通信士に本当に必要なものとは

 こんにちは、徒然です。船舶の通信士のわたしが無線関係、通信士関係のnoteを書いています。今回はなかなか挑戦的なタイトルですが、これはわたしの乗っている船でわたしがそう思っただけの話なので、それについては(まぁこの人はそう考えるんだな…)程度に思っておいてくださいね🥲
無線部、通信士や局長の仕事って一体なにをやっているんだろう?と思う方も多いとは思いますが、現役の航海士/機関士の船に乗られている方でもさえもあまり無線部の業務については実態を把握されていないことが多いです。これは仕方ないとこでして、以前にもこのnoteで書きましたが実際の業務内容については船ごとにおいてかなり違う、という当たり前の話なので一言でこうですと表現できないですが😥、自分の体験したやり方、自分の乗っていた船のやり方をどこの船に行っても同じようにしかやることができず、結果的にその船ごとにフィットすることが難しい人も正直にいうとまあまあいます。あえてすごく辛辣な言葉で表現させてもらいますが、そういった方は働くという行為への解像度が低く、どの船でも同じだと考えていることの方がおかしいのですが、そのことがわからないのでしょう。無線部が配乗されている船はおそらくGMDSS(国際的な設備上の取り決め、システムのこと)対象船であることが多いと思いますが、確かに無線機器の操作、取扱いはどの船でもそんなに大きく違いはないでしょう。ですが、そこについては資格さえあれば(多くの機器の操作は3海通以上あればOK)誰でも操作は可能です。多くの商船では専任の無線通信士が乗らず、航海士が対象無線機器の操作を行なっています。では、通信士が必要とされている、やるべきこととは一体どういったことなのでしょうか。

(ここからは完全にわたしの主観です。ですがわたしの主観とはいってもわたしが局長をやっている船でわたしがそう感じたことなので違うも違わないもありませんが)、無線部であるために多くの無線機器を無線部で担当していることはある意味必然的な部分です。ですが、正直わたしは無線機器については操作の資格は必要であるものの操作や担当は誰でもいいと思っています、理由は誰でもできるような業務内容であるからです。昔のことはわかりませんが、現在の無線機器は非常にわかりやすく、操作しやすく作られています。取扱説明書も『こういった時はこういった操作をしましょう』、『デイリーテストはこうやって行いましょう』など誰でもわかることを意識して作られています。誰が操作しても同じように扱うことができる、というのがGMDSSの成り立ちの一部であることから、誰でもできることは当たり前のことにもなっています。
その他船内のいろいろな事務的なことの担当になっていることもあるかもしれませんが、事務的なことこそやり方さえ知っていれば誰がやっても同じです。結局、無線機器や無線部で担当している事務的作業は無線部のいない船では誰かが担当しているわけであって、こんなのは誰でも…。(不貞腐れているわけでなくてね🤫)

いろいろな仕事の中で専任の通信士の重要な職務は、『任意の通信機器、通信設備を船舶の用途に過不足なく適応させること』だと感じています。わたしの所属先は特別な設備、装置を持ち専門的な知識を持った方も多く乗船されています。法定の無線機器はGMDSSで決まっていますからそれは当然として、難しいのは任意設備の通信設備の選定です。それにはどの海域でどれくらいの通信量を想定し、どの程度の緊急性を要するのか。それによって使用する通信設備や通信速度プランは全く違います、また設備的な重複がどの程度必要か。全てはその業務の規模により正解は変わります。設備を搭載するにあたっては費用も機器選定には避けて通れません。
ものを買う、ということについて何故必要か?どのくらい必要か?いくらするのか?いつまでに欲しいのか?いつく候補があるのか?判断基準はいくらでありますが、難しいのはそれぞれに優先順位をつけて総合的に判断しなくてはいけない時です。そして必要に応じてこれらを全てを船内、所内の担当部署にわかりやすく説明していくことも求められます。

書き出せば当たり前のことでばかりですが、かなり大変なことも含まれています。そのひとつはお金の問題です。新しい機器を入れる時の予算はなんとなく通りづらい感触はあります😥理由は今までそれがなかったので重要性が分かりにくいから、ですがそうなるとこれがどれくらい大切なものかどれくらい便利なものかの説明して理解を得なければいけません。法定的なものは『これがないなんて無理ですよ、運行できませんよ』で通せるのですが、任意設備は1つずつ話を上げていきその都度説明と了承の繰り返しです。
正直なところ、あまりうまくいかない時は(これやったところでわたしに何のメリットが…??)と思う時もあります。ですが、『面倒だからという理由でやらないということが確実に精神的な老いに繋がる、心が老いれば新しいことにチャレンジできなくなる』と以前ある局長に言われたことがあります、最近まさにその真っ只中にいるという感じです。通信機器の発達はこれからもどんどん進化していくでしょう、沿海海上に5Gは来るでしょうか?あるいはまた新たな局面を迎えるでしょうか?その時、船内の通信機器はどのようなものになり、それに対応していくにはどうしたら良いでしょうか。変化は大変で大切で、そして面倒ですが、『新しいことにチャレンジする』、通信士に本当に必要なものはこうした気持ちを強く持っていくことになると思います。

TKS  BIBI  OUT

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?