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腐葉土の謎に迫る③

腐葉土のこと、どのくらい知っている?


自然農法に回帰するとき、
土の豊かな栄養素として利用するのが「腐葉土」。
というのが一般常識。
それが間違いだとは思っていませんが、
肝心なのは「腐葉土の状態」なのではないかと思います。

そもそも私たちは名詞としての「腐葉土」は知っていても
「腐葉土」そのもののことはほとんど知らないのではないでしょうか。

ホームセンターへ行けば生産された腐葉土は簡単に手に入るので、
知らなくても良いと言えば良いのです。

けれど自然農法を目指すのであれば「腐葉土」のあれこれは
知っていないといけなかったのではないかと思うのです。

かつての畑、かつてのベランダでの鉢植えの土の失敗
そしてリフォレスターでのサイクルリサイクルでの
失敗とまでは言えないけど、そこまで徹底する必要がなかったこと。
全ては「腐葉土」のプロセスや変化のあれこれを知らなかったことに
あるように思うのです。

「そんなこと言っても、腐葉土のプロセスなんて知らんわい。」
「アリモノがあるならそれでいいし、
落ち葉を山積みにして放っておけば
自然に勝手に腐葉土ができるんだからそれでいいじゃないか。」
と思われるでしょう。
私もそう思っていました。

なので、アリモノで済ませる方はこの先は読んでも意味がありません。
セオリー通りにうまくいっている方は、
そもそもこの記事を読む気も起こらないはずですから。

出汁と腐葉土は製法も結果もよく似ている

完熟腐葉土の「完熟」とは、落ち葉の分解が終わっているという状態で
柔らかい葉の部分は養分として植物に吸収されやすい形に変化していて
葉脈や硬い繊維質の部分は土の中で隙間を作る支えになる。
その隙間が土のふかふかの源である。

というのが資材としての腐葉土を表す説明だとして、
リフォレスターで再生した土を見る限り、
この説明に訂正と一文を付け加えたいと思います。
まず、植物の硬い繊維質は物理的に土に隙間は作るかもしれないけれど、
土のふかふかさとはあまり関係がないこと。
追加したいのは土をふかふかにするのは物理的なモノではなく。
微生物が発生させるガスが作る隙間だと。

現在農業用微生物資材の開発が盛んになってきていますが、
この結論に到達している人は少なくないと思います。
ただ、分解を目的とした微生物か、
病気の予防を目的とした微生物なのか、
理由ははっきりしないけど、微生物は重要らしいと考えているのか
その辺りがはっきりしない、
はっきりさせていないということなのかもしれません。

なにせ、微生物は本当に多種多様で、
デジタル的なわかりやすく汎用性が高いものではなく、
アナログでゆらぎがあるものですから。

ただ、そういう多種多様でつかみどころがない目には見えないほど小さな
生物でも、まとめてすくい上げ、活用する方法がある。

身近でイメージしやすいモノとして、
日本人の日々の料理に欠かせない「出汁の素」があります。

「いや、全く意味がわからない。」
まって、まって。

スーパーでいつでも手に入る出汁の素ですが、
実際に売り場に行ってみると結構いろんな種類があります。
鰹だし、あごだし、いりこだし、こぶだし、主に顆粒タイプのもの。
高級なだしになると、原材料を乾燥させて粉状にしたもの。
原材料を乾燥させて焼いて粉状にしたもの。
そして、使いやすくしてない、かつおぶし、いりこ。
それはそれは多種多様です。

これを腐葉土に置き換えるとこうなります。

  1. 顆粒タイプ:培養土(に入っている腐葉土)

  2. 原材料そのまま粉状タイプ:腐葉土

  3. 加工した上で粉状にしたタイプ:完熟腐葉土

  4. 原型:落ち葉、枝など

解説をつけてみます。

  1. 顆粒タイプ:培養土(に入っている腐葉土)

1番よく使われる顆粒のダシには純粋なかつおやイワシではなく、
かつおの種類のうち
本鰹以外のソウダガツオやハガツオが使われることが多く、
これらのカツオで本枯れ節の一つ前の枯れ節に近い状態の鰹節を作って
鰹出汁をとっています。イワシも、マイワシではなく、カタクチイワシや
イワシ目で商用に乗らないイワシを使っていますし、
そのほか塩、砂糖、その他調味料を添加しています。
それは、購入してすぐに美味しい料理ができるようにするための
最適な加工です。

培養土の中の腐葉土もカツオ目、イワシ目と同じで
植物の種類は規定していないのではないでしょうか。
でも、それは何も悪いことじゃなくて、種類は規定しなくても
植物由来であれば、立派な材料として、正しく使えるものだからです。

2.原材料そのまま粉状タイプ:腐葉土

原材料そのまま粉状タイプは、
1杯分の粉コーヒーのように紙パックで1回分の魚粉を入れたものが
主流だと思います。
だしをとるためには、
あらかじめ水につけて魚粉に水を含ませる必要があり、魚臭く仕上げないため一定の時間煮出し、取り出したりというダシ取り方法を知る必要があります。

一般腐葉土は初冬に土に漉き込んで、
冬の間土を休ませる必要がありますが、
腐葉土を土のすき込むタイミングや寝かせる期間に関する知識は必要ですよね。

3.加工した上で粉状にしたタイプ:完熟腐葉土

焼成加工した上で粉状にした魚粉は、
だしを取る下準備は原料そのまま粉状にしたものと同じですが、
長く煮出しても臭みは出ませんし、
紙パックから取り出して具の一部として食べても美味しいものです。
最後まで余す所なく食べられるように粉化する前に
焼くことで魚の臭みを取りのぞいているため
ただ煮出したスープそのものも塩を入れるだけで
ちゃんとしたすまし汁として、ほっこりやさしい味を楽しめます。

完熟腐葉土の「完熟」は微細な虫は残るかもしれないけれど、
少なくとも、菌類はいない状態で、菌類がいないということは、
病原菌も限りなくいないに等しく、
残っているのは微細な虫と分解微生物だけ。
微細な虫は植物とは別の動物性タンパク質としても役立ちます。
ものすごく小さくて少ないけど。
土に漉き込んでも寝かせる時間はほとんどいらない優れもの。
それが完熟腐葉土。

4.原型:落ち葉、枝など

原型とは、鰹節や乾燥いりこのことですが、
これらでだしを取るには正しいだし取りの方法や技術が必要になります。

例えば、いりこだしですが、多くの人は水に乾燥いりこを入れて
しばらく置いたのち、火にかけてだしを取り、
場合によってはいりこは取り出さず
そのままお味噌汁の具として食べてしまうのではないでしょうか。

うちの実家はそうでしたが、この方法でだしを取り作る味噌汁はマズい。

なぜならこの方法はいりこ出汁の正しい取り方ではないからです。

いりこ出汁の正しい取り方は、
まず、頭を取り背骨に沿って半分に裂き内臓を取り除きます。
鍋に頭と裂いた身、背骨を入れて香ばしい香りがするまで乾煎りします。
それから水を入れて身がふやけるまっで待ってからコンロに火をつけ中火の弱火でゆっくりとだしを取るのが正しく、
下拵えしたいりこも焼き魚の香りがしてお味噌汁に入ったままにしても
違和感なく美味しく食べることができますし、香り豊かで濃い出汁が取れます。

鰹節に至っては、削り方一つで出汁の取り方も、とった出汁の使い方も異なります。
さらに、鰹節は焼成していないため、どんなに正確に出汁が取れたとしても
そういう出汁の味を楽しむ習慣のない人にとっては
うまいとは思うけど、何か物足りない味と感じてしまうものです。

落ち葉や枝も同じで、ただ集めて放置するだけで良い腐葉土ができるわけではないし、放置の仕方ひとつで栄養価を損なうこともある。
植物の葉なら何でもいいのか、同じ腐葉土ができるのかと言えば
それも違います。
紅葉樹、常緑樹、針葉樹それぞれに適した腐葉化があるので、
そういう見極めが絶対的に必要なのだと思います。


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