言語化

監督や演出やマネージメントをやっていると、とにかくあらゆるものの言語化が必要になってくる。
概念や視点をパックして相手に渡して、同じ概念を共有する。毎日何十回もそれをやる。

ボールをパスするように、相手に概念を渡すためのテクニック。
言語化というのはつまりそういう事だと考えている。

小さなチーム内であれば演出のテクニックを仮に「おさしみ」と名付けても別にいい。プロジェクト内で良く使う言葉と被らなければ別になんでもいい。

より広く使うなら引用や文脈やイメージや正しい言葉で端的に表すといい。
ポコンポコンと跳ねながら移動するカメラワークを「えだまめカメラ」と名付けたり。

既に近い概念があるかもしれないので探してみると、先人が見つけたコツや概念や研究結果がある事もある。

概念を共有できれば別に短い単語じゃなくてもいい。
例えばボクはモーショングラフィックを作る時のコツを、「そのグラフィック自身が音を発しているように」と伝える。
言語化っていうのは、これくらいで良いと思ってる。

でも、もしまだ何も言語化されてない概念や視点だったら、それはとても有用だ。なんとなくぼんやりしていたものが、言語化によって急にピントが合う。そして誰もが使えるようになる。
ボクは過去「そのグラフィックが音を発しているように」というのを見た事がなかったけど、これを分析から見出して、言葉にできた時とても興奮した。
世の中には感覚でできてしまう天才がゴロゴロいて気絶しそうになるけど、言語化によって概念を共有すればきっと誰かがその先へ行けるんだと信じている
…とも言えるし気軽に共有したくないとも言える(笑)
だってひとつの言語化に10年かかることもあるんだもん。ゆくゆくは収穫したら共有したい概念がいっぱいある。

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