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『日本代表とMr.Children』発売記念 マイベストミスチル曲15(+1)

『日本代表とMr.Children』発売を記念して、マイベストミスチル曲15(+1)を選んでみました。

なぜ15なのかはこちらの本をご参照ください。


先日プレイリストとしての流れを想定してこんなの作りましたが、

今回のは単純に曲として好きか否かで並べてます。また、本の作業にあたって過去作聴き直す中で発見もあったりしたので、この前のプレイリストとは異なる最新のベスト選曲です。これもまたそのうち変わると思いますが。

ショートレビューつきのカウントダウン方式で。手っ取り早く聴きたい方はこちらのプレイリストからどうぞ。



15位 FIGHT CLUB(2015年『REFLECTION』収録)
ブラッド・ピット主演映画をモチーフにしたこの曲は、アルバムリリース前のライブ映画で初めて聴いたときに心を掴まれました。『ファイト・クラブ』が公開されたのは99年末、ミスチルとしては再始動から約1年。桜井和寿の「自分探しの旅」が休養を経て第2幕に入ったタイミングで公開された映画を取り上げ、その曲で「俺達はもう特別じゃない」と歌ったあたり、今思えば「自分探しに夢中でいられるような子供じゃない」(「皮膚呼吸」2018年『重力と呼吸』収録)の伏線だったのかなと。カラッとしたバンドサウンドも『重力と呼吸』に通ずる感じ。

14位 Another Story(2007年『HOME』収録)
最初聴いたときに『Atomic Heart』に入っている「クラスメイト」の進化版だなーとか思った。「箒星」「fanfare」的なものでもなく、「しるし」「HERO」的なものでもない、この絶妙な「空気に溶け込む感じ」(言ってしまえば聴き流せる感じ)の曲をやれるのがミスチルの強いところ。ここから一転して『PIANO MAN』の混沌としたムードに突入するアルバムの流れもよい。

13位 エソラ(2008年『SUPERMARKET FANTASY』収録)
イントロからラストまで「キャッチーサイドオブミスチル」の真骨頂。日本における「スタジアム・ポップ」のひとつの基準点。理屈なく聴きたくなり、理屈なく高揚します。「歌詞がなくても歌詞のメッセージが伝わる感じ」(意訳)というMUSICAでの発言にもある通り、この曲を作れたことがミスチルにとって音と言葉の比重を考えるきっかけにもなったのかなと。

12位 Mr.Shining Moon(1992年『Everything』収録)
正直1stにはあまり思い入れがないんですが、この曲の「ギターポップに憧れるミスチル」の姿には時代の空気も感じられて何だか切ない気持ちになる。歌が始まった瞬間おしゃれなアレンジが「ミスチル節」に塗りつぶされていくところに、桜井和寿のボーカルの強烈な記名性が凝縮されている。LUCKY TAPESあたりにカバーしてほしい。

11位 花言葉(2004年『シフクノオト』収録)
「タガタメ」「掌」みたいな壮大な曲が配されている『シフクノオト』の中での一服の清涼剤という感じの曲。ざくっとした音とメロディの乗せ方が奥田民生テイストでもあり、「さよなら」のリフレインやアコギの雰囲気はスピッツテイストでもあり。歌詞は他愛のない恋愛の終わりのシーンについてですが、「自分たちが歩まなかった(歩めなかった)<大衆に支持されつつうるさい音楽ファンも黙らせる存在>との決別」みたいにも読める気がした。いや、読めないか。これほんといい曲ですよね。

10位 ヒカリノアトリエ(2017年シングル)
10年代のミスチルに対して懐疑的だったので出た当初義務的に音源買ったもののそこまでピンときてなかったのが、聴けば聴くほど「これはいい歌…」という感じに評価が変わっていった曲。『重力と呼吸』を聴く限りバンドとしてこの曲のモードではないのかもしれないけど、まだまだ楚々としたポップソングを作れるということを証明している曲だと思うので、こっち路線でアルバム1枚ぜひ…

9位 CENTER OF UNIVERSE(2000年『Q』収録)
先日のメジャーデビュー25周年ライブでも冒頭で披露されてましたが、バンドとしても大事な曲なんでしょうか。謎の曲構成や早口ボーカル、「すべては捕らえ方次第で僕こそが中心、世界は素晴らしい」という頭大丈夫かって歌詞、などなどカオスなアルバム『Q』を象徴する1曲。そんな曲なのに、加速していって最後は壮大に収束するサビのメロディラインが曲全体を「あり」なものにしてしまう、名人芸としかいいようのないこのバランスはクセになります。

8位 I'll be(1999年『DISCOVERY』収録)
アッパーなシングルバージョンのちょっと躁的な雰囲気にははまらなかったんですが、超長いアルバムバージョンの方はミスチルの中でもとても好きな曲の一つ。これまで「終わりなき旅」「彩り」「名もなき詩」がミスチル教の三大教義という話をちょこちょこしてきましたが、自分にとっては「人生はいつもQ&Aだ 永遠に続いてく禅問答」というフレーズにこそ引っ張られて生きてるのかもしれない。

7位 himawari(2017年シングル)
皆が求める「ミスチル的」なメロディと、バンドダイナミズムの融合。今のモードのミスチルにおける、現時点での最高傑作では。そしてそれはセールス的な黄金期の楽曲と並べても遜色のないものだと思う。個人的には『重力と呼吸』はこの曲の魅力が倍増する構成にこそ価値があるという認識。これが出たあたりから「ミスチルまだいけるのでは…?」という気持ちになった。

6位 Marshmallow day(2012年『(an imitation) blood orange』収録)
バンド以外の音をがっつり前に出してカラフルな感じを出すJポップ的手法がとことん洗練されたこの曲。これも理屈抜きに…系。大サビでメロディがめちゃくちゃおいしくなる感じはQuattro Formaggi「STAND BY ME」にも通じるものがあり、そういう意味でも桜井和寿と和田唱の共通性を感じる(あの曲の印象的な大サビは和田唱が付け足したとのこと)。コバタケがいない状況でこういうのやったらどうなるか聴いてみたい。

※ Quattro Formaggi「STAND BY ME」ご存じない方はこちら。マジで早くサブスク解禁してくれ。YouTubeにあれな感じでアップされたやつしかないので勧めづらい。


5位 HANABI(2008年シングル)
気がついたら「世代を越えたJポップクラシック」になっていたこの曲ですが、出た当初からその瑞々しさといったらありませんでした。LINE MUSICのランキングでおじさんは名前も聞いたことないようなアーティストの曲に混ざってこれがランクインしてるのが本当に頼もしいです。そろそろ10年越しにこういう曲欲しいんですが…

4位 ALIVE(1997年 『BOLERO』 収録)
『深海』のメンタル状況を引きずったタイミングだからこそ出てきたダークな曲だけど、それゆえサビラストの歌詞からアウトロの流れの「暗闇の中にちょっと光が差し込んでくる感じ」にグッとくる。バカ売れしたシングルとこの曲が平然と並んでる『BOLERO』はやっぱり変なアルバムですね。同級生が軽音楽部でコピーしてたのでそういう思い出も染み付いてる1曲。

3位 口笛(2000年シングル)
大学受験の真っ只中にでた曲…という個人的な思い出はそんなになくて、ああでもちょうどまさに受験シーズン佳境のときとか大学入ってからとかよくカラオケで歌ってたな。ピアノのイントロに導かれて始まる優しげなメロディ、そして普遍的な歌詞と、いわゆる「ラブソング」と呼ばれる音楽の基本要素がすべてここに詰まっている気がする。

2位 innocent world(1994年シングル)
おそらく「Jポップ歴代イントロ大賞」のベスト5に選ばれるはずの名イントロで幕を開けるこの曲が「Jポップ時代」「メガヒット時代」に世の中を作り変えていく大きなトリガーとなったわけですが、この辺からミスチルにがっつりはまってそのまま音楽への熱が高まっていったことを考えると、僕自身の人生もこの曲に作り変えられたということになります。まあ同世代でそういう人は山ほどいるでしょう。カラオケで歌った回数は数知れず、バンドでもコピーしました(もちろんボーカル&ギター)。最後ためてからのサビ、ラストフレーズ繰り返しの後演奏はイントロに戻りつつその上をとんでくる桜井さんのファルセット…という展開を短冊シングルで聴いてしびれたからこそ今の自分があります。

1位 友とコーヒーと嘘と胃袋~ロードムービー(2000年アルバム『Q』収録)
最後1曲じゃないやんけ!!という話なんですが、自分の中ではこの組み合わせで1曲という認識です。先ほど「CENTER OF UNIVERSE」について「カオスなアルバム『Q』を象徴する1曲」と書きましたが、ミスチルで1、2を争うごちゃごちゃした「友とコーヒーと嘘と胃袋」からミスチルで1、2を争うセンチメンタルな「ロードムービー」に流れるこの展開にこそ、とっちらかった面白さのある『Q』というアルバムのカタルシスががっつり詰まっていると言えるのではないでしょうか。「なんだって飲み込んで なんだって消化して 全部エネルギーに変えてしまおう」という身も蓋もなさにやられた後に(このフレーズもたぶん自分の人生に大きく影響している)、一呼吸おいて始まるあのイントロ。最高です。『Q』がリリースされた2000年と言えば、日本代表史でいうとトルシエの解任騒動が吹き荒れた年。それにならいますと、この2曲のコンビはトルシエを解任危機から救った西澤明訓と森島寛晃のセレッソユニットを彷彿とさせます(これが言いたかった)。『Q』の曲がこの15曲に4曲ということで、何を隠そうこのアルバムがミスチルの中で一番好き。「十二月のセントラルパークブルース」も「Everything is made from a dream」も良いですね。


というわけで好き放題書きました。上位になるにつれて自分語りが増えていくのがやはりミスチル、という感じ。

『日本代表とMr.Children』ではシフク、じゃなかった紙幅の都合上個々の楽曲を掘り下げることは限られたパートでしかできていませんが、ここで書いたような話のエッセンスが随所に出てきますのでお楽しみに。


もし面白いと思っていただけたらよろしくお願いします。アウトプットの質向上のための書籍購入などに充てます。