子供用の学習用イスを手放したときに得たもの

先日、子供用のイスを粗大ごみに出しました。小学生のときに両親が入学祝いに買ってくれたザ・学習机と同時に私の部屋にやってきた学習用イスです。

私は実家暮らしのため、昔からずっとそのイスを使い続けてきました。
勿論学習机も使っています。

教科書やファイルが並んでいた机上はまっさらの平面に、可動式の袖机はPCを仕舞うスペースに。
27インチのモニター、お気に入りの小説、目線やや上の壁面には美術館で購入したモネとブレッドのポストカード。

大好きなスタロジーの1/2イヤーノートは、モーニングページ用・中国語の学習用・小説のプロット用と3冊。
他にもJBLのスピーカー、クリスタルの小物、一目惚れして購入した香水のビン。

学習机を使い出した小学生の頃とは随分持ち物も、ここから見る部屋の様子も変わりました。
本棚の中身も随分と入れ代わり、コバルトやビーンズの綺羅びやかな背表紙は新潮や早川へ、シンプルなタイトルが並んでいます。
けれど唯一、ずっと子供用イスは変わらずそこにありました。

違和感なく、そして私も一切不満なく座り続けていました。

ふと広告で見たゲーミングチェア。
長時間の作業で負担が軽減されること、ネックレストやリクライニング機能。
昔からの姿勢の悪さと眼精疲労も手伝って、イスを買い替えるかと思い立ちました。
ネットで検索し、良さそうなものを購入。

果たして、やってきたゲーミングチェアはファブリック製で部屋にあっても邪魔しないデザインです。
座面も広く、足元には補助用(?)の輪もなく、成人用のイスは盲点…と思いました。

そして、粗大ごみの収集に。
手配し、当日の朝、ガラガラと音を立てながら指定の場所に置きました。

寂しさが湧き上がりました。
屋外に置かれた子供用イス。
ぽつんとたった一つ、景色に溶け込むことのない学習用のイス。
雨が降ってきたことも拍車をかけたのだと思います。
後ろ髪を引かれながら、仕事のため背を向けました。

一度振り返ると、小説や漫画で見るような、廃棄される侘しい場面と重なりました。

今も思います。
あのまま使い続ければ良かったかな、って。
でも確かに小さいサイズだったのだとも分かった。だから…仕方のないこと。
仕事を終えて帰ってきたその日、イスを捨てたことを話すと、父にそれがものに対する愛着だよ、と言われました。

物を大切に使う、という意味を恥ずかしながらも漸く実感しました。

いくらでも替えがきくこの時代だからこそ、洋服や持ち物を大切にしようと思います。

どこかにこの気持ちを残しておきたかったので、ここに。
お読み頂きありがとうございました。


あとひとつだけ。
写真を取っておけばよかったな、と思うけれど、取らなかったからこその思いもあるのかもしれない。だからそれはそれで良かった。良かったんだよ。


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