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食品ロスを考える① 食品ロスを知ろう

TIPSが『SDGs・ダイバーシティ』をテーマに自ら取材し、発信するWEBメディア RECT。第一弾は、ウェブ広告を使って食品ロスを減らす仕組みをつくる『Freeat』と連携し、SDGs 12を中心に複数のターゲットと深くかかわる『食品ロス問題』をテーマに、Freeatの仕組みとサービスや、食品の再流通に取り組むお店、量り売りで余分な買い物防止に取り組むお店を取り上げます。

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■ 食品ロス とは

「食品ロス」とは、食品廃棄物のうち、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことをいいます(食品廃棄物は、「食べられない部分」と「食べられる部分=食品ロス」の両方を含んでいます)。最近では フードロス という言葉も広がってきていますが、FAO(国際連合食糧農業機関)の公式サイトでは『Food Loss and Food Waste』という言葉が使われており、英語では『Food Loss and Food Waste』または『Food Loss and Waste』と表現します。

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■ 食品ロスって、誰の問題?

FAOの報告書によると、世界では毎年約13億トンの食料が廃棄されています。日本でも、年間2,550万トンの食品廃棄物のうち、約612万トンが食品ロス、つまり、まだ食べられるのに捨てられてしまっています(2017年度推計値)。これは1人当たり、毎日お茶碗1杯分の量の食べ物を捨てている計算になります。

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▲図 日本の食品ロスの発生源

食品ロスは、食品が作られてから家庭で消費されるまで、様々な段階で発生しますが、日本の食品ロス612万トンのうち、半分近い284万トンが家庭で発生しています。その原因は、直接廃棄(買いすぎで食材を余らせたり、買ったのを忘れたりしてダメにしてしまう)や食べ残し、食べられる部分まで捨ててしまうといったことがあり、これらは、ひとりひとりが日常のなかで心がけや行動を変えるだけで大きく減らすことが可能です。また、これと合わせて、もう半分の発生源である事業者側にも、食品ロス削減への努力が求められます。


■ 食品ロスの問題点

食品ロスの主な問題点として、「貴重な食料を無駄にしている点」と「環境負荷」があります。

― 世界では食料が足りていないのか?

現在、地球上には約77億人の人々が生活をしていますが、途上国を中心に8億人以上(約9人に1人)が十分な量の食料を手に入れることができず、栄養不足に苦しんでいます。その一方で、先進国を中心に、まだ食べられる食料が大量に捨てられているのが現状です。国際NGO hunger free worldのまとめによれば、世界では毎年約26億トンの穀物が生産されており、これが77億人に平等に分配されれば、1人当たり年間340キログラム以上になり、日本で実際に食べている穀物量 1人あたり年間154キログラムの2倍以上になります。世界では穀物に加えて野菜などが生産され、在庫もあることを考えれば、すべての人たちが十分に食べられるだけの食べ物が生産されていることになります。先進国で流通している食料を直ちに途上国に流通させることはできませんが、先進国が「人類にとって貴重な食料の無駄遣い」を減らすことができれば、途上国への流通量を増やすことも可能になっていくと考えられます。

― 日本の食料自給

日本の食料自給率はカロリーベースでわずか38%(2017年、生産額ベースでは66%)。政府は、2030年にこれを45%まで引き上げることを目標に掲げていますが、多くを海外からの輸入に頼っていることがわかります。一方で、日本では、米は100%、野菜は79%、魚介類は61%を自給しており、食卓に並ぶ食材には国内で生産されたものも多く含まれています。国内産、外国産を問わず、貴重な食料を無駄にしないことが必要不可欠です。

― 食品ロスの環境負荷

食べ物を捨てることは、地球環境に甚大な悪影響を及ぼします。加工業者や小売店、飲食店、家庭などからゴミとして出された食品ロスは可燃ごみとして処分されますが、運搬や焼却の際に二酸化炭素(CO2)を排出し、焼却後の灰の埋め立てが必要になるなど、大きな環境負荷が生じます。年間612万トンもの食品ロスを削減できれば、その分だけ環境負荷を軽減することができます。


■ 食品ロス問題とSDGs

SDGsでは、ターゲット12に、食品ロスの削減が明確に示されています。このほか、途上国を中心とした食料問題の改善(ターゲット2)や、特に都市部での廃棄削減による環境負荷の軽減(ターゲット11)、気候変動・海洋・陸上の環境問題(ターゲット13~15)と食品ロスは切っても切り離すことができない課題です。

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・2 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する。
・11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
・12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。


■ 連載 食品ロスを考える

連載の第2回では、食品ロスの削減につながるサービス『Freeat』を、第3回・第4回では、Freeatの実証実験に協力している『エコロマルシェ』『HACARI』を取り上げます。

この記事は、2021年2月4日に公開された記事を一部編集して再公開しています。(Writer:髙橋由奈、三浦央稀)


■ ABOUT RECT

RECTは、2018年に設立し、東洋大学を拠点にSDGsとダイバーシティに取り組む学生団体TIPSが運営する、SDGs & Diversity WEB MAGAZINEです。


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