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ニッポン乗りもの紀行 第9回/渡辺雅史

 放送作家&ライター集団リーゼント所属の渡辺雅史と申します。
 2022年4月に無料記事として公開しました「東京乗りもの紀行」、2022年11月と2023年5月に一部を有料記事としました「ニッポン乗りもの紀行」と続けてきました「乗りもの紀行シリーズ」。その最新版をこれから週1回のペースで書かせていただきます。
 通算で第4期となる今回、最初に取り上げる乗りものはこちらです。 

▲電動キックボード「LUUP」

 2023年7月1日の道路交通法改正により、ルールが大きく変更された電動キックボード。そのレンタルサービスを行う「LUUP」です。法改正以降、SNS上で危険運転をする動画が上げられたり、交通事故を起こす新たな要因として報道番組で取り上げられたりするこの乗りもの。実は私、「東京乗りもの紀行」第3回を書く際に使って以降、結構な頻度で利用しています。

 1年半以上利用して感じたこと、そして、なぜ7月1日の法改正以降に危険運転動画が多数上がるようになったのかなどについて、いろいろ書き連ねていこうと思います。 

【渡辺雅史 プロフィール】                       
ライター、放送作家、節約旅行ライター。                               
ライターとして集英社「週刊プレイボーイ」小学館「DIME」などに執筆。 
放送作家としてTBSラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」に参加。      
節約旅行ライターとして、MONDO TV「鉄道ひとり旅 女子鉄編」、旅チャンネル「離島酒場」などの旅番組で交通費節約のアドバイスに関わる。       
鉄道旅行が趣味で、国内の路線全線に乗車。所有する時刻表は500冊以上。
著書として『銀座線の90年』(河出書房新社)『最後の国鉄直流特急型電車』(JTBパブリッシング)など。 

 今回の法改正でいろんな部分が変更されましたが、一番大きなのはこちらだと感じております。 

▲何かわかりますか??

 2023年7月1日の法改正に先がけ、LUUPでは利用者登録をしているユーザーにメールにてルールが変更されることが告知されていました。
 LUUPは登録する際に交通安全テストというのがあります。このテストに合格しないと電動キックボードを借りることが出来ないというルールがあるのですが、法律が変わることで、7月1日以降も利用する際は改めてテストを受けて合格してください、といったこともメールには記されていました。

 7月以降も利用したかったのでテストを受けると「7月以降は原付と同じく二段階右折をしなければならない」という大きなルール変更があり、これで都心部の大きな交差点でも安全に右折できるなと思いました。
 さらに7月になってからアプリを立ち上げると「最高速度が15km/hから20km/hに上がりました」との告知が出ていて「基本、車道を通行する乗り物なのに、これまでは自転車よりも遅いスピード。それが自転車並みになるのはありがたい」と感じました。
 そんな感じで「法改正で使い勝手がよくなったな」と思ったので、7月初めに電動キックボードを利用してみました。
 
 電動キックボードは最初の加速がいいので、交差点を渡り切るまでには最高速度の20km/hに達します。なので、交差点の中でモタつくことは少なくなりました(最高速度が15km/hの頃は大きな交差点では交差点内で自動車に追い越されることもあり、ヒヤッとすることもありました)。
 大きな交差点で右折の際、これまでは小回りの右折が危険なため、キックボードを手で押して横断歩道を渡っていましたが、二段階右折になったので楽になりました。
 と、いいこともあるのですが、先ほどの写真と2022年に取材した際の車体を比べてみてください。

 こちらが今回借りた車両で、

▲2023年

 こちらが2022年に借りたものの写真です。

▲2022年当時

 2022年のものには、すべてバックミラーが付いていますが、現在の車両からはミラーが完全に撤去されました。
 また、2022年の車体には、後部のナンバープレートの両側にウインカーが取り付けられたものが結構ありますが、現在、車両後部にウインカーがあるものはほぼありません。ハンドルの両脇に取り付けられたウインカーは昔も今もあるのですが、体重が90kgもある大きな私が乗車すると、後ろを走る車がウインカーを見ることが出来るかどうかはわかりません。
 
 さらに法改正後は歩道での走行も認められた電動キックボードですが、LUUPのアプリを立ち上げるとこのような表示が出ます。

▲アプリを立ち上げると、こんな表示が!

 これを読むと、歩道走行に対応している車両が一部あるようですが、私は出会ったことがありません。
 
 個人的には最高速度が20km/hに上がったので、ヘルメット着用やウインカー装着を義務付け、車道走行を基本とする乗りものとして進化したらいいなと思います。SNSで危険運転の画像がアップされるのは、歩道でも車道でも中途半端な存在となっているからではないでしょうか。
 
 東京は坂道が多いので、気軽に電動キックボードを利用できるシステムはありがたいものだと思います。最近は「危険なので電動キックボードは禁止すべき」という声も多いですが、個人的には安全性をアップデートして、移動手段の選択肢の中に電動キックボードのある街であってほしいと考えております。
 
 そんなことを考えながら街をブラブラしていたら、新たな乗りものを発見しました。次回はその乗りものを紹介します。
 
(つづく)


※「ニッポン乗りもの紀行」はいつも一部有料の記事なのですが、今回は社会性を重視して無料記事とさせていただきました。次回からは、一部有料となります。ご了承ください。

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