日記2023.1.4 /ゲームなど

ゲームの話
phi16さんのコレがおもしろかったので、少し書きたくなってしまったので書きます。

ゲームの話 | Imaginantia
https://phi16.hatenablog.com/entry/2023/01/01/010343

とはいえ、特に読んだ人が得るものないと思うので日記にしておきます。

ボクは映像を作る前はゲームを作っていました。
グラフィッカー、アートディレクターからディレクターまがいのことまで。ビジュアル領域からスタートし、全体を見るような事をしていました。
そして、ゲームをつくるのは難しい…

たとえば…ドラゴンクエストシリーズは世界を救う大きな物語があり、
旅の途中で様々な人間ドラマがあり、いろんな気持ちにさせられます。

しかし、ゲームの軸を支えるのは戦闘を軸とした数字のやりとりの遊びです。
攻撃力とHP、経験値、レベルとそれぞれの役割はありますが、すべては自分のHPがなくなる前に相手のHPを0にするという、ただの数字のやりとりです。
それが、100回どころではなく1000回やっても楽しい。

どんなに素晴らしい物語があっても、どんなに素晴らしいグラフィックがあっても、感動する音楽があっても、この軸の遊びが面白くないと、成立しないのがゲームというメディアです。

ゲームが何かというのを端的に表現するにはPhi16さんのこの表現はいいですね。

「如何に観測をさせて」「如何に制御させるか」

ゲームの話 | Imaginantia

そして

で、ただ、結局これは「どんなゲームが良いのか」「ゲームの何が良いのか」を示しません。まぁそれは当然で、普遍的な定義は特殊な事柄を指し示すことはありません。

ゲームの話 | Imaginantia

まあ、そうなんですよね・・・。
商業でやるからにはゲームであることにプラスして「良く」ないとならない。大変です。

「inscryption」も、あのカードゲームを何百回遊んでも楽しいから大きな物語を描ける。
「デスストランディング」も足場に気を付けて歩くという小さな遊びが妙におもしろい。大きな物語の全ての軸です。

この何百回のプレイに耐えうる遊びをゼロから作るのがゲームです。
ジャンルに乗っかればある程度ラクではあるんだけど…当時のボクはあまりそこに興味がなく、いろいろあって離脱してしまうのでした。
だってゲームを作る人生を歩んでいるのに、それがガワを変えるだけなんて、ねえ・・・。

今ならガワを変えたゲームも理解できるんです。
遊ぶ人の多くは「ゲーム」ではなく「良さ」が欲しくて買っているんですから。
ゲームをつくって、さらに「良さ」をつくる二階建てで作らないとならないなんてねえ。「ゲーム作り」は難しい。
( 冒頭の「ゲームを作るのは難しい…」、じつは自分で難しくしてたんですねえ。 )

「Inscryption」の軸だってMtGなど数々のカードゲームという元ネタがあるんです。約束された楽しさは過去の模倣とも言えてしまう。それでも、あそこまで行ける。そのことに気づいていたら今もゲームを作っていたかもしれません。

とはいえ、この「記憶に残りづらい軸の良さ」。
制作の当事者以外ではまず会話に登場しない地味な軸。
その軸をボクは、今でもとても大切にしています。

この軸、ゲームだけではなく映像や音楽やVR空間、ありとあらゆるメディアにあるはずなんですよね。
今ではこの軸の考え方を転用して映像やVRコンテンツを作っています。こっちでは少し肩の力を抜いて、新しさを作ることに集中してはないんですけど。

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Imaginantia 良さのレイヤー
https://phi16.hatenablog.com/entry/2022/09/24/212115


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