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腐葉土の謎に迫る②

有機栽培、自然農法の間違った畑はベランダデスバレーの土と同じだった

奇跡のりんご栽培で有名な木村秋則さんの書籍に感化されて
畑を借り、
結果的には思ったような結果を得られず、畑を辞めてしまった元夫。
今思えば彼の最大の失敗は参考書の字面を頼りにしすぎて
目に見えている作物や土の状態をほとんど見ていなかったことに
尽きると思います。

でも、「質の良い牛糞肥料、腐葉土、落ち葉」などを入れたにも関わらず
悪くなってしまった畑の
・土の硬さ
・ぬかるみやすさ
・乾燥
・不純物の多さ
・土の匂いに甘さがない、時々酸味がある
・土がなんとなく息苦しい
・アブラムシが多い
・ヨトウガが多い
という状態は
ベランダデスバレー時代、およそ3ヶ月で野菜も草花も枯れてしまっていた
鉢植えの土とよく似てもいたのです。
鉢植えにヨトウ蛾が発生した時は本当に驚きました。

環境ではなく、土そのものについて深く考えるきっかけとなった出来事は
リフォレスター2年目の初夏にやってきました。

すっかり土の再生と、再生した土で
野菜栽培ができる楽しさにハマってしまい、
我慢しきれずに20Lの培養土を追加購入し、
この土を2年目のミニトマトに追い土したのですが、
このことがミニトマトに致命的な病気をもたらしてしまいます。

それまで元気に生育中だったミニトマトの葉が土を追加した翌日から
まるで空気が抜けるように萎れ始めます。
原因は青枯病で、これが発生してしまうとトマトは諦めるしかないらしい。

実は、追加した培養土は自宅周辺で販売されている中で
最も安価で重さも同じ20Lの中でも最も軽い
質の悪い培養土を選んで購入していました。

理由は、リフォレスターは園芸残土でここまで良い土ができるのならば、
販売されている中で最も質の悪い培養土も
ふかふかの良い土に再生できるに違いないと考えたからです。

判断の誤りは、培養土をリフォレスターに入れずに
一部をそのままトマトに足したことでした。

ミニトマトは1年目と同じく、冬の間リフォレストし続けた微生物たっぷり、
栄養たっぷりな土にそのまま植え付けているので、
質の悪い培養土も受け付けるだろうと考えたのでしたが。

気づいていなかったわけではないけど

安価な培養土は、封を切った時から不穏な感じはあったのです。
まず、匂いが生っぽい。
発酵中の落ち葉の匂いにわずかにカビ臭がしました。
それに、大手の培養土に比べ落ち葉の量が多く、
また、植物片も大きめだったのです。
一瞬間違って腐葉土を買ってきてしまったかとラベルを確認しましたが
ラベルは「完熟培養土」とプリントされています。
確かに、土は入っているけれど….。

でも、逆にリフォレスターに腐葉土を入れたらどうなるのか
その結果も見てみたくもあるので、
品質の悪さはむしろチャンスだと捉えたのでした。
とは言え、いくら安価でも「腐葉土」扱いしたくなる培養土って
どうなのかなという思いは否めないけど。

腐葉土自体は肥料でも土壌改良材でもなさそう

質の悪い培養土でピンチになったのは
ミニトマトだけではありませんでした。

通年リフォレスター実験用の1号器でも異変が起こります。
初夏の気温ではハイペースで野菜くずの分解が進んでいたのですが、
培養土を追加した日から、活動がピタッと止まってしまったのです。

それから2週間
ミニトマトは萎れ気味で
完全に枯れるまでは諦めがつかないのでしばらくは様子見にしますが、
なぜだか枯れるまでには至っていません。
リフォレスターの土は
培養土を入れた直後はカビっぽい、キノコっぽい匂いがしていましたが
2週間を過ぎたあたりから匂いがなくなり、
その後急速に状態は改善し始め

ひと月後には1号器の土はものと状態に戻り、
培養土の中にあった植物片もほぼなくなりました。
ミニトマトは青枯病の症状はあるものの新芽は元気に育ち
花も咲き続け、前年よりは収量は落ちたものの
3株で100個を超える収穫はできました。
青枯病にかかったミニトマトですが、
青枯病は寛解しないまま夏越しし、
秋には数個ですが実をつけて、
結局12月に入っても枯れないため、強制終了することになりました。
青枯病のことは調べてもよくわかりませんでしたが、
病原菌は根から茎に侵入し水揚げに障害をもたらすことで
トマトを萎れさせるというメカニズムであれば、
枯れない理由はやはり土にあるような気がします。

ともあれこの経験から、黒色の植物片の集まり。
つまり腐葉土の状態は、決して植物の生育には適さないのだと
考えるようになります。

お手本は森にある

もともと「腐葉土」に関して懐疑的な私ですが、
「腐葉土」が悪いものだとは思っていないのです。
むしろ自然の中では腐葉土が豊かな土ほど立派な木が育ちますから、
養分がないわけないと思います。
でも、作物の栽培に関してとなると、
やっぱりちょっと疑問を持ってしまいます。
それは、腐葉土の上では草は育ちにくいから。

腐葉土をよく観察すると、キノコ系の菌糸やトビムシなどの極小の虫、
野生の中では季節によって粘菌、地衣類がいて
素手で触るのには抵抗がある状態だったりします。
生き物が多いし、紅葉樹の落ち葉が多いので
隙間が多くてふかふかだけれど、
そういう生き物が多い層は不安定で草は根を張りにくく、
タネも発芽する前に腐ってしまうことが多い。

そんな状態のものが野菜作りに有効とは思えないのです。

つまり、植物片が多く残っている腐葉土は化成肥料のように、
即効性を期待して土に加えるものじゃない。

腐葉土の利用目的が
腐葉土に含まれる分解微生物を土に加えることで土をふかふかにする
ということであれば、
植物片が1センチ四方を切るくらいまで分解が進んだもので、
且つ、菌類を滅した状態のものでなければ、
作物に何らかの病気を引き起こしてしまうんじゃないかと思うのです。

リフォレスターの復活はまぐれ当たり

ほぼ腐葉土の培養土もなんとか分解クリアして
元の状態に戻ったリフォレスター。
完全なまぐれ復活なのですが、その復活を考察すると、
要因は2つあるように思います。

1つはカルスNC-Rの特性と微生物の数で押し切ったことが
結果なのではないかということ。

カルスNC-Rは生きた細胞は食べません。
枯れた植物の繊維を好んで食べるのですが、
腐葉土の植物片にキノコ菌やカビ菌が付着していたとしても、
これらは植物の繊維は食べません。
主に、柔らかい葉の部分や皮の部分から食べてゆきます。
キノコ菌やカビ菌は菌糸を伸ばすために植物の硬い繊維を
足がかりにするのですが、急速に足場がなくなることで
菌自体の成長ができにくくなったこと。
同時に、リフォレスターには鶏糞由来の先住微生物がたっぷり繁殖しているため、菌類が分解するより早いスピードで柔らかい部分を食べてしまう。
結果、食べ物がなくなっていまい菌類は死滅してしまった。

もう一つは菌と微生物の生存競争は「土」の中で行われたこと。
そもそもリフォレスターには園芸残土がたくさん入っているわけですが、
菌たちにとって、土の重みは想像以上に深刻な重さになるのではないかと思います。
実際、培養土に含まれる腐葉土からは
ヒトヨタケ類が生えることが多いのですがヒトヨタケは土から生えてはきません。
キノコ全般がそうではないと思うけれど、
でも、やはり菌類は土の重さは苦手なのではないかと思います。

リフォレストした腐葉土からはキノコは生えてきませんので。

リフォレストした腐葉土は良い

腐葉土は懐疑的な私ですが、
微生物で分解した腐葉土は間違いなく良い。
一言で言えば、土がふかふかなのは変わりありませんが、
土の黒さが増します。
そして、土の香りにかすかな甘さが加わります。

土の質も変わりました。
と言っても、微妙な違いなので表現し難いけれど、
野菜くずの分解スピードがちょっと変わったような気がします。
3号器と比べて若干分解スピードが速く、
なんというか。
土が騒がしくなった感じがします。
と言ってもわかりづらいか。
何となく、菌は死滅したけれど、新たな分解微生物が追加された
感じがするとでも言いましょうか。

真価については春になったらもっとよくわかるかもしれません。

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