見出し画像

デザインの力を信じる6社が思う「デザイナー」に大切なこと。ReDesigner Meetup #1【前編】

本記事は2019年3月16日(土)に開催された「【学生クリエイター向けイベント】ReDesigner Meetup2019!!@LINE」のイベントレポートの前編になります。

ReDesigner Meetup とは

デザイナーを目指す学生が増えてきて、最近では様々な企業のデザイン戦略がメディアで言及されることも増えてきました。 デザイナー志望の学生は増えてきている反面、企業で活躍するデザイナーの話を聞ける機会が少ないなどの課題があります。
そこで、新卒でデザイナーを志す学生さんのキャリア支援プラットフォーム「ReDesigner for Student」は、学生クリエイターを対象としたミートアップを開催しました! 今回はデザインの力で業界を牽引する企業6社をお呼びして、デザインに対する取り組みや事例などをお話しいただきました。

登壇者
橋本建吾さん:LINE株式会社 / UIデザイナー
田中裕一さん:株式会社ビズリーチ / CDO / デザイン本部 本部長
山田あかねさん:株式会社NewsPicks / UXデザイナー
増田真也さん:株式会社ディー・エヌ・エー / 執行役員 デザイン本部本部長
山田剛史さん:チームラボ株式会社 /採用担当
ユンビョンウ:株式会社グッドパッチ / DesignDiv. PM / UXデザイナー

会場は、LINE株式会社さんの開放的なカフェスペースをお借りしました!

LINE株式会社|橋本建吾さん|UIデザイナー「“好き”という気持ちを持ち続けること」

LINE株式会社(以下、LINE)のUIデザイナー橋本建吾さんからは、自社のデザイン組織である「クリエイティブセンター」が持つミッションと、そこで働くデザイナーの資質についてのお話がありました。

橋本さん
 まずはじめに本日お越しいただいた、LINE社内のオフィスについて簡単にご紹介します。 LINE社内のカフェスペースには、100円から使えるスープバーやサラダバー、LINE社員専用のコンビニ、マッサージ施設が完備されています。人気すぎて私も予約は全然取れないんですけどね(笑)。
 ほかにも、社員が息抜きできるビリヤードやダーツ、お子さんがいる社員が利用できる託児施設もあったりします。 デザイナーの執務スペースは一人ずつパーテーションで区切られており、アーロンチェアに座って業務に向かいます。デザイナーには最新版のiMacが支給されるなど、社員が気持ちよく過ごすことができるような設備を心がけています。

クリエイティブセンターが抱くミッション

LINEでは、グローバルなデザイン組織を展開しています。中でも「クリエイティブセンター」というコミュニケーションアプリ「LINE」をはじめ、当社が運営するアプリケーション、Webサービス、はたまたオフィスまで、幅広くすべてのクリエイティブ制作を担当する部署は、開発部門から完全に独立しているという特徴があります。 クリエイティブセンター自体が横串でLINEのあらゆるクリエイティブに関わるので、クオリティコントロールがしっかりできるんです。 そんなクリエイティブセンターの掲げるミッションが「サービス、プロダクトに伴うオンラインおよびオフラインのすべてのデザインであり、最高のプロダクトを世に問うということ」なのです。 

「UI」と「BX」

先ほどご説明したクリエイティブセンターには大きく2つのデザイン室に分けられます。

UIデザイン室
UIデザイン室は主にプロダクトサービスに関わるすべてのインターフェイスデザインを、対象範囲は初期のプロトタイプ作成からマーケティングに関する制作物まで幅広くデザインすることがミッションになっています。
BXデザイン室
「BX」とはブランドエクスペリエンスの略語で、主にプロダクトを含むLINEブランドに関するクリエイティブ全般を担当する部署です。サービスのロゴデザインであったり、イベント用のアタックムービーから、テレビCMのクリエイティブディレクションや、オフィスの空間デザインなど幅広い範囲のデザイン業務を行なっています。グラフィックおよび映像を使って顧客体験を最大化するということに切磋琢磨している組織なのです。

「好き」という気持ちが大切

私はデザインをしたいんだ!という学生さんには、「あなたはモノづくりが好きですか?」 と質問を投げかけます。「好きこそ物の上手なれ」という言葉がありますが、クリエイティブセンターのデザイナーは全てにおいて創造することが好きであるという情熱を持って働いています。デザインを続けていくということは「好きでやり続ける」という気持ちを持ち続けるということ。それはおそらく将来偉大な仕事を成功させるための最も重要な資質であると私は思います。
 LINE という組織には、「世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮める」というミッションがあります。そんなミッションを実現するために、私たちは日々努力と挑戦を続けています。

株式会社ビズリーチ|田中裕一さん|CDO|デザイン本部 本部長 「ビズリーチが描く“哲学”に込めた思い」

株式会社ビズリーチのCDOの田中裕一さん。今年で創業10年になる株式会社ビズリーチ。社内におけるデザイナーのスタンスや大事にしている哲学などを、お話ししていただきました。

「ビズリーチ」という会社について

田中さん
私は入社するとき、株式会社ビズリーチは人材事業中心の会社かな?と思っていました。プロダクトやサービスを作っているというよりも、営業をしている方が中心の会社だと思っていたんです。 でも違いました。社会のあらゆる「負」の解消や課題の解決を目指す、そしてすべての人の人生の選択肢と可能性を広げていく、という姿勢を持っているのがこの会社でした。そのために、ビジネス開発の職能をもった人と、プロダクトを開発する人が、両輪で事業を作っています。
 そんなビズリーチが事業を作る上で3つ、大事にしていることがあります。

1.あらゆる社会問題を
2.プロダクトの力で
3.大きく解決する


我々は、この3つの条件が満たされたサービスを事業として展開していこうと決めています。

「We DESIGN it.」

ビズリーチがデザインをするときに大事にしていることとして、ビズリーチのデザイン哲学、デザインフィロソフィーを掲げています。
デザイナーを中心に、この哲学に共感して働いています。そして、会社としてもこういった哲学を掲げてデザインを最大活用し、世の中の課題を解決していこうと、日々の業務に取り組んでいます。

「デザイン本部」の構成紹介

ビズリーチのデザイン組織がどのような構成になっているのか、「デザイン本部」の構成を紹介したいと思います。 最近はデザイン経営という文脈でも、お話しする機会をいただくことがあるのですが、文字通り、経営直下にデザイン組織を設置しています。
取締役直下にデザイン本部という大きな組織があり、そのなかに3つのデザイン室があります。

1.プロダクトデザイン室
プロダクトのユーザーエクスペリエンスや、ユーザーインターフェースの設計などを行なっています。エンジニアやプロダクトマネージャーとがっちりチームを組んで、日々の開発を行なっています。
2.コミュニケーションデザイン室
プロダクト、サービスに関わるマーケティングコミュニケーションや、ブランドコミュニケーションをオフライン、オンライン問わずデザインしているチームです。
3.デザイン戦略推進室
デザインに対するビジョンやミッションを達成するために、会社として「どうやってデザインを戦略的に扱っていくか」計画・推進しています。

このなかでも独特なのが「デザイン戦略推進室」で、5グループで構成されています。

1.ブランドストラテジー
例えば「サービスを新しく作ろう!コーポレートのブランドをどうにかしよう!」となったときに新しいブランドを開発したり、リブランディングしたりするグループです。コミュニケーションデザイン室とも連携しています。
2.エクスペリエンスセンター
簡単にいうと社内にデザインファームがあるような状態で、例えば事業で「UXリサーチをしたい!UXデザインをしたい!」ということがあったときに、専門家が事業に入り込みながら支援したり、フレームワークを開発したり、社外のプロフェッショナル人材と連携したりするグループです。
3.デザインブランディング
デザイン組織やビズリーチがどんなデザインをしているのかを世の中に発信していく専門組織で、いわゆる広報にあたるグループです。
4.デザイナーサクセス
デザイナーが、より誇りをもってキャリアを歩み、成長していけるように環境や制度づくりを専門的に行なっているグループです。人事、広報などいろいろなところと連携が行われるので非常に多角的に動いています。
5.プロジェクトマネジメントオフィス
上記のように、いろんな制度や組織の開発、事業とのコミュニケーション、ブランドを作ったり仕組みを開発したりといったプロジェクトが非常にたくさんあります。そういった数々のプロジェクトをマネジメントするグループがプロジェクトマネジメントオフィスです。

私たち ビズリーチ が目指していること

私たちビズリーチはデザインというものを、「限られたフィールドだけではなくて、あらゆる人とコラボレーションしながら何かの課題を解決する、新しい価値を創造する、そのためのツールである」と考えています。
デザイナーだけでない、たくさんのプロフェッショナル、スペシャリティをもった人材とコラボレーションして、デザインを通じて世の中の課題を解決して、社会の負を1つでも減らしていこう、というのが「We DESIGN it.」に込められた想いです。 そして、「We DESIGN it.」の世界をつくるには、私たち一つの会社の力では無理だと思っています。こういった私たちの取り組みを世の中に広めて知っていただき、共感いただける方をたくさん増やしていきたい。たくさんの企業がデザインに力を入れ、デザイナーが高い意識を持って世の中の課題解決に挑むことによって、世の中全体がよくなっていくと私たちビズリーチは信じています。

株式会社NewsPicks|山田あかねさん|デザイナー 「頭で考えるよりも、まず行動すること」

前職であるラクスル株式会社ではCCOを務め、現在では株式会社NewsPicksのデザイナーの山田あかねさん。過去にはCCOも務める山田氏が自身の学生時代のエピソードや苦労したことなど、就職活動で悩む学生に向けて「就職活動中の自己分析も大事だが、それよりも大事なこと」というテーマで自身の過去を踏まえたお話をしていただきました。

山田さん
きっと今日ここにきてくださっている学生さんたちは企業の話をメインに聞きにきているとは思いますが、今回は私について話させていただきます。 今回の私の話は、やりたいことも、得意なこともわからない。ぼんやりデザイナーっていいな!って思う人に向けたお話になります。

とにかく「実践」してから考える

私の学生時代は、就活したことがなくて戦える武器もなかったし、デザインについても何もわからなかったのです。そもそも私の通っていた大学が心理学系の大学でした。理論だけを学ぶだけなら本を読めばいいじゃんって思ってた学生だったのです。 そんな中、大学在学中に出会ってしまった運命のアルバイトがあります。それがテレフォンアポインターのアルバイトでした。仕事内容はいたってシンプルで、ひたすら電話をする営業のアルバイトでした。私は今まで電話営業なんてしたことなかったし、むしろそういうのは苦手な方でした。営業成績も決して良くなかったけれど、お金がよかったから頑張れたんです。私は大学を中退してそこに就職しました。なぜ就職したのか。それは心の踊る体験がそこにはあったからです。理想的な世界があり惚れ込んだからこそ大学を中退しても入りたいと思った。その会社はアルバイト一人一人に性格テストを行なっていたんです。性格テストのような一人一人社員やアルバイトと向き合える場があるのも私が惚れ込んだ理由の1つなのです。 当時の私は、

好きなこと:わからない
得意なこと:わからない
実践しまくれ!

という精神で動いていたと思います。
ガッツと勢いというエンジンだけで突き進んでいたし、興味関心はあっちこっちに飛んで飽きてしまうところもあったと思います。20代の私は何が得意なのかもわからないからこそ、チャンスがあればなんでもやってきました。会社から見たら即戦力にはならないから迷惑だったとは思うけれど、色々やるうちに自分の得意分野や資質がわかってきたんです。「机上で分析するよりも現場で実施と体感すること」がとても大切。頭の中でわかっちゃいるけど行動できなきゃ、現実には反映されないんです。

「究極の自己分析」

知名度」よりも、「どういうビジョンを持っているか」を考えて会社を選んでほしいと思います。 自分のように実践しているうちにもともと想定していた職業とは別のものに適性があるのではないかということに気づくこともよくあるんですね。最初の選択がなんとなくデザイナーのように会社に入ったとしても、もしかしたら間違ってたって気がついたとしても、それは失敗じゃないんです。いつでも軌道修正すればいいんです。 たくさん経験して体感して、実践して失敗すればするほど自分のことがよくわかるようになってくるので、実践ていうのは結果的に「究極の自己分析」だと私は思っています。 私自身も、ジョブホッパーでいろいろな仕事をやってきて、今現在はデザイナーに至ってはいるが、成功しようが失敗しようが日々、「真剣」にやっていれば毎日新たな自分に出会い続けることができると、これだけは断言できます。


さいごに

今回は【学生クリエイター向けイベント】ReDesigner Meetup2019!!@LINEのイベントレポート前半として3社様の講演をレポートでお届けしました。
各企業さんのデザインに対する熱い思いや、就職に対する意識、求める人物像などを短い時間ではありましたが大変内容の濃いお話をしていただきました! 後半では株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社チームラボ、株式会社グッドパッチの講演の様子などをレポートしますので、そちらも是非ご覧になってみてください!ReDesigner for Student は、今後も学生クリエイターの皆さまがデザイナーというキャリアを切り開くためのヒントになるようなイベントを開催していきます。今回参加できなかった学生の皆様もConnpassをフォローしてぜひ参加してみてください!
後半に続く