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one day photo_23

アレック・ソスと北島敬三の展示に行けました、最高でした。絶対に見に行ったほうがいいと思えるような内容で、行っておいて本当に良かったなと心の底から思えました。あと大和田良さんのDifferential Notes(Case1_Nature)も見に行ったのですが、これは見る側が試されてるんじゃないかと思えるような展示内容でした。

さて、前回は夏山終わって勉強再開ということでしたが、注文していた本で先に届いていた「畠山直哉:テルリ」「ニーダーマイヤー:Transformations」は目を通しておけました、残り2つは来たばっかりで読めてない。
あと図書館に頼んでた下記の写真集とか文庫を読んでる途中。
 ・W・H・トルボット:自然の鉛筆
 ・野口里佳:光は未来に届く
 ・野口里佳:夜の星へ
 ・ホンマタカシ:換骨奪胎
 ・ホンマタカシ:NEW WAVES
 ・米田知子:雪解けのあとに
 ・佐内正史:君になりたい
 ・長島有里枝:Pastime paradise
 ・畠山直哉:BLAST
 ・藤代冥砂:あおあお
 ・大和田良:写真制作者のための基礎と実践
 ・大和田良:写真をつなぐキーワード123
風景写真関係ない写真も多いんだけど、写真を知るうえで触っておいた方がいいよねということでいろんなジャンルを見て撮り方というか、撮影者の被写体とのかかわり方の価値観とかを触ってる。あとは主観的なのかどうなのかとか、今回の写真はどれも結構きつくて、ほとんどの人は見ていて僕はダメだな好きになれないな……というものが多かった。
米田知子さんはまだ読んでないが、これはパラ見した感じすごい好きだと思う。
畠山直哉さんもBLASTは別の図録を持ってるんだけど、あんまり好きじゃない。
大和田良さんの展示を見た後に、教科書がステートメントの事とか結構いいことが書いてあったことに気が付き購入。写真史を俯瞰して重要なキーワードや写真学生が押さえておくべき書などを網羅してくれている、便利な本。
あとデッドパンとかもこの本で意味を知りました、ガンガン使うわ。
そう、私はデッドパンの構図が好きなんだけど、デッドパンでありつつ物語めいた質感があるっていうのが好きらしい。
ミズラックと畠山さんは、デッドパン構図の作家だけど物語性が強い絵作りだもんなと。ほかのデッドパンの作家の冷徹な写真を見ていると感じる。
同じ系統の構図なのに全然写真違うんだ、何回言えた今。

さて展示の感想。
大和田良Differential Notes
大和田良は工芸大の講師もしているが、とにかくその知識量は豊富。圧倒的ともいえる。 今回の展示は写真のキーワード123と合わせて読むと面白いが、写真史を紐解く過程で 大和田さんがそれぞれの模倣を行いつつ作品を取り上げている。 テーマ的に人間が見ているものとカメラが写すものの違いという写真の基本のおさらいのようなもので、展示されてる写真の中にカール・ブロスフェルトだよなこれと思えるような植物の写真とかモノクロを後から染色した佐内正史みたいな写真も出てくる。鈴木理策的な写真も出てきたりする。そういうのがわかるとすげー面白い。モダニズムの初期から続くカメラとは現実をどう捉えるのかっていうのが現代もテーマとして通底していて、みんなそれを踏まえて新しい課題に向かってるんだなというのが良くわかる展示でした。 これはSNSで写真始めたような僕とか、写真史とか写真学科的な内容がわからない人は絶対見たほうがいい。 写真の見方の一つがわかるし、今の「写真」がどういう歴史の上に成り立ってるのかわからないと、バズる見た目だけの写真追いかけて、写真勉強してる人から相手にされないとか当たり前だよなって昔を思い出して顔が赤くなる思いだった、大後悔時代。

アレック・ソスGathered Leaves
マグナムフォトグラファーであり、現代アメリカで最重要作家と呼ばれるアレック・ソス。 葉山では日本で初めて回顧録的な展示ということで代表作のスリーピングバイミシシッピ、ナイアガラ、ブロークンマニュアルを筆頭に 最新作まで展示されてました。僕はアレック・ソスはすごく気になってて、特集されてるIMA全部事前に買って読みました。あと深瀬さんのアーカイブを作っているトモコスガさんが動画も上げてるのでそちらも拝聴。そのうえで挑んでみました。前段として僕はニューカラーの写真家だとショア、ミズラック、マイロヴィッツ、エグルストンあたりは写真集を一応拝見していて、ミズラックに胸を撃たれたタイプ。で、ソスはショアやエグルストンの流れと比較すると確かに最新版っていう感じだった。 エイトバイテン担いで写真撮る姿が何とも哀愁漂う……、そしてパウンドオブピクチャーズまでの暗い雰囲気というかなんか物悲しい絵面やデッドパンなんだけど表面のマチエールの質感が何ともマイロヴィッツに近く湿度のある感じが重い。ということで、実際見てみるとすっげぇきれいなんだけど僕はあんまり好きじゃなかった。独特の湿度を感じる写真が多い、それは鏡と窓っていう写真史的に重要とされるキーワードの中で、ソス自身が中間って言ってることからも鏡っぽい部分が 時折見えたりするからなんだろうか?乾いた感じはあんまりしない、構図のとり方とかは結構無表情なんだけど……。この辺ショア、ミズラック、ベッヒャーシューレで全員温度感違って、構図原則が同じなのに微妙な距離感の撮り方や露出の選択で全然表現が違う。世界のとらえ方が出てるんだろうなと思うけど……。写真史的には需要な展示だと思うし、作品のクオリティ的にこれに目を合わせたほうがいいんだなとは思う、とにかく奇麗。 今まで見た写真展覧会の中でもすっごくきれい、鈴木理策と柴田敏雄の展覧会や今回のソスは本当に展示作品自体が奇麗だった。それは印刷が奇麗とかそういうこと以前に、写真が奇麗。 画面のボケの扱いとかそういう部分めっちゃきれいだったし……気を使ってるんだなっていうのがわかった。 デジタルの過剰補正や汚い色味、雑なボケコントロールていうのがこのレベルの作品に目を合わせておけば分かるようになるとおもうので頑張りたい、ていうかフィルムにしたらこの辺解決して幸せになれるのだろうか、その気はないけど。

北島敬三 「Untitled Records」
アレック・ソスを見てから横浜に戻るとタイミングよく見ることが出来る、と思ってたらこっちがメインディッシュだったかと思えるような展示。 土門拳賞受賞作品ですよ……、このシリーズは分冊でどれ買えばいいのか迷ってたんですが、図録でゲットしました(しかも安い!!)。日本全国の打ち捨てられた景色を収集するっていうコンセプチュアルな作品なんですが、めちゃくちゃ勉強になりました。そしてこの展示も作品どれも独自の美しさ、美学があります、写っているものは悲惨なのに全くそれを感じさせないように表面の像だけを掬い取るような機械的な眼差し、それによって生み出される幾何学的な図像、写真の入れ子構造が滅茶苦茶すごいんです。 青森の海岸に据えられたバス停とか、バス停の入り口の枠から窓とフレームフレームフレームと入れ子になって真ん中にぼやけた海が写るとか……ちょっと実物見て感動した。窓は写真史的に重要なテーマですよっていうのは事前に赤々舎さんの自然の鉛筆や、ホンマタカシの本で読んでたんだけど、やっぱりちゃんと出てくるのよ!美術の言語で話そうとしてるんだなとか、やっぱ最低限そういうのは知っとけよっていうのあんだな……とここでも再確認させられた。 絶景朝日広角ドーンとか大和田さんの著書でも観光写真は写真表現としては評価に値しないのでフォトコンでは取り上げないって言ってたけど、写真っていう評価軸からしたら安直すぎるものを量産しても意味がないっていうのはうなづける。ヘンリーキャロルも、偉大な作家は他人とは違う自分だけの美を見出すというけど、この北島敬三の展示はまさに美しいとは言えない景色が展示作品として成り立っていた。このシリーズはタイポロジー的なルールもあって、プロジェクトの側面が強いなと思う、構図の撮り方は被写体と正対するのが基本で、フレームに対してすべてが平行するデッドパン、天候は曇りが基本、絞り切ってる等、参考になる部分が多かった……。 いやマジで、安易にぼかすとかもうできないなと思う。どこをどうぼかすかの判断が美しくないっていう観点あるもんなこれ……。

という感じで、大和田良さん以外は9末くらいまでやってます、絶対に行ったほうがいいです。この後は
 ・野口理佳「不思議な力」
 ・川内倫子「球体の上 無限の連なり」
 ・小野啓「モール」
あたりが開催されるので見に行こうかなと思います。あと京都のパープルに良ければ……山内悠さんの展示見れるんだけどな……。

川の博物館は面白い所、埼玉県の数少ない遊び場。

植栽ばっかり

新型エクストレイル乗ったんだけどあれはヤバい、欲しくなる。

横浜はアンパンマンが居ていいなぁ

今週めっちゃ出社した。

線を引いてる

正面向き合いましょうといった練習

IMAでトーマス・ルフ特集にのってるnachtっていう湾岸戦争時のナイトスコープを使った報道映像にヒントを得た現代美術の写真って、今のデジカメだと白黒モードのフィルターで実は簡単にまねができるんじゃ?と思った撮影、nachtは望遠だしケラレが必要なのでAPSの高倍率ズームあたりをつけるともっとそれっぽくなるかも。本城直季の作品の後にペンタックスがミニチュアモードつけたりっていうのを見てると、開発者もそういう遊びとか考えたりするのかなと思いをはせる。

アレック・ソスを見た日はあいにくの雨。

別カットも好き。

逗子海岸。

シルバーウィークまでに、残っている本を読み切らないといけない。
でもいろいろ見て感覚が合わないものがなぜ合わないのか、合うもののどこにひかれてるのかがわかってきた。僕はテーマが無いからスナップし続けてるんだけど、何となくテーマを組み立てれそうになってきたので、引き続き地図を作り続けたいと思った。

登山ブログを書いたり、山で写真を撮っています、登山写真で気が付いた技術をひたすらつぶやきます。