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【随時更新:6/16版】「ハリルホジッチ解任事件」の考察:結局何が問題なのか?

※6/16 関連情報追記しました。③
裁判の詳細が決まってきたので追加しました。

※5/19 関連情報追記しました。②
ガーナ戦のメンバーが発表されましたが、特にその件がハリルホジッチ解任に関して何かつながってくる話でもないと思うのでそれには触れていません。その他の情報を追加しています。

※5/13 関連情報を追記しました。①
この記事を最初にアップしてからいろいろな報道がなされていたり考察記事が出ていたりするので関係しそうなものを加筆しました。今後もこの記事に情報を付加する形で、今回の件を追いかけられるような形にしたいなと。
あと、当たり前ではありますが、本大会が近づくにつれて西野JAPANがどうこうみたいな話が増えてきましたね。JFA(というか田嶋会長)的にはこの流れの中でハリルホジッチの件がうやむやになっていくだろうという読みだと思うのですが、少しでもそれに抗うべく、チクチクと今回の話を蒸し返していきたいと思っています。


<本論ここから>

ハリルホジッチ解任事件について、いろいろ問題がごちゃごちゃしてる感じがあり自分でも「むかつく」「田嶋ふざけんな」以外の感情が沸き上がってこないので、何が問題になっているのか一度整理してみようと思い立ち、各種記事などを引っ張りながらまとめました。

この文章を書いている人間は「ハリルホジッチが監督をする日本代表でワールドカップに臨みたかった」というスタンスなので、そこは差し引いたうえで、何かしら参考になれば幸いです。

全部で1万字くらいありますので、時間のない方は途中挿入しているポイント説明図を見ていただきつつさーっと最後までいってください~

いろいろあるけど、重大な論点はこの3つ。

①「ロシアW杯で勝つ」という目指すべきゴールと打ち手(ハリルホジッチ→西野)が合致していないのでは?

②解任に至るプロセスに問題があったのでは?

③この先の日本サッカーの進歩に大きな悪影響を及ぼすのでは?

この3つのポイントは、単に「この解任によって代表チームが勝てるようになるか」ということ=要はピッチで起こることに関する議論だけでは不十分で、そこに至るプロセスやそれ以降のことについてまで考えざるを得ない、ということ。

「西野JAPANはロシアでほんとに勝てるの?」ってだけやってていいんであればよっぽどましだったんですけどね。「ハリルホジッチならこう戦ってた」「いや、それは無理だ、西野のこういう戦い方の方が現実的かつ勝てそう」みたいな話で終わらない、というかそこに本質がないのが今回の一連の話です。

で、1個ずつやっていくと、

①「ロシアW杯で勝つ」という目指すべきゴールと打ち手(ハリルホジッチ→西野)が合致していないのでは?

田嶋会長は解任を発表した解任でこう言っていました。

私は、1パーセントでも、2パーセントでも、W杯で勝つ可能性を追い求めていきたいと思っています。そのために、この決断をいたしました。

あと、こういう意味不明な発言も。

——あと2カ月というタイミングでの解任は、デメリットが多いと思う。それ以上に、今変えなければいけないという状況に追い込まれていたということか?

その通りです。間違いありません。逆に言うと、このタイミングだからこそ西野監督になった。もっと前なら西野監督ではなかったかもしれません。でもこの時期で、残り2カ月しかないことを考えると、この時期だからこそ、この状況でこの決断をした。それくらいの状況に陥っていたと、私は認識しています。

何が「逆」…?

額面通り受け取ると「西野監督になれば、ハリルホジッチ監督よりもW杯で勝てる可能性が高くなる」ということになります。これは本当でしょうか?


※5/13追記
JFAにとっての「W杯で勝つ」とは?という話ですが、ロシア大会に関しては「ベスト8」が目標のようです。2018年度のJFAの予算が「ベスト8進出を想定したもの」になっています。

平たく言えば、日本サッカーの発展のために約200億円の収益を費やす形で、ロシアでワールドカップが開催される2018年度は約236億円という支出を予算に計上しています。収益も支出も過去最大の金額ですが、これはW杯でベスト8に進出することを想定しているためです。ベスト8に進めば、賞金などを含め約19億円の収入増となります。

なので、「西野の方がハリルホジッチよりもベスト8に入る確率が高い」と考えたからこその今回の決断である、というはずなのですが…(本当にそうなのか?というのは後述の通り)


「W杯で勝つ」ためには何が必要か。分解してみるとこんな感じになるかと

まずは土台となるチーム力を高めることは必須。加えて、相手となるコロンビア、セネガル、ポーランド向けにどう戦うかというゲームプランも当然必要。あと、実際にプレーするのは選手ですので、彼らを最終的に頑張らせるマネジメントも大事です。どれも欠かせません。

なので、「西野監督になればW杯でより勝てるようになる」と言うなら、この3つのテーマごとに西野>ハリルホジッチとなっている、となりますが、実際のところどうでしょうか。

●<戦略>土台となるチーム力の向上

ここについては、「誰をチームに組み込むか」「どういうスタイルを志向するか」とさらに分解できるでしょうか。W杯出場を決めた昨年8月以降、この観点でチームを見ると、

・槙野の大きな成長、長澤や中島をいち早くチームに組み込むなど成果はあった
・E-1でもその取り組みを進めるはずだったが、清武や大島の離脱などでうまくいかなかった
・スタイルについては「縦への速さ」を志向していたが、選手側に「単なる放り込み」と伝わっていた可能性も否めない
・親善試合でどこまで手の内を見せていたか不明(ザックジャパンの反省を踏まえていたのかもしれない)

後者の「スタイル」の部分については、8月以降で目に見える進化があったかと言えば微妙という判断もできるかもしれません。いくらテスト的な意味合いが強い時期とは言え、試合結果にはフラストレーションがたまるものもあったのは事実です。

ちなみに、ハリルホジッチ自身も「(昨年12月の)韓国戦の後に解任を考えたという話も聞いた。それであれば、私も少しは理解ができる。W杯より日韓戦の方がいかに重要かということは私も分かっている。」「(解任に関して)ウクライナに負けた、といった結果を突きつけられたのならまだ理解できる。」と述べています。

では、こういった状況を西野新監督が劇的に改善できるのか?

現場からしばらく離れ、最近の栄光ですら10年前のガンバでのアジアチャンピオンという新監督は、就任会見で「2年間、現場を離れて、技術委員長という立場で仕事をしてまいりましたので、まずは指導者としての心身を整えて、しっかり選手を見て、日本サッカー界を見て、これからチーム作りをしていきたいと考えております。」と述べています。メンバー発表まで残された期間は1か月を切っているなか、まずは「指導者として心身を整える」ところから始めないといけない人に何ができるのでしょうか。

また、こんなことも言っていますね。

あまり個人のプレーに関しては制限をかけたくないと思っています。

グループ内最弱国が何を言っているんだ、という感じです。

現状では「ハリルホジッチから西野に変わることで、土台となるチーム力が向上する」と言い切るには根拠がなさすぎます。ただでさえこんな短期間でチームを立て直すのは難しいのに、後任はこう言っちゃあれですがロートルですから。

●<戦術>対戦相手に合わせたゲームプラン

ここはまずハリルホジッチの言葉を。記者会見でのコメントがこれ

私の得意分野である最後の詰めの仕事をさせてもらえなかった。

続いて、ブラディミール・ノバク氏による独占インタビュー

——グループリーグの対戦国であるコロンビア、セネガル、ポーランドとはどのような試合戦術、ゲームプランがあったのか教えてほしい。

 すべて話すには3日間必要だ。私が準備、計画していたことの一部さえも、この場で話すことは困難だ。私はコロンビア代表の10試合を分析して、すべての情報を持っている。攻撃時、守備時では日本の選手がどのようにプレーすべきか詳細な部分まで分かっている。
 W杯ブラジル大会で私がアルジェリア代表を率いて、いかに用意周到に準備してきたかご存知のはずだ。私は戦術のスペシャリストだ。ブラジル大会では優勝国のドイツと対戦し、勝利目前まであと一歩のところに来ていた。ロシアW杯での日本の対戦国は、それぞれプレースタイルが異なる。私がグループリーグの3試合に向けて、どれだけ慎重に準備をしてきたかを分かってくれるはずだ。

すでに分析は進んでいて、あとはこれができる面々を最後に選んで、残りの期間で落とし込んで…というイメージだったんでしょう。

この領域に関して、ハリルホジッチは世界でも上位に入る監督だと言われています。その根拠は4年前のアルジェリアの躍進なので、もう腕が鈍っていたかも…?という推論も成り立たないわけではないです。

ただ、じゃあ西野新監督はそれを上回るものを持っているのか?前述のとおり、そもそも現場感もない人がそんな力を持っていると考えるのはなかなか難しいところです。

●<運用>選手マネジメント(モチベーション管理)

すでに知られている通り、ここに属する領域が今回の解任の決め手だったそうです。田嶋会長はこう言っています。

試合の勝ち負けだけで監督更迭を決めているわけではありません。皆さんのご意見があったから、それで決めたわけでもありません。選手やさまざまな方の意見は聞きましたが、もちろんそれで決めているわけでもありません。ただマリ戦、ウクライナ戦の後、選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきたということ。そして、今までのさまざまなことを総合的に評価して、この結論に達しました。

これに対してハリルホジッチも反論していますが、まあそっちは「俺からすればそんなことはない」でしかない可能性もありますので、それを根拠にするのはフェアではないようにも思います。「15人」の話も裏は取れていないわけで。

なので、ここでは公に出てきているコメント、それも解任発表前のものと後のものを引用したいと思います。

まずはベルギー遠征時の長谷部のコメント

6月に控えるロシア・ワールドカップの直前ということで、今回の2試合が持つ意味は大きい。長谷部も、すでにヴァイッド・ハリルホジッチ監督に対して多くの選手がアピールを始めていると認める。

「この合宿でアピールするという気持ちがすごいありますし、その中でみんながチームのやり方に自分をどう当てはめていくか、そしてその中で自分をどういう風に生かしていくかを試行錯誤しながらやっていますしね、(監督が)とにかくみんなコミュニケーションを取りにきてくれっていうことも言っていて、何人かの選手が監督のところに自分から行っていたりもするし、アピールという部分はみんなそれぞれがやっている感じはありますね」

次に解任発表後の槙野

昨年11月と今年3月の海外遠征ではブラジル、ベルギー、マリ、ウクライナと対戦して1分3敗と結果を残せなかったものの、「選手がバラバラになることもなかった」と答えると、「毎日2回くらいミーティングがあり、選手とスタッフの距離感も非常に近かった。僕としては正直分からない部分はありました」と自身の意見を述べた。

これに対する明確な反証ってでてきているのでしょうか?

現場の声を信じるのであれば…特段ここまでもチームとしてのモチベーションに影響はなかった。むしろ急に監督が変わることで動揺してマイナスすら生まれるのでは?とも思いますが。

ちなみに西野新監督ですら…

——今のところ、なかなかチームがひとつになれていない中で、チームをひとつにするためにどんなアプローチをして、何を伝えたい?

 決して(チームの)現状がバラバラで、崩壊しているとは全く思っていませんし、しっかり戦えていると思います。

というわけでまとめ

①「ロシアW杯で勝つ」という目指すべきゴールと打ち手(ハリルホジッチ→西野)が合致していないのでは?→戦略、戦術、運用、それぞれの面で、西野新監督になることによる上積みが大して期待できない

書いていて悲しいですね。次に行きます

※5/19追記
ケースケホンダ氏のプロフェッショナルについては特にみるべきところはなかったと思いますが、その時の発言が海外にも発信されているようです。

※5/19追記
プロフェッショナル含め、「ハリルホジッチの恐怖政治」「ハリルホジッチは縦に急ぐサッカー一辺倒」的な印象操作が行われていますが、その辺について酒井宏樹からこんなコメントも。

——ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の縦方向に速いサッカーについて、それだけじゃ苦しいのではないか、「プランB」も必要ではと言っている選手もいたと聞きますが、それについては?

 攻撃陣と守備陣と中盤、GKもそうですけれど、各ポジション、たぶん皆、捉え方は違うと思います。別に縦方向に素早く行くのは、現代サッカーでは当たり前のことで、無理だったら下げてもいいから、と監督には言われていたので、僕はそこまで常に縦、縦というイメージではプレーしていなかった。監督からしたら、もっと行けよと思っていたかもしれないですけれど、それで何か言われたことはなかったですし、監督からは別に何も強制されてはいなかったので。ハリルホジッチ監督は、言い方はきついんですが、強制ではないんです。それはインフォメーションなので。僕はそう捉えていました。


②解任に至るプロセスに問題があったのでは?

これも3つの視点で考えたいと思います。

1. そもそも技術委員会と監督の関係が良くなかったのでは?

会長の記者会見で「テクニカルコミッティー(技術委員会)がコミュニケーションの修復を試みた」という話だったが、その存在すら私は知らなかったし、誰も私のところに来て話をしていない。(ハリルホジッチ記者会見)
——霜田正浩氏(元技術委員長・現レノファ山口監督)がJFAを去り、その後、西野朗氏が後任に就いたことについてはどう思ったか?

 2つの派閥が争い、その結果、一方が勝利したということだ。

——その時、JFAから新体制についての説明はあったのか?

 特別な説明はなかったし、説明の必要性は感じていない。会長は新しい技術委員長を選任する権利があるからだ。西野氏との直接的なやりとりは多くなかった。彼は私たちの練習を見守り、自身のための記録帳を用意していた。そしてコーチ陣との会議に出席していた。代表選手を選ぶときは、私が最終的な権限を持っていた。
 フランスでは、技術委員長と監督が何か特別なやりとりをすることはない。技術委員長はその国のサッカーの施策を練り、若手世代の強化に努めることが主な仕事だ。監督に直接的な影響を与えることはない。

——霜田氏が去った後、何か変わったか?

 私の仕事に関しては何も変化はなかった。とはいえ、私は霜田氏とはより多くの接触があったことは確かだ。霜田氏は機会があるごとに、日本代表での私の仕事に感銘を受けている旨を伝えてくれた。西野氏とは「こんにちは」とあいさつを交わすぐらいだった。(ハリルホジッチ独占インタビュー)

この発言を見る限り、ハリルホジッチと霜田氏退任以降の技術委員会との間でまともな意思疎通ができていたとは考えづらいです。

また、解任までに何のアラートも出していない、というのも、これは単純に仕事の進め方としてどうなんだろうなという感じです。これについてはダイヤモンドでも指摘がありました。

さらに、「突然の通告」も問題ではないだろうか。実績がどうであれ、仮に理由が明確であったとしても、突然契約解除を突き付ければ、相手は動転するのが当たり前だ。日本サッカー協会内部では数ヵ月前から検討していたというが、検討していたということと、本人とコミュニケーションしていたということは全く異なる。
「選手とのコミュニケーションの問題がある。協会としても支援するので、手を打ってくれ」と改善を促したり、「コミュニケーションの問題が信頼関係に影響を与えている。このままでは、協会としても何らかの手を打たなければならない」、「遠征で○勝以上を上げないと解任もあり得る」、「このままいけば、不本意だが解任せざるを得ない。○○までに○○を○○のレベルまで改善してくれ」——というような、段階的な予告をして初めて、相手との間に、ある程度の共通認識が形成されるものだ。
「解任予告などをしたら、コミュニケーションや信頼関係が崩れるのではないか」などと思いがちだが、突然の通告の方がよほど問題だ。ハリル氏からすれば、自分は何も知らされず、水面下でコトが動いていたということ自体が、不誠実で、信頼関係を崩壊させる行為だと思ったに違いない。

このあたり、「ハリルホジッチ側からもっと働きかけて説明しておいた方が良かったのでは、関係を作っておけば良かったのでは」という言い方もできなくはないと思います。

ですが、コンビとしてともに信頼していた霜田氏を追い落として「外堀を埋める」ようなことをしていたJFAサイドの動きこそ、ハリルホジッチを頑なにさせた要因だと捉えることもできます。

少なくとも、田嶋会長が指摘した「選手とのコミュニケーション」の問題の前に、JFAとのコミュニケーション不全だったことは(どちらが悪いかは議論の余地もあるかもしれませんが)間違いなさそうです。

2. 正しくない現状認識が意思決定を後押ししたのでは?

ハリルホジッチと協会の間で目指すべきサッカーについて何らかのすり合わせがなされていたとは言い難い状況だと言うのが見えてきているので、今回の解任が「ハリルホジッチの戦い方を吟味したうえで、もっと勝てる可能性のある戦い方をする監督に変えよう」というロジカルな帰結ではないことは明白です。

だから田嶋会長はハリルホジッチにぼやっとした解任理由しか伝えられないのだと思います。だって、ちゃんと言葉にできる明確な理由がないんですから。

パスサッカーの方が…という話についてはハリルホジッチの独占インタビューでのコメントが冴えています。

——田嶋会長によると、日本代表は縦に速いサッカーよりもパス重視のサッカーが日本のスタイルに合っているとのことだが、どう思うか?

 持論を展開するのは自由だが、プレースタイルや戦術に関していえば、彼は門外漢のはずだ。彼の仕事はそこには存在しない。私は資料を作成して、日本のサッカーは選手の個人的かつ集団的な価値に基づいて、アイデンティティーを形成すべきだと説明してきた。他国のコピーであってはならない。自身のプレースタイルを磨く必要があるのだ。
 プレースタイルは選手の性質に依存する。日本人は背が低いが敏捷(びんしょう)性に長けているので、速くて爆発的なプレーが可能だ。100本のパスはゴールまでのプレーを遅らせるだけだ。相手ゴールを危険にさらすためには、速い動き出しこそ必要なのだ。私は17年間、センターFWとしてプレーした。ゴールを奪うための最良の方法を心得ているつもりだ。

また、「選手との関係」について、田嶋会長は最近になって「選手を巻き込みたくない」「選手が反乱したかのような言い方は失礼」という論陣を張っていますが、そもそも「選手から何かしらの問題提起があった」ことをばらしてしまっているのは田嶋会長自身です。

そもそも記者会見の時点で

誰からというのは申し上げられませんが、直接選手からも話を聞いたこともあります。

あと、NHK出演時の書き起こしを中村慎太郎さんのnoteから拝借させていただくと(放送も見ました)、

今回選手に聞いてわかったのですが、自分がでれないから監督を変えてくれなんて言うような選手は一人もいない。日本のサッカーを考えてくれているのがわかってとても嬉しかったし、スタッフも監督と実際に話したりしていました。

「自分が出れないから、ではなく“日本サッカーを考えて”監督人事に何か言っている人はいた」と読めませんかね…?そんなことないですか…?

田嶋会長とのやり取りをした選手について、明確に名前が今出ているのは長谷部だけかな?何となく彼のタイプ的に、自分の意見を強硬に主張するというよりは、メンバーがこう言っているということを伝えるスタンスだったのかなと思いますが。解任が決まった後の沈痛な感じも、この流れを押しとどめられなかったことへの悔恨を読み取れなくもないです。

ベルギー遠征後に一気に事態が動いたのかという質問には「いや、そういうことでもないと思う」と否定。「その部分はあんまり話せないというか、話さなくていいことはあると思うので。『なんでこのタイミングなんだ』と思われると思うし、応援されている方もみなさんそうだと思うけど、僕はいろんな部分を見ているので、そこで考えると選手の責任は重いなと感じる」と言葉を濁した。

この辺とあわせて読むと、長谷部がキャプテンとして何らか知っていたのかなと

日本協会はマリ戦の内容にかつてないほどの危機感を覚えた。団長で、今回監督に就任することになった西野技術委員長(当時)が、同じようにW杯へ危機感を抱いた選手から、聞き取り調査を行っていた。
 チーム状況、監督の求心力、そして信頼。何より、縦に速い攻撃一辺倒の戦い方はどうなのか。その中で、主将の長谷部は、選手の総意として現体制では厳しいと伝えた。
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協会トップの田嶋会長自らも動いていた。強烈なキャラクターと、その歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、危ういハリルホジッチ監督の行く末を案じ、17年12月末には会長自ら、極秘裏にチームをまとめる長谷部と約束を取り付け、クリスマス休暇で帰国した不動の主将と会い、現状を聞き取るなどしていた。

「同じようにW杯へ危機感を抱いた選手」とは…

ちなみに、今回の決定は田嶋氏の「独断」であるというのはFIXでいいっぽいですよね。

ワールドカップ・ロシア大会の初戦まで、2ヵ月あまりと迫った中での異例の人事が田嶋幸三会長の独断で下されたことは、直前まで技術委員長を務めていた西野朗新監督のこの言葉が端的に物語っている。
「技術委員長として精いっぱいやってきたつもりですけれども、足りなかったと痛感しています。監督同様(に解任)、ということになると思ってもいました。今回の決断において、自分が要請されたということに対する戸惑いはもちろんありました」 (ダイヤモンド ハリル解任、田嶋JFA会長の話が納得できない本当の理由)
「彼(ハリルホジッチ)が頑張ってくれたことは評価しています。信頼がなくなっている。コミュニケーションが取れていない。それだけで(解任理由として)十分だと思います」 (デイリーの記事。もはや説明する気ゼロ)

このあたりの話はこの先一生闇の中だとは思いますが、いずれにせよ「一部選手からのバイアスがかかった意見」が意思決定に効いてきているのでは?という疑義が生じかねない状況になってきている、その原因を作ったのは田嶋会長である、ということは忘れないようにしたいと思います。

——選手たちとの関係は良好で、コミュニケーションもうまく取れていたと話していたが、一方で会見では本大会出場を決めたオーストラリア戦後に2人の選手が不満を持っていたことを明らかにした。その選手はそれまでの試合に出場していたという。それは本田圭佑と香川真司のことか?

 名前は重要ではないし、言うつもりはない。サッカーは集団スポーツだ。重要なのはチーム、プレー、パフォーマンス、結果だ。名前は重要ではない。チーム全体は選手個々よりも重要視されるべきである。オーストラリア戦での(選手起用に関する)私の決断は、日本では大きな衝撃だったようだ。日本代表の試合出場数が多い選手たちを使わなかったからだ。

 私はその時の最高のチームを選び、結果的に日本はオーストラリアに歴史的な初勝利を飾った。勝てると信じた人間は少なかったが、私は信じていた。サッカーの世界ではよくあることだ。どの監督も、たとえばジョゼ・モウリーニョ(現マンチェスター・ユナイテッド監督)でさえも、選手から不平を唱えられ、サポーターやメディアからはこの選手を使えと批判される境遇に置かれているのだ。(ハリルホジッチ独占インタビューより)

※5/13 追記
朝日新聞にこんな記事が出ていました。内容というより、なぜこのタイミングでこんなのが出たのかが気になります。

※5/13追記
FLASHによると、「2人」とは本田と長谷部とのこと。長谷部はオーストラリア戦に出てたんですけどね。ちなみにFLASHは以前にも香川アディダスネタで記事を書いていました。


3.本当に「W杯で勝つため」のアクションだったのか?

ここについてはゴシップ色が強くなりますが、話半分程度には意識しておいた方がいいかなと思っているところです。

細かい戦術のない縦一辺倒の攻撃に選手からは疑問が出ていた。レスターのFW岡崎を招集しない選考基準にもチーム内から不満が噴出。ハリルホジッチ監督は「問題は内部で解決する。外部に対する発言は良くない」とかん口令を敷く方針を示したが、多くの選手が報道陣に対して堂々と采配批判ととれる発言を繰り返した。
 この非常事態を受け、日本協会はスタッフを主力選手のもとへ派遣。指揮官の評判を集めたが、否定的な回答が多かった。視聴率低下など人気低迷によるスポンサー側の不満もあり、解任は不可避と判断したもようだ。

解任が報じられる際に、なぜ「スポンサー」がわざわざ出てくるのか?
どうして解任会見の前日夜にフジテレビにその情報がリークされていたのか?
「W杯に勝つため」ならせめてもっと早く監督を変えるべきだったのに、なぜ会長の再選が決まってからの決定になったか?
本来監督を盛り立て最終的には評価する立場だったはずの技術委員長が、なぜ次の監督に収まったか?

本大会直前での解任という「リスク」を「独断」でとった裏側に本当にあったのは何なのでしょうか。

現状明らかになっていることからこのあたりについて何か断言することは難しいです。ただ、ハリルホジッチの独占インタビューでのこの言葉と合わせて覚えておきたいなと。

 私を支えてくれたすべての人に、心より感謝の言葉を贈りたい。残念なことに、今の時代は何が起きてもおかしくない。サッカーよりもビジネスが重要視される時代だ。ただ、今回の件は決して受け入れることができないし、受け入れるつもりもない。解任の理由がいわゆる「コミュニケーション」だと言うなら、事実無根である。JFAには真実を話して、解任の本当の理由を明かしてほしい。それを公に発表してほしい。私を支援してくれている人たちに感謝したい。

※5/13 追記
なぜ田嶋会長は独断で?→「オリンピック」「スポーツ庁長官」という補助線を引いて考えてみよう、という論考がアップされていました。なかなか気になる考え方です。

まとめると、

②解任に至るプロセスに問題があったのでは?→前段として監督と技術委員会の関係がおかしかったうえに、バイアスのかかった情報が意思決定に影響している可能性がある。そもそも、本当に「W杯で勝つため」の解任なのか疑義が生じる状況

次で最後です

③この先の日本サッカーの進歩に大きな悪影響を及ぼすのでは?

当たり前ですが、ロシアW杯が終わってもサッカーはずっと続いていくわけで、代表強化の点では「W杯の結果から4年分の強化プロセスを検証して」「それに基づいて、良いところを伸ばしたり足りない点を強化したりする」ことが必要となります。

そう考えたときに、

ブラジルでの敗戦を経て、「パスサッカーだけでなくいろいろな局面で最適なことをやれた方が良い」という話もあってアギーレ→ハリルホジッチということだったのかなと理解していましたが、ロシアからはその程度の学びすら得るのが難しいと思います。

そして、どさくさにまぎれて発信された「オールジャパン」という考え方。「日本は世界に冠たるサッカー大国だ」とでも思っているのでしょうか?このあたりは、前述した「ほんとに勝とうと思ってる?」にもつながってきますね。身内のポストと厳しくやってW杯で勝つことを天秤にかけると…みたいな話になってないですかね。

③この先の日本サッカーの進歩に大きな悪影響を及ぼすのでは?→ここまでの強化の検証ができないうえに、今後海外からの進んだ知見を積極的に採用する気がないことまで掲げられた。悪影響超絶大。


というわけで…

①「ロシアW杯で勝つ」という目指すべきゴールと打ち手(ハリルホジッチ→西野)が合致していないのでは?⇒合致していない

②解任に至るプロセスに問題があったのでは?⇒問題があった(っぽい)

③この先の日本サッカーの進歩に大きな悪影響を及ぼすのでは?⇒及ぼす

なぜ解任されたかがあやふやで(②)、短期的な成果を得られる可能性も低いうえに(①)、将来にも影を落とす意思決定である(③)、というのが本件の全体像ですね。

ひどい…

で、ほんとに最後に、今回の一件からわかったことをまとめて終わります。希望の見える示唆があればいいんですが、最後まで絶望的な話になります。


◆JFAのガバナンスはめちゃくちゃ

そんなの前から知ってるわ!という声もありますが、ほんとのほんとに白日の下にその最悪さが晒されたのはこれが初めてかもしれません。

アシシさんがこんなことを書いていましたが、

それなりに社会経験を積んだビジネスパーソンならば、KPIという言葉を聞いたことがあるだろう。Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すなら重要業績評価指標、つまり組織における業績評価を定量的にはかるための指標のことを指す。
例えば企業の営業担当ならば、毎月の売上高、獲得顧客数などが指標となる。この数字が評価に直結し、来季のサラリーや昇進人事などに反映される。
評価する側とされる側がお互い納得できるように、定量的な数値を用いるのが特徴的だ。数字で表される「実績」は嘘をつかないからだ。
今回の監督解任劇に照らし合わせてみると、田嶋幸三会長の説明によれば、JFAが日本代表監督を評価する際に使うKPIが、単なる定性的な心証で済まされている、ということになる。

KPI以前に、「日本サッカーを強化する」「そのシンボルとしての日本代表が勝てるようにする」ということ自体ぶれてない?という。

◆「スターシステム」が一線を越えた…

(ここは憶測が入っていますが)

影響力のある選手、それも「旬か否か」ではなく単純に一般知名度のある=スポンサーやメディア受けの良い選手が何よりも優先されるようになってしまった。そして、本来それを突っぱねるべき人が、その流れを悪用してしまった。

これは取り返しのつかないことなのでは?

この「成功体験」はあとあと響くのでは。まともな「監督と選手の関係」がこの先作れるんだろうか。

万が一にでも西野JAPANが躍進でもしたら…本来は闇に葬り去られるべき恥ずかしい事案が、「これが時代の転換点だった!」として持て囃されるのでしょう。何人かのライターが提灯記事を垂れ流し、選手の意見を聞く監督と協会こそ正義!という空気ができあがって…

そのときが本当の終わりの始まりなんだろうか。

結局、こうやって「勝ったら勝ったで嫌だな」とサッカーファンに思わせてしまったこと、これが今回の件の最大の失策なのかもしれませんね。

※5/13追記
裁判という話も出てきましたがどうなるんでしょうか

※5/19追記
裁判マジでやるようですね

※5/19追記
裁判にあたって、こちらの2つの記事にこれまでの時系列や論点になりそうなポイントがまとめられています。

また、ハリルホジッチ氏側は手続き上の問題を指摘している。今回の解任は田嶋会長が専権事項として決断し、理事会の承認を得ていない。JFAは法的な問題はないとしているが、ハリルホジッチ氏の弁護士によれば「一般社団・財団法人法によれば手続き上、理事会の承認を得る必要がある。またJFAの定款にも重要な案件は理事会の承認が必要と書かれている」だという。 
これは解任理由の説明を求めるための手段である。裁判でこの手続きに問題があるとなれば、「なぜ理事会の承認なしに決断したのか」「解任のプロセスはどのようなものなのか」などが明らかになる。そこから解任理由が浮かび上がる可能性は高い。
「こちらの細かい質問には答えていない。ただ、手続きがおかしいというメッセージは伝わっているみたいでして、『時間的猶予がまるでなく、緊急性が高かったということで、田嶋幸三会長が技術委員会等と協議し、決断』した。4月7日にパリで本人に告知後、同9日に日本で記者会見し、後任監督を西野朗氏にすると発表。その後、『4月12日の第5回理事会で報告の上、承認された』という経緯だったと協会は主張しています。つまり、技術委員会等には監督解任を事前に相談したが、理事会を開いて承認を取ったのは事後だったのです」

※5/19追記
ちなみに上記フトチャンの時系列まとめには載っていませんでしたが先ほど引用した部分に関連する情報として、「ハリルホジッチの解任が理事会で承認されたのは5/17」というのがあります。要は「理事会の承認なしに田嶋会長がハリルホジッチの契約を解除した」という話ですよね。「公益法人がこんなことをしてよいのか?」という話は別途自分でも勉強したいところ。

(※※追記の追記:5月の決議は一応「改めて」ということらしく、JFAの言い分としては4月の理事会でも承認されてたってことのようですね→上記週刊朝日の記事も参照。フトチャンの時系列まとめにはそちらの情報は反映されています)

※6/16追記
裁判の日程が出ました。初めて傍聴というものに行ってみようか

東京地裁は第1回口頭弁論期日を7月27日午前11時に指定。社会的関心の高さから最も大きく100人以上が傍聴可能な103号法廷で行われるという。

記事タイトルは煽ってますが、ハリルホジッチが選手を呼びつける意向はないみたいです。

担当弁護士によれば本人の来日を調整中であり、出廷の可能性もあるという。また、証人尋問で選手が呼ばれる可能性もある。担当弁護士は「ハリルホジッチ氏はそのつもりは一切ない」としつつも、「協会側も恐らくその意向はないだろうが、可能性としてないとは言えない」とした。


※5/13追記
真相は闇の中の本件ですが、気になるのは「報道管制」をJFAが全然敷けていないことです。各メディアが「書けないけど裏に何かあることは知っている」という匂いをやたらと出しています。このあたりを丹念に追っていくと何かわかるかもしれません。

「真実を探しに来た」とハリルは言う。だけど、おそらくその「真実」は見つからないと思う。端的に言えば最終的な決断は田嶋会長の独断だったが、細かく調べれば調べるほど、その経緯は複雑で、残念なほどピッチ上でのパフォーマンスとは別の多くの力が働いていたと感じる。「総合的に判断した」という田嶋会長のコメントの中にある「総合的」という言葉がはらむ闇は、分かっているだけでも深い。
今回はどのような内幕があったのか。チーム戦術どころかメンバー選考まで、ハリルホジッチ監督に提言した選手がいたと聞く。「監督に意見すると代表を外される」と恐怖政治が行われたような見方もあるが、監督の専権事項に踏み込む選手は外されて当然だ。分をわきまえない選手が幅をきかせると、監督の首はいくつあっても足りなくなる。


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ハリルホジッチとJFA

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