見出し画像

「40歳以上は全員クビにすればいいんですよ」→もうすぐ40歳

「40歳以上は全員クビにすればいいんですよ」

会社に入って4年目くらい、それなりに「優秀」と認められてきて、一方では自分の仕事になんとなくフラストレーションを感じていた時代に、職場でよくこんなことを言っていた。

自分が部の中では下から数えた方が早い年次で、当然40歳以上の上司や先輩も多数いた環境。今思えばかなりアレな発言だが、わりとその時は本気でそう思っていた。

早く俺に決裁権くれ、そうすれば全部ひっくり返してやる。だから「おっさん」は早く退場してください。

あれから10年以上経って、自分がその40歳に近づきつつある。職場は変わったけど、当時の理屈に従うなら、そろそろクビにならないといけない。

あの頃は、「自分が40歳になる」という未来があることをイメージできていなかった。別に30で死ぬ!とか思ってたわけではなくて、歳をとるとはどういうことなのか全く想像できていなかった。それゆえ、「おっさん」は「自分と全く違う生き物」で「まともな理屈が通じない、旧態依然とした敵」とすんなりレッテル貼りすることができた。

--

普通に考えれば「おっさん」の域に自分がすでに入っているということもあって、ここ数年は「加齢という自然の摂理と精神的にどう向き合うか」に大きな関心がある。

『「若者」をやめて、「大人」を始める』はその心持ちとぴったりの本だった。近い年齢の人(81年前後生まれ)には特におすすめ。

いつまでもカッティングエッジなものをタイムリーに理解しつつ時代の最先端にいる、なんていうのは体力的にも精神的にも時間的にも感性的にも無理(もちろんごく少数の例外はいるだろつけど)。うすうす感づいていたこの残酷な真実をある種肯定してくれるスタンスの本で、個人的にはすごく楽になった。

例の「おっさん」広告はこの真反対で、「人は、情報でいくらでも若返ることができる生き物、ですから。」という旨を訴求している。

そんなに「おっさん」が嫌か。

(「おっさん」=「誰か個人の話ではなく、年齢とか性別の話でもなく。それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルールのこと」とエクスキューズをつけているけど、そういうものの象徴に「おっさん」という言葉を使っている事実にこそ語るべきものがあるような)

--

「おっさん」にさよならして、誰でも情報によって「おっさん」じゃなくなれる(「若返ることができる」)。

NewsPicksがやろうとしていることは、いわば「おっさん排除教」という感じの新興宗教である。

それで幸せになれる人は勝手に信じれば良い。ただ、ほとんどの人が、歳を重ねるにつれてこの「教義」を体現することはかなり難しくなるはず。

そうなったとき、道は2つ。現実とのギャップに引き裂かれて苦しむか、現実を直視できず痛々しい人になるか。 

どっちも嫌だという人は、「老いへの過剰な恐れ」、およびそれとセットの「若さへの盲信」から早く抜け出すしかない(逃げ恥の百合さんとも通ずる話)。

今の時代に学ぶべきことは、「おっさんから脱却するために何かを習得する方法」ではなくて、「正しくおっさんになるために何かを習得する方法」なのではないかと思う。

---

という話を昨日の夜書いていたら、ちょっと切り口は違うもののドンピシャに言いたいことがまとまっていたエントリがすでにあった。


もし面白いと思っていただけたらよろしくお願いします。アウトプットの質向上のための書籍購入などに充てます。