろう。
しかし、ボーッと見ていたらいつの間にか集団戦が終わっててドラゴンやってる…みたいなのもよくある話。でもずっと気を張って見ていると観戦を楽しむ、というより疲れてしまう。
いつ集団戦が始まるのか、これには明確な指標がある。
それは”オブジェクトをとるタイミング”だ。
オブジェクトとはタワーやドラゴン、バロンのことを指す。これは上でも説明した通りゲーム後半になるにつれて非常に大きな意味を持つ重要な存在。お互いのチームが簡単に手放すことはできないのだ。だからこそそれを奪うために戦いが起きる。
具体的にどの時間からというのは実は画面上に書いてある、それがここだ。
a.画面割り当てで説明した④のオブジェクトタイマーに答えが書いてある。
このタイマーが大体残り1:00あたりになってから画面を集中してみてもらいたい。そうすればお互いのチームがこのオブジェクトをとろうと草むらから仕掛けようとしたり作戦を練っているはずだ。そしてそれhが遂行されたときに集団戦が起きる。
まとめると、中盤以降は集団戦を見る!起きるタイミングはオブジェクト1:00前からのタイミング!となる。
3.初心者向け観戦ガイドのまとめ
いかがだっただろうか、今回はまだ始めたてでLoLがわからないという方やこれから観戦しようという方向けにLoLの観戦の仕方を解説した。
まだまだ奥の深いゲームなのでたったこれだけでは説明しきれはしないのだが、記事としては長くなりすぎているのでこのあたりで終えておく。
実際に複雑でわかりづらい内容はたくさんあるが、そこは我々実況解説が細かく説明するのでご心配なく。私たちと一緒にLoL観戦を楽しもう。
まとめだけさらっと見たいという人向けに
①状況判断は画面の上と下を見ろ。金がすべてのこの世界では金で勝ってるやつが正義だ。ここの数字が多い奴、アイテムを多く持ってるやつが優勝!
②見どころは集団戦!ドラゴンとかバロンとか1分前くらいからみんな準備してるから見逃すなよ~。
③でも序盤も大事、特にソロキルは神のように崇めよ。すげえええええええええ、うおおおおおおおおおおおおおとコメントを打て。
ここからは少しお気持ち
本当にストリーマーの方々がLoLを楽しんでプレイしてくださって広めてくださって感謝しかないです。なのに自分が何もしていなかったのが不甲斐なく、この機会に筆を執りました。これはLoLシーンにいる方ならだれでも抱いている感情だと思いますし、これからどんどん初心者向けのコンテンツや情報が増えていくと思います。ですのでよければストリーマーの方々が始めたこの機会に一緒にLoLをプレイ観戦してみませんか?LoLシーンは皆さんの参戦をお待ちしております。
また、この後はおまけとして既存プレイヤー向けに観戦ワンポイントを載せておく。もしLoLにはまってふと思い出したときにこの記事に戻ってきてもらえれば観戦体験がさらに向上するきっかけになるかもしれない。
4.中級者以上向けのおまけ
ここからは普段からLJLを見てる、LoLの競技シーンを見てる人に向けて、実際どういう視点でみたらより理解度が深まるか、より面白くなるかを掲載する。
a.序盤
まず序盤、これは上でも説明した話だがジャングルのルートを必ず確認してほしい。
ジャングルのクリープは一定周期でリポップし、それを効率よく狩らないとどんどん相手と差が離れていくというのはLoLをやっていれば誰もがわかる話だ。
つまり、何も起きなければフルクリアのルートが一番効率がいい、というわけだが、同じサモリフに違うキャラ、違う性格のプレイヤー10人、何も起きないわけがなく…
フルクリア一つとってもプレイヤーごとに意図は変わるのだが、効率のいいルートをわざわざ外すという事は何か意図があるわけで、それを汲み取れるようになればゲーム理解度がグッと増すだろう。
本当に簡単な例として、
①ブルーサイドでレッドバフからフルクリア:
レベル3,4の時点で3:30にはトップサイドに位置していることから蟹ファイトはトップで行い、トップ、ミッドのガンクもあわよくば見れる立ち位置をとりたい。
②ブルーサイドで赤→青→グロンプの最速レベル3ルート:
3分前後にはトップやミッドのガンクを狙うことができ相手のガンク警戒のタイミングを外して有利を狙うチャンスがある。
③レッドバフ→ミッドガンク→ブルーバフ:
レーナーがレベル2なり立て、もしくはなる前にガンクを刺すことができメンタルブレイクを狙える。失敗したら自分の人生が終わる可能性もある。
このように意図を汲んでいくと、そのチーム、そのジャングラーがどこを中心にゲームを作っていくかを理解できるので今後の試合展開が読みやすくなる。
b.中盤以降
ここからは中盤の話
中盤以降に注意してみてほしいのは、どちらにターンがあるのかということだ。
今どちらのチームが先手を取って仕掛ける権利があるのか、仕掛けたら勝てるのかをしっかり把握しておけば試合の流れを予測しやすくなる。
では、ターンの有無を考えるうえで重要な要素は何か、それは人数差だ。
アクションを起こそうとする場所で一瞬でも人数に差が発生していればその瞬間その場でのターンは人数で勝っている側に移る。
じゃあどうやって人数差を発生させるかだが、まず1番簡単なのがウェーブプッシュ。ミニオンをプッシュすれば相手がそれを対処しなければならず、そこに人数を割くという事は、別の場所ががら空きという事だ。プッシュした側は暇なのでそこに人数をかけることができる。よってターンが生まれるということだ。
そしてもう一つ、リコールを強制する方法。
これはポークでダメージをいれたり、キャッチをして相手を削ったりと方法は様々だ。視界の取り合いでワードを消費させてリコールさせるのもいい。
相手が陣地に帰ればオブジェクト周りでのターンは明らかに自分たちのものになる。
いくつか例を挙げたがこのようにターンをとる方法はいくらでもあり、どちらがターンを取りに行く行動をとっているのか、実際にターンが取れているかがわかればより観戦がしやすくなるだろう。
そしてここまでじゃなく、この後も重要だ。
ターンをとられてアクションをかけられてしまった側がカウンターで何をしているのかもチェックしよう。
これはこういうカウンターの仕方もあるんだーフーンという勉強目的よりも、相手チーム側が行ったカウンターアクションによって次の先手をとるチャンスが生まれるからである。
例えばドラゴンをとられてヘラルドをカウンターでとればヘラルド使って駆け引きができるし、バロンまわりの視界しか取れなかった。という場合もその撮った視界状況を利用して相手をキャッチできるかもしれない。ファームしか取れなかった、という場合にもそれによりADCの3コアがゲーム前に間に合って逆転勝利があるかもしれない。
カウンターアクションも次の展開を予測するうえでは非常に重要な要素なのだ。
c.ワンポイントアドバイス
ここはおまけ中のおまけになるので普通の人はみなくてもよい。オタクの人だけ見るように。
観戦するうえで私個人がお勧めしているのがミニマップを見続けることだ。私自身解説しているときも大半の時間ミニマップを見ているのだが、ミニマップが試合全体の状況を一目で確認することができ非常に優秀だ。
視界状況の判別もそうだしジャングラーの動きが毎秒事細かに把握できる。
さらに重要なのがピンの存在、チームがどこにワードピンを刺しているか、on my wayしているか、裏TP用のワードにピンを刺しているか。すべてはピンで察することができるのでオタクの人にはお勧め。普通の人はゲーム画面見て盛り上がってほしい。
あともう一点、上の初心者向けの項ではオブジェクト1:00前から集中!と書いたのだが、あれは正確には間違い。
1:30~2:00前には必ず見るようにしてほしい。
これはなぜか、答えはRのCDにある。ドラゴンファイトが激化してくる時間帯、だいたいのRスキルが1:00~1:30近くのCDになるのでオブジェクト1:00~2:00前の時間帯がワンアクション仕掛けておくにはベストタイミングなのだ。そこで人数有利が取れれば視界状況やポジションが圧倒的に有利になる。だからこそ玄人の君たちにはその時間から注目しておいてほしい。
5.記事全体のまとめ
ここまで読んでいる方は相当なLoLファンとお見受けする。
初心者向けの項では初めて観戦する、LoLを知らない人でもなんとなくLoLが理解できる、そして面白みが伝わるように書いた。そして、中級者以降の項では既存の競技シーンファンたちに向けてもっとLoLのプロ達の試合が見やすく、そして理解できるようにという思いで書いた。何なら自分が解説時に考えてることも少し載せてあるのでそういう意味でも参考になればと思う。
しかし、ここにのせてあるのはLoLのほんの一部でしかない、これ以上深く楽しもうとすればやはり自分たちで研究し探していくしかない。しかしそれが面白くて病みつきになるのがLoLというゲームなのかもしれない。このストリーマーの方々が作ってくれた流れで初めてくれた初心者の方々が少しでもLoLを長くプレイ、観戦してくれることを切に願う。
ここまで長ったらしい記事を読んでくださって本当にありがとうございました。私も一LoLファンとして、なにかこのLoLシーンに貢献できていれば幸いです。個人配信等もやってるので何か聞きたいこととかあればいつでも来てくださいね。ではまた次の記事があれば次の記事でお会いしましょう。
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