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韓国小説一冊め、『保健室のアン・ウニョン先生』

私の、記念すべき韓国小説一冊めは、『ウニョン先生』となった。

最初に気になり始めたきっかけの、『82年生まれ、キム・ジヨン』をまずは探して、なかったから、そこでいくつか手に取ってみた時に、何か文章が「面白そうかな?」って。
パラパラッとめくってみた時の印象ってあるんだよね。
興味深そうなタイトルや題材でも、「あ、合わないな?」「読みにくいな?」ってこともある。

たぶん、それで「面白そう」、あと「一冊めに良さそう」とも思って。
『キム・ジヨン』がなかった時点で、「読みやすそう」な方に切り替えたのかも。
"霊能者のドタバタ連作"=気楽に読めそう、と。
「ついに!! 私も!! 韓国小説にトライ!!」と、一人盛り上がり……なんかウキウキ帰ったわけです。

で、短編連作だったこともあって、少しずつ読んだんだけど…
面白かった!! いちいち新鮮で。
「へえ?」「あ、そうなの?」と、知らないことは興味深く、同じことには、「変わらないんだな…」。
欧米ものを読む時と同じではあるんだけど、やっぱり、それよりは距離が近く、それゆえの複雑な気分もありながら…

"漢文の先生"が出てきたりすると、「あっ、古典が同じ?!」。…新鮮だったな。
私は、海外小説は欧米ミステリーしか読んだことがなく、アジア小説は全く未読だった。アメリカ小説にアジアンが出てきても、描かれるアジアカルチャーは部分的だし。
日本以外の、アジア作家が描くアジア、というものを、ちゃんと読んだことがなかった。…とても新鮮で…他にない気分だったな。近さと違いと。

ためらいがあった、「読んでいいのかな…」という罪悪感以上に、その距離感の不思議さに引き込まれた。
それも、少しずつだったから、少しずつ、読むたびに、「ふ、不思議感覚!!」「新鮮!!」。
何らかのこういう感覚を、もう読者になってる人たちは、とっくに味わってたんだろう。
人気の理由は、すぐにわかった気がした…。


アン・ウニョン先生は、かったるげなところがいい(笑) 「めんどくさ」みたいなだるさを出しつつ、根本がお人よし。こういうヒーロー像、いいね!!
シリーズ化してくれないかな。こういう女探偵シリーズとか、見てみたいな…。
特に、若い人への気づかいがあるのがいい。若い人たちのすぐそばにいるこの立場で、そうあってくれたら、安心して"霊能者のドタバタ"を楽しめる。

"人に見えないものが見える"ってことへのスタンスが、力みすぎず、逃げたがりもせず、「面倒だけど、まあやんなきゃなんないしな…」くらいなのが、まあ読みやすかった〜。
熱血すぎないっていうか。でもちゃんと"正義のヒーロー"でもあり。その役割をやってない時は、"かったるげな大人"なのが楽しかった〜〜。

これ、この設定じゃなくても、『私立探偵アン・ウニョン』とか、『異世界転生アン・ウニョン』とかでも、私は好感を持っただろうな。
探偵したり転生世界でドタバタしたりしながら、何かを倒すんだよ。
「若い人たちを自然と気づかうアン・ウニョン」がカッコいいから、やっぱり、「保健のウニョン先生」に勝るものはないけれど…。

ドラマ版も面白そうだし、マンガにも向いてそう!! "かったるげな態度とおもちゃの武器"って絵づらがもう面白いよ。
最後に恋愛ものっぽくなった部分は、「え、別にそういうのいらない」と思ったけど、あっさり終わったから、「まあこのくらいならいいか…」ってくらいだった。
ウニョン先生を好きになったほどには、ホン先生を好きにはならなかったからなあ…。
(嫌いってわけでもなく。「ぜひくっつけ!!」ってほどではなかったから;)

一冊めがこの本でよかった。
チョン・セランさんを、もっと読んでみたい。
新刊出たら買おうかな? 追ってみたい作家さんですね。


(適当な写真しか撮ってなかった…。左の本は、一緒に借りた収納本です。)

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