43 周辺視野 44 ゼロ印象 45 残像

◆ 43 周辺視野
私たちは目で物を見て、たくさんの情報を認識し、処理をしています。この目が見ている視野は、中心から20度程度の範囲内については、とても正確に情報処理を行えます。この20度をこえた、さらに広い範囲のことを一般に、周辺視野という呼び方をしています。速読法などは、中心視野を広げる=周辺視野の情報処理のスピードと正確性を活発にすることで身につけるスキルといえます。
スポーツ選手を例にするとわかりやすいと思います。たとえばサッカーでも、強い選手、ゲームの組み立てをするような選手になると、自分のチームの選手のポジション、相手選手のポジションを広い視野で掌握しています。さらに経験則などから、次の動きを予測してパスを出していきます。これが、周辺視野の使い方の好事例です。
実は、この周辺視野、男性よりも女性の方が広い範囲で「見る」能力に優れています。目に映るものを、瞬時に捉えて、判断する能力が際立っているのです。同時に複数の作業をこなす能力にも通じます。赤ちゃんを育てるため、また隣人たちともめごとをおこさずに平和に生活するためにと授けられた能力です。
この能力をフル活用すれば、お客様がどのようなコンディションでいるのか、なにを求めているのか、相当のことが理解できるはずです。どのように振る舞えば、お客様が心地よい気分になるのか、スタッフとしてできることはなにかに気付く力は、女性が圧倒的に優れています。
接客というのは、まさに周辺視野能力を活かして、目の前のお客様に寄り添い、同じ景色をみるということです。従来、男性が考えた「売る」スキルでは、今の時代に適応できません。女性の能力を開花させましょう。

◆ 44 ゼロ印象
笑顔のスタッフと、暗い表情のスタッフでは笑顔のスタッフがお客様に選ばれます。
ただ、笑顔で迎えてくれたということだけでも、「自分に親切にしてくれた、やさしくしてくれた」と感じる人を覚えておこうとするからです。
スタッフがみんな笑顔の店。
何人かは笑顔の店。
笑顔のスタッフがいない店。
どの店が選ばれるかは明らかですね。
実際、明確な理由もなく、スタッフの顔つきが気に入らないというだけで、その店を利用しないことがあります。
「なんとなく雰囲気が悪い」
「感じが悪い」
店頭から見たときに、最初に受けた印象。まだ関わりも持っていない状態での印象が、店に入るか、止めるかを決めています。
「かっこいい」と感じる商品をみると、脳の前頭皮質にある「ブロードマン10野」が活発に反応します。これは「自己認知」や「社会的感情」をつかさどる領域で、この刺激=信号が、購買行動を促すと考えられています。
スタッフの身だしなみがきちんとしていること。「かっこいい!」
スタッフの笑み感が十分であること。「感じがいい!」
本当に基本的なことですが、結局、一番大切なことかもしれません。
余談ですが、BMWのミニという車は、そのデザインから、小動物を連想させるという実験結果があります。構造的属性や、性能ではなく、「見た目」の印象がインパクトになっています。だから、女性の購買客数が圧倒的におおい珍しい車なのです。
「だって、かわいいじゃない!」・・・購入した女性のアンケートの答えです。

◆ 45 残像
人は、目で捉えた映像を動作を、一コマ一コマに分解して、残像処理したものを積み重ねて、「動き」として認識しているそうです。それが、イメージを形つくっています。
そう、あのパラパラ漫画の原理です。一コマ一コマが連続されると、動いているように見えますね。
この「分解」「残像処理」「積み重ね」の過程で、実は繊細なセンサーが働いて、好きなものはより正確に認識してイメージをつくり、嫌いなものはいい加減に処理をしています。
作業の量が膨大なので、どうでもいいことは省略しているわけです。
また一コマの映像として処理をするため、そのコマのなかで、色のバランスや、形の大小を記憶します。同じ大きさの図形が、背景の違いで異なる大きさに見えたり、同じ色なのにまったく違う色にみえたりするのも、このためです。
このように、人が記憶するイメージというのは、正確な「事実」とは違い、かなり演出されています。つくられている。
これを接客に利用しない手はありません。あなたや店の印象をすばらしいものとして演出する。お客様の目に入るスタッフの動き、とくに所作といわれるものを磨きあげると、他の店で体験する買物とは全く違う印象を提供することになります。
お客様は、店頭から眺めた段階で、すでに店の評価をしています。店頭イメージが大切です。
「なんとなく雰囲気がいい」
「なんとなく感じがいい」

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