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SDGsを学べる子ども向け食育教室 ビオモア(後編)

TIPSが『SDGs・ダイバーシティ』をテーマに自ら取材し、発信するWEBメディア RECT。今回は、子どもたちに『食育』と『SDGs』について学び、考える場を提供するオーガニック食育教室 ビオモアを取り上げます。環境負荷の観点から世界的にオーガニック食品への関心が高まる一方で、まだまだオーガニック市場が十分に広がっていない日本の現状から「日本はオーガニック後進国=有機農業が広がる余力がある」と考え、ビオモアを展開する株式会社GIVEFIVE代表取締役 小林美緒氏に、ビオモア設立の思いと、ビオモアが考えるオーガニック食育、SDGsについてお話をうかがいました。また、メンバーがビオモアのレッスンにボランティアスタッフとして参加してきました。

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小林美緒氏
株式会社GIVEFIVE 代表取締役。保育園の給食調理員、フランスの2つ星レストランでの経験を経て、2020年に同社を設立。


■ ビオモアの食育教室に参加してきました!

12月4日に開催されたビオモアの教室に、メンバーの三浦寛人・北嶋有依が取材班兼ボランティアスタッフとして参加してきました。12月のテーマは『小麦粉・卵・乳不使用でつくる HOLIDAY COOKIES CAN』。エプロンをもって、いざ取材に向かいます。

― まずはSDGsワーク

今回のSDGsワーク(詳しくは前編へ)のテーマは、SDGs 7 「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」。生活に身近な、電気に焦点をあてたワークで、参加者の子どもたちは世界には電気を使うことができない人がまだまだたくさんいること、照明をつけっぱなしにしない、ゲームをやりすぎないなど、電気の無駄遣いを減らせることを知り、自分も毎日のなかでちょっと意識をするだけで簡単に達成に貢献できることを学びました。ビオモア教室でも、窓が大きく太陽光が入る明るい会場を利用し、節電に取り組んでいます。

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― 食材について考える

続いて、小林さんから今回の材料である米粉の生産者さんが紹介され、稲の収穫の様子や米粉の作り方などを、写真を見ながら学んでいきます。今回の生産者さんは、以前も食材を提供してくださった方だったため、子どもたちから「覚えている!」という声が上がり、「生産者と子どもたちをつなぐことで、生産者を長期的に応援する」という小林氏の思いが伝わっているのが感じられました。

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― 調理スタート!

ワークが終わり、いよいよ調理を始めます。子どもたちは、生地をこねて、伸ばして型を取って、みんな一生懸命に取り組んでいました。クッキーの材料には、オーガニックの砂糖やジャム、豆腐などが使われ、玄米粉やゴマは生産者から無償で提供していただいたもの。小林さんの思いやこだわりが詰まっています。今回は乳製品を使わずに作るため、乳製品にアレルギーのある子どもでも安心して食べられます。調理中は小林さんとメンバーを含むボランティアが子どもたちをサポートし、とてもアットホームな雰囲気のなかで、子どもたちもリラックスしてクッキーづくりを楽しんでいました。

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― 調理を終えて

「いつも頑張っている保護者の方に、自分の時間をつくってもらう」こともテーマのひとつであるビオモアでは、保護者の方はレッスン中は一度教室を離れ、終わるころに戻ってくることになっています。クッキーが焼きあがると、子どもたちが自分の作ったクッキーをお母さんに自慢していたり、小林さんに「また来るね!」と嬉しそうに声をかけたりと、和やかな雰囲気で教室を終えました。保護者の方は、子どもたちのクッキーの出来栄えに驚いており、自分の時間をつくるだけでなく、普段は見られない子どもたちの一面を見る機会になっていることを感じました。

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■ ビオモアに参加して

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三浦寛人:ボランティアとして教室に参加させていただき、とても楽しく貴重な体験ができました。今回は子供たちのクッキーづくりのサポートを主にしましたが、教室全体を通して、SDGs・生産者についてのワークやオーガニック食品の使用だけでなく、農家さんのサポートにより材料費を下げたり、子どものアレルギーを配慮したメニューにしたり、エプロンもサステナブルな生地を使用したものだったりと、様々な場面で小林さんの「未来ある子どもたちにたくさんのことを伝えたい」という思いがこもった教室であることを改めて実感しました。料理だけでなく、子供の活発さ・集中力、そして大人としての子供たちとのかかわり方など、私も多くのことを学ぶことができました。参加できてよかったです。

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北嶋有依:教室への参加は、オーガニックを使用した料理をより身近に感じる機会になりました。今まで、オーガニック料理はどこかお店を探さないと食べる機会がない、値段が高いといった先入観から、食べたことも、作ったこともありませんでしたが、今回小林さんから材料について話を聞き、イオンや成城石井など身近なお店で手軽に揃えられることを知り、これから料理をする際にオーガニック製品を意識して選んでみようと思いました。SDGsについては授業で学んだこともありましたが、小麦粉の代わりに有機栽培の米粉を使用してみるなど、取材を通じて小さなことでも地球のためにできることがあるということに気付きを改めて得ることができました。


■ 今後の展望

最後に、小林氏にビオモアの今後の展望を伺いました。

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ビオモアは『子どもは、目で見て手で触って物事を学ぶ』という考えから、これからもオフラインでの教室の開催を続けていきたいです。コロナの情勢が落ち着いたら、レッスンにその日に使う食材の生産者の方をお呼びして、子どもたちが食べ物についてより多くの学びを得られるようにすることも計画しています。また、料理教室だけでなく、食品を販売する体験を通じて生産者と消費者のつながりを学ぶ機会や、廃棄された食材を使ったアートワークなど、料理のスキルや知識にとどまらず、食に関する様々なプログラムを提供していきたいと思っています。また、現在は会場を借りて開催している料理教室についても、常設の会場の開設や費用の抑制で、より多くの子どもたちが通いやすい教室を目指していきます。多くの方のご参加をお待ちしています。


■ 前編はこちら

前編では、ビオモアの概要やビオモアでのSDGs学習、オーガニック食育への思いなどをまとめています。

この記事は、2021年12月20日に公開された記事を一部編集して再公開しています。(Writer:中村美心、三浦寛人、北嶋有依)


■ ABOUT RECT

RECTは、2018年に設立し、東洋大学を拠点にSDGsとダイバーシティに取り組む学生団体TIPSが運営する、SDGs & Diversity WEB MAGAZINEです。


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