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後悔先に立たず#1

こんにちは。
株式会社REGATEの金城です。

本日は時間をかけすぎて後悔した人の案件。

もしかしたらあるあるかもしれないし、そうでもないかもしれない感じの売るタイミングって本当に重要だよねというお話。
売る前にいろんな事情で時間がかかる人っているんですが、過ぎた時間は戻らないと言うことを痛感した事例です。

皆さん待望の胸糞さんは久しぶり(?)に現れるのか?
ご期待ください。

ではど〜ぞ〜

◆好立地物件


ピコ〜ン♪
一件の査定依頼メール。

お♪場所いいじゃん。
古屋あり。か。
調査の時に建物も使えるか要チェックだな。


現地に行くとボロボロの空き家が建っている。
建物は使えるかとか言う問題ではなかった。住めない。解体確定。
一部分だけ残ったトタン屋根。入り口にはドアもなく中を見たら瓦礫の山。
窓ガラスはこれでもかと言うくらいに割れている。

中を見ると近所の子供たち(悪ガキ)の溜まり場になっているっぽくてタバコの吸い殻や空き缶も散乱している。
全く、タバコを吸うのもシンナーやるのもいいけど(ダメです)片付けくらいしていけよ。



にしても物件を早めに処分しないと何か事件が起きたら厄介だな。。。

場所がいいから更地価格で坪単価50~60万円くらいの場所だし、希少性もあるから強気の値付けでも売れるっしょ!

坪単価80万のイケイケの査定書を作ろう♪
場所がいいだけに他社もガンガン強気でくるだろうしな。

早速依頼者の三上さんにアポイントを取り付け物件の売り出しについて打ち合わせ。


三上さんは査定価格を見ると嬉しそうな表情。

「あのボロ実家がこの価格で売れるならすぐにでもお願いしたいです」

いいねいいね〜♪
いい感じの反応だ。

「でも、、、弟が賛成するかどうか・・・」

謄本をあげた時に相続登記と名義も確認していた。共有者の同意が一番最初のハードルになることは想定済みだ。

「そうですね。共有者の弟さんとの売り出し交渉とかも私が請け負いますよ」
「そう言ってもらえると心強いです。でも弟は少し癖が強いので一度私がこの査定書を見せながら説得してみます。金額を見て意外にすぐに売ることに賛成するかもしれないし」

そう、共有者との交渉はここがネックだ。
価格で引っかかる人もいるし、兄弟で仲違いをしていて相手の意向に添いたくないという意地の張り合いのせいで売らないと言う人もいる。
いきなり不動産屋が出ていくよりは兄弟間で話したほうがスムーズなケースもある。

ここは一旦三上さんに任せてみるか。

三上さんから話を聞くと少し関係は拗れているという印象。
弟さんは意見がはっきりとしていて一度決めたらなかなか首を縦に降らない頑固者らしい。
価格になびいて売ると即決してくれたらいいな。

もし、三上さんと弟さんの話がうまくいかない時にはそこの橋渡しで間に入ればいい。三上さんとの関係もそこまでいけば競合他社を振るい落とすには十分だ。


「では一度三上さんに預けますね。もし弟さんが私の説明を受けたいと言うことであれば、すぐに駆けつけますのでお声掛けください!」
「はい。心強いです。では弟と連絡をとってみます。」

心強く思ってくれてありがたい。仲介冥利に尽きる。

三上さんは人当たりが良く柔和な印象の人。悪く言えば気弱な人。
頑固な弟さんに呑まれなきゃいいけどな。


◆少し強引に



数日後。
なかなか三上さんからの連絡はない。
少し状況を聞いてみるか。

「あ、金城さん。お待たせしています。弟と連絡は取れているんですがなかなか時間が合わないんです。と言うか会ってくれない感じで・・・もう少しお待ちいただけますか?」

案件が動きそうな時はできるだけスピーディに動きたい。
あまりにも時間がかかると三上さん本人の売る気も添いでしまいかねない。

「はい!もし三上さんがアポ取れそうになければ私の方から直接アプローチもしますのでご遠慮なく言ってくださいね!」
「はい、ありがとうございます。ここまでお話できたのは金城さんだけです。心強いです」

心強い。うん。ありがたい。
しかも俺だけに相談ってことは他社は落ちたということだな。いいぞ。


またまた数日が経ち。。。連絡はない。

「あ、金城さん。まだ会えていません。でも話は進んでいますよ。電話でも内容を少しづつ話しているんですけどね。もう少しお待ちください」

いや、時間かかりすぎだ。焦れったいな。というか進捗の連絡って必要だよ?

「なんなら私が直接行きますよ?ご遠慮なさらずに言ってくださいね!」
「はい。心強いです」


・・・この人に心強いと言われてもこっちからすると心弱いと言うか心許ないと言うか、、、まぁ一度任せたし話は進んでいるって言うし。。。。


さらに数日。。。連絡なし。この野郎。


「あ。金城さん。まだ会えていません。すみませ・・・」
「三上さん。ここまで弟さんに避けられていたらもう三上さんでは話ができないと思います。私が直接弟さんに連絡をとりますよ。」
「え・・・はい。すみません。心強いです」

この人“心強い”の使い方間違っていないか?それとも俺の知らない心強いの他の意味があるのか?誰か教えていただけますか?

なんにせよこんなに弱気な人と頑固者の弟さんが話をしてもいい結果を持って来れそうにない。
ここで俺が出て行って話が壊れるにしても、このまま三上さんに任せて時間を無駄にするより話が早い。

少し強引だがこっちに話し合いのグリップを握らせてもらうことにするよ。
弟さんを掴めばこっちのもんだ。

「では弟さんの携帯番号とかを教えていただけますか?」
「はい、でも本当に気をつけてくださいね。弟は難しいので・・・」

この際、頑固者の弟さんとバチバチやりあうことも致し方ない。
やってやろうじゃないか。
三上さん!これからも心強く思ってくれよ!


◆弟さんとの面談



謄本を見ると弟さんの住所は物件の近く。
三上さんからもらった携帯に電話をすると意外にもすぐに会ってくれると言うことになった。
堅物な人物を想定していてなかなか会えないと思っていたから拍子抜けだ。

会って話してみたら普通の人だったりするパターンか?

いや、油断禁物。
警戒しながら行こう。


待ち合わせのマックでは15分前についた私よりも早く席に着いていた。

ぱっと見はピシッとしたサラリーマン。
頑固そうに見えるのは先入観だけだろうか。
待ち合わせ時間の15分前には待っているという沖縄では珍しいタイプだし、もしかしたら結構しっかりとしている人なのかもしれない。
いやいや油断禁物。
どんなお人なのか吟味してみようじゃないか。


「この度はお時間をいただいてありがとうございます。つきましてはご実家の件ですが・・・」
「はい。実家のお話をしたいと言うことは伺っていますがどう言った内容ですか?」
「え?お兄さんから売却の依頼を受けたんでそのお話をと思いまして」
「は?あいつまたそんなことを言っているんですか?実家はしばらくは売らないってこの前話したばかりなのに。つい先月の話ですよ。まったく」

弟さんは明らかに苛立っている。ひと月前に売らないという話をしたばかりなのに不動産屋が売却の話を持ってきたらそりゃ怒るわな。だめだこりゃw
何が「話は進んでいます」だ。嘘つきwww

「金城さんには悪いけど実家は今売るつもりはないんだよね。」
「あ〜やっぱりそうですよね。そんな気もしていましたw売る必要はないと思います。」

一気に舵を切る。
ここは三上さんに対する怒りを堪えて弟さんにいい印象を残す作戦といこう。弟さんにとっても心強い存在になる作戦だ。

「ではこの査定書も要らなかったな〜。せっかくなんでお持ち帰りいただけませんか?ご実家の資産価値を把握しといて損はないと思いますので」
「そうですね。ありがとうございます。ではせっかくなので」

査定書を渡ししばらく雑談。
思ったよりも頑固でもなんでもなく、むしろしっかりとしたいい大人。
片方の人から聞く印象を先入観にしちゃいけないということを改めて実感した。

渡した査定書はちらっと内容を説明した程度で、家族関係とかいろんな話を聞かせてもらえた。
お兄さんは今まで兄らしいことを一切せずに実家のご両親のお金を吸い取っているだけの長男で、とにかくお金の話が好きでギャンブルと儲け話で借金ばかり作るどうしようもない人らしい。
今、実家を売ってしまうとご両親が残した最後の資産も食い潰してしまうから当分は売る気になれないとのこと。
弟さんはお金にだらしないお兄さんに嫌気が刺しているし、何か真面目な話をしようにもいつもはぐらかされてお金の無心をされるので辟易しているとのこと。
何かにつけて言葉尻を捉えて上げ足を取ったりして自分の持論を展開してはお金を貰う事ばかり考えているような人らしい。
弟さん曰く詐欺師みたいな人とのこと。

「だからできるだけ兄とは距離を置きたいんですよね」

これが弟さんの本音でこの調子なもんだから三上さんとの実家の話もずっと平行線らしい。

そんな事情があるんならこれ以上は押さないでいいかな。
弟さんと仲良くなっておけばいつか売る時に話が来るだろう。

約一時間くらい話をしてマックを後にした。

今回の面談は時間が少なすぎて弟さんの心強い存在にはなれなかったかな。。。。惜しいな。


◆急転直下


三上さんには今の所弟さんが売る気にならないと言うことを説明。

「そうですか。。。やっぱりな。」

いや、やっぱりなじゃねぇよw
あんたの今までの素行が招いた結末だよ!

「弟さんと色々お話ができたので、もし弟さんの気が変わって売る気になったらすぐにご連絡ください!引き続き宜しくお願いします!」

直ぐに弟さんの気が変わる可能性は低いが必ずいつかは売る案件だ。
兄弟双方でここに住むこともないし、残していても使い道もない。
その時が来るまでお二人とはいい感じのお付き合いをしておこう。
長期案件リスト入りだな。


********

そんなこんなで3ヶ月くらい経ったある日、その月の仕入れ案件が見込めていない時に弟さんから着信。

「金城さん。あの物件売ろうと思うんだけど」

おぉぉぉっぉぉ!!!
長期案件がまさかの短期化www
心強いっす!!!神様最高♪

「金城さんがマックで話してくれた後から物件が気になって注意してみるようになってさ、確かに悪ガキがたむろっていて嫁さんも事故が起きてからじゃ遅いから早めに処分したほういがいいって言い出したんだよね」

マックでの雑談の時に悪ガキの話をした。
いつか火の不始末による火事とかの大きな事件になる前に・・・という煽りが効いたみたいだ。さすが過去の俺。よくやった♪これぞ心強さ!

一件一件の案件に丁寧に接しているとこういうボーナスが落ちてくる。
あの時売りそうもないからってすぐに退散しないでよかった〜♪

そうと決まれば早速三上さんに連絡だ。

「三上さん!弟さんが売る気になってくれました!やりましたね!」
「あ、金城さん?ちょうどよかった。売るならあの土地の値段上げれるかな?倍くらいで売れるって聞いたんですよ」


????

心強さはすぐに掻き消えた・・・
心強さって何なんだろう。


長くなったので続きはまたこんど。

次回予告
・三上さんは何を言い出す?
・弟さんとの仲はどうなる?
・サザエ、初めての〇〇

乞うご期待♪

では〜

次回:後悔先に立たず#2


沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!