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無題

 一人とはいっても部の責任者なので、立場的に一番に心配しないといけないことは法令遵守です。わたしは舵を持ったり操船するわけではないので、直接的には航法や衝突予防に関わることはかなり少ないです。たまに作業の関係で航海士の人手不足になる場合があるので、その時はレーダーやVHFの近くで待機し様子を見てお手伝いという感じですが、衝突事故などの人命に関わる部署ではないのでその点少しは気楽です。わたしの仕事で法令遵守の大部分になるのは電波法関係です、例えばVHF無線機では全ての局とのやりとりを事細かに記録する必要はありませんが無線業務日誌に記録すべき事項は法律によって決められています(電波法施行規則40条です)。通信については記載は簡単に言えば『重要な通信だけ』記載すれば良いのですが、1200と2000の船舶位置やGMDSS関係機器の機能試験の結果なども無線業務日誌には記載が決められています。記録については電磁的な記録がOKになっているので(電波法施行規則43条の6)、わたしはエクセルフォームを作り管理しています。

他にも色々な電波法関係の決まり事がありますが、そのほとんどがこういった機器を持ちましょう、こういった機能テストをしましょう、予備品を持ちましょう、記録を取りましょうといった感じで全て無線局の定期検査で(緩かったりする場合もありますが)確認があります。実はとあるGMDSS関係機器(15,16,17の無線機です)の換装があった折に、検査官が臨時に無線局を検査すると事前に通達してきたことがあり、かなり冷や汗をかいたことがあります。まあただ博学な現役の方はわかるかもしれませんが、GMDSS機器の登録の検査官と、いわゆる電波法的な「臨時検査」を行う検査官は所属の責任官庁が違うのでそれぞれの検査官がどういったことを確認するのか?ということを深く考えれば対策はそれほど難しくはなかったのですが…(その場合はどちらかというと予備品や測定器関係がきちんと揃っているかどうかの確認でした)
最近知ったのは『蒸留水は5リットル以上持ちなさい』だったのでこれは気をつけないといけません。常に5リットルの新品を在庫に持ち、使いかけがなくなりそうになったら5リットルを注文し在庫品を使う、こんな感じで行こうかと思います。

法令遵守、というものをきちんと行うためにはコンプライアンスももちろん、日々の記録や機械の確認、整理整頓、記入に係る時短ややりやすさ、エクセルやファイリング、ラベリングも駆使することが重要です。法律も勉強していない、書類の管理もできない、整理整頓もなっていない…こういった状態では法令遵守がうまくいく確率は非常に下がっていきます。(それでも検査はクリアしているというところはあるかもしれませんが…、どう考えても非効率なやり方)
法令遵守という大目標に向かって持っているリソースを全力で注ぎ込む、それが安定してきたら(新しく何か始めてみようかな〜)というところに気が向くかもしれません。電波法関係をきちんと守るということは職務として大目標であり、最低ラインです。わたしは新しいことをどんどん始めたいので、ここに割くコスト、エネルギーはなるべく小さくしたいです、なので管理コストはなるべく小さく、わかりやすく、簡単に。エクセルで全て打ち込みにせずになるべく数式、リストを使って可能な範囲で簡易的に。(過去の無線業務日誌を見ると手書きでおそらく喋った内容をそのまま業務日誌に記載していますが、はっきりいって非効率です)、結果として法令をきちんと守れているかはとても大切ですがそれを作るもの支えるものは毎日の記入やそのやり方、整頓などの「誰にでもできることをきちんとやり続ける」、このことに尽きます。わたしも局長になってようやく誰にでもできることの大切さと難しさは実感しています(自分に跳ね返ってきますからね)。いくつか大きな仕事もありますが、その前に当たり前にきちんとやらないといけない法的なことをを毎日正しく最速でクリアにしていく、わたしの仕事においては重要で大前提で通過点です。


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