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それでも現行なら、マニュファクチュールムーブを選ぶ理由。【マニュファクチュール VS エボーシュムーブ、結局どっちが偉い?】


ムーブメントマニアでもない私が今回、あえてこの賛否両論のテーマに切り込みます。その理由は大きく5つあって

1️⃣今、高級腕時計実態価値なんて求めらていないから
2️⃣「マニュファクチュールムーブ」が売り文句になっているから
3️⃣むしろETAの凄さを正しく伝えたかったから
4️⃣結局一番重要なのはアフターサービスの考え方だから
5️⃣「不合理な魅力」こそ私が機械式腕時計を買う理由だから

こうしてみると、なんのこっちゃ?な5つですね😂💦
なので先に今回のテーマの結論言っちゃうと、

そもそもマニュファクチュール(自社生産)・エタブリスール(分業生産)に優劣なんてない❗

あるのは趣向や使い方ってだけです。つまり、知識も大切ですが、最も重要なのは、自分の“確かなスタンス・審美眼かなって話です。

誤解のないように、あえて確かなって部分を強調した理由は、ある程度経験を積まなくては、自身の感覚に頼ることなど到底出来ないからです。しかも、それは時計だけじゃなく、あらゆる事柄に対してのこれまでの経験が活きてくるのが面白いんですよね。

時計を楽しくかつ、ある程度正しく捉えるために、間違いなく知識は道しるべになります。それは事実だと思います。そんな事が伝えられたらいいなと思っています。

あなたもハマる⁉ “VS二極化構図”による思考停止の罠

冒頭に敢えて煽るように「マニュファクチュール VS エボーシュムーブ、結局どっちが偉い」なんて言った理由が、このようなVS二極化構図そのものが諸悪の根源であり、原因だと思っているからです。
何よりこの“かくあるべき・鋳型論”が時計趣味とか趣向品と恐ろしく相性が悪い!

もちろん、買うべきではないクソ💩時計というのは確実にありますが、趣向部分に善悪となると話が全く変わってしまいます。

今の世の中ではなんとなく、「マニュファクチュールムーブの方がすごい・偉い!」と言おうモノなら、たちまちガチ勢にニワカ認定される空気が界隈にはあります。だからといって他人評価イメージだけで語る問題ではないです。

例えば良くありがちな間違いに、レジェンドofガチがETAをベタ褒めていたから、それだけで思考停止してエボーシュ正義論を語っていている人。(しかしその人の腕には現行機がこれではきっと、時計の楽しみ方自体の奥行きがなく、そこで止まってしまうと思うんですよね。

とにかく!今回のテーマをきっかけに、“自分はどういった視点で腕時計と付き合っていたかな?”を気楽に考えてみるってのも、面白いんじゃないかぁ〜と思っています。ぜひみなさんも、私の視点からあーでもない、こーでもないをご自身の頭の中で繰り広げて頂ければ嬉しいです☺️

結局どっちが(自分にとって)優れてるかを決められるのは、あなただけですから。

1️⃣今、高級腕時計に実態価値なんて求めらていないから

…いきなり身も蓋もない話と言わずにまあ聞いて下さい💦
まずは私から、個人の趣味趣向の話をしたいと思います。

きっぱり言い切りますが今現在、私は機械式腕時計に機能などの実態価値なんて求めていません。

つまり時計をツールとしてほぼ見ていないのです。ただそんな私も少なくとも20年前は機械式時計を道具としても使っていたので精度とか安定感とかも気にしてました。私でもそうだった訳ですから、より上の世代の方なら尚の事、時計は時間を知る重要なツールだったと思います。

しかし、現代ではスマホのお陰?で、腕時計がズレてもほとんど気になりません。なんせ時計の時刻合わせをスマホでする訳ですからね😂なんという皮肉!
ここが私の言う、高級腕時計に実態価値なんて求めらていないと考える理由です。
エボーシュムーブの魅力はこの実態価値に基づいた価値が大部分を占めると私は感じています。

つまりは昔と今では高級腕時計に対する魅力・機能の前提が変化しているのです。(ただ、私もさすがに壊れてたり、止まっていたら気になりますよ…)

機械式腕時計は実態価値でなく、概念的価値が大部分を占めるようになったと実感しております。
その概念的価値を、私は「不合理な魅力」と呼んでいます。
簡単に言えば、言語化できない・本能的にダイレクトに届く魅力の事です。

時計趣味における不合理な魅力を敢えて言葉にするなら、ブランドや職人が100年先まで見据えて心血注いだ情熱から、想いやコンセプトを受け取る事で、エネルギーというか、元気をもらえる所が魅力なんです。だから、腕時計を身につけていられる喜びの方がツールの実態価値に勝ります。

一概には言えませんがマニュファクチュールムーブにはこの不合理な魅力にあふれる時計が多いという実感があるのです。


💁‍♀ここの結論:一括りにできないにしても、近年のエボーシュムーブの機械式腕時計ツールとして満足は出来ても、現代人が潜在的に求める「不合理な魅力」に欠ける製品が多いと感じています。

2️⃣「マニュファクチュールムーブ」が売り文句になっているから

マニュファクチュールムーブ否定派の言い分はきっとここで、マニュファクチュールって言葉自体がセールストーク・売り文句に成り下がっている部分だろうな〜と理解しています。

実際しょうもない商業マニュファクチュールムーブはあります。最近ではだいぶ減ったと思いますが、ETA20XX年(供給停止問題)問題があったとき、業界全体として搭載ムーブメントのマニュファクチュール化を急いで進めていた歪みがあったのは事実です。

例えば、LVMH傘下のタグ・ホイヤーは、マニュファクチュールクロノグラフムーブをセイコーの開発した6S系の設計をそのまま流用し、部品調達までセイコーと契約しました。他社から設計を買ってでも自社開発しなくては行けなかったのは、ETA20XX年問題対応だったのは間違いありません。
この発表スケジュールからは、バタバタっぷりがよく伝わります。

・2010年 キャリバー1887発表
・2015年 ホイヤー01発表
・2016年 ホイヤー02発表(完全自社設計)

ホイヤー01まではタグ・ホイヤー創業者エドワード・ホイヤーが特許を取得したスイングピニオンにこだわったているとプロモーションしていましたが、完全自社設計ムーブのホイヤー02では高級風味?の強い垂直クラッチにあっさり移行してしまいました。魂を売ってまでの商業的な振る舞いは見事です。

こう見ると、ファンへの裏切りとも言える遍歴なのは良くわかります。
仮に、2015年までホイヤーのクロノグラフに「ホイヤー伝統のスイングピニオンでコラムホイール式に伝統をビンビン感じるわ〜!」なんて誇りに思っていたファンがいらっしゃったら、ちょっとかわいそうですよね…

時代背景で仕方ない側面もありましたが、こういった突貫工事のようなマニュファクチュールムーブがこの時代は多かったのも事実なんです。

「何が伝統を受け継いだマニュファクチュールムーブだよ😂!なら7750だってガツッとカム式+スイングピニオンやんけ。で、このホイヤー1887はいつまでメンテしてもらえるかなwww」

ガチ勢がマニュファクチュール批判したのはこういったブランドの姿勢だった

こうした事情を知ってるガチ勢はマニュファクチュール正義論を言う人を、片っ端からニワカ!と認定したって訳です。私はムーブ設計について詳しくないので多くは語れないですが、そう言った前提は理解しているつもりです。


ここでの結論:
マニュファクチュールムーブメントってラベルだけで買うのは間違いなんじゃないか?って話です。
その上で、どうせ選ぶなら不合理な魅力がぎっしり詰まった真のマニュファクチュールムーブなんじゃないか?という意見です。

3️⃣むしろETAの凄さを正しく伝えたかったから

間違ってほしくない点として、ETAが素晴らしいムーブメントである事に私は異論なしです!ってかそもそも、世間でETAと安物エボーシュを一括りにする事も誤解の元になってて、そこも一度リセットしたいです。
歴史を辿ればETA社はかつて名機を作っていた有力エボーシュメーカーが合併を繰り返し生まれた巨人です。つまりどのエボーシュムーブもかつてのガチ名機です。しょぼい訳がないんです。

★エボーシュムーブが偉い点はトヨタ車と同義

私がETAの凄さを表す時の結論は、ハッキリ言ってコレです。

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