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#14 なぜデイサービスで社会参加への取り組みが必要か?

 弊社が運営するリハビックスでは、[社会参加]のための支援・訓練を充実させる取り組みを、ここ数年で続けている。

 社会参加とは、家庭や地域において何がしか自分の役割を担うことである。その実現のため、利用者さんの可能性をアセスメントで見出し、必要な環境調整や機能訓練を行うことで、彼らが活躍できるきっかけや出番作りをする。それがデイサービスで行う社会参加の取り組みである。

 それがなぜ必要なのかを理解するために、デイサービスが何をするための場所なのか?という前提も抑えておきたい。

 今やコンビニの数に迫る勢いで存在するデイサービス。競争も激しく多種多様な事業所が存在する。最新のリハビリマシンを揃えていたり、カラオケやイベントが充実していたり、入浴特化型、カジノやアミューズメント特化型などなど。利用者さんにとって選択肢が多いという点については恵まれているよね。

そんな中で一つ共通していることがある。

 どこも介護保険制度に則った運営をし、介護報酬を請求して売上を上げているということだ。

 色んな考え方があるけれど、介護保険で売上を立てる事業である以上は、介護保険制度が期待するデイサービスの機能は最低限果たさなければならないと思っている。
 そういう意味でデイサービスとは、[心身機能]、[活動]、[社会参加]の3つへの働きかけによって利用者さんの暮らしの質を高める場所であり、合わせてご家族の負担軽減も図っていくことが期待されているわけである。

デイサービスに通うこと自体は社会参加ではない。

 [心身機能]は座る立つ歩くなどの基本動作を訓練し、[活動]はADL訓練のこと。どちらも自立に向けたアプローチであることが何となくイメージできるよね。

では3つ目の[社会参加]はどうだろうか?

 これも無論、社会参加することが利用者さんの暮らしの質の向上に寄与するということで位置付けられているわけである。たまに、デイサービスに通うことが社会参加であると誤解している人もいるが、そうではない。社会参加できるようになるために必要な訓練をデイサービスで行うのである。

社会参加への働きかけがなぜ必要か?

 利用者さんは要介護の認定を受けている。自宅で暮らしていても、普段の生活では当然誰かの手を借りることも必要だ。起き上がる、トイレに行く、お風呂に入る、食事をするなど、彼らは日常的にお世話を受ける存在であるということだ。

「ちょっとトイレに行きたい..」そんな当たり前のことでも毎回誰かの手を必要とする時、人はどんな気持ちを抱くのだろうか。

 感謝していたり、申し訳ないと思っていたり、特に何も思っていないのかもしれない。でも、決して少なくない人が、日常的にお世話されること対して感謝しつつも、ある種の負い目を感じるような瞬間があるのではないかと思う。

 だから自立を目指して機能訓練をし、少しでも自分自身で出来ることを増やしていくことは大事で、それを支援することが私たちの仕事でもある。

 でもね、そこまでの身体機能の回復が難しい方や死が近い方などはどうだろう?

 いや、そもそも高齢者で要介護認定を受けている時点で、機能訓練によって生活の何もかもが自立することは考えにくいはずだ。

 それでも「せめて車椅子からの立ち上がりくらいは自分で出来るようになりましょう!」って言ってリハビリを続けるべきなのかな?

 利用者さんには時間がたくさんあるようで、実はそんなに残されてなかったりもする。この6年デイサービスをやってきてそう感じることは多々あった。彼らに対して身体的な機能訓練に終始してしまうと、きっと訓練だけで残りの人生が終わってしまうだろう。

 そうならないようにするために、社会参加を念頭に置き、必要な環境調整とセットで機能訓練を実施することが大切なんだろうと思う。

 これが中々難しい。きっと、社会参加に向けて働きかける価値を、私たちも、そして利用者さん自身もまだ気付いていなかったり、信じていなかったりするからだ。

 無理もない。利用者さんは、別に社会参加できることを期待してデイサービスに通い始めるわけではない。そりゃそうだろう。日常的にお世話を受けながら暮らしている彼らの方から、「私はこんな役割を担いたい!次はこんな挑戦をしてみたい!」そんな前向きな宣言が初めからホイホイと出てくるわけがないのだから。

 つまり利用者さんが“今”望んでいることを提供しようという方針で運営している限りは、社会参加の取り組みには決してたどり着かない。

社会参加への取り組みに必要なこと

 私たちの介入により、日常的にお世話を受ける彼らにとって想像もしていなかった新しい可能性を示していく。誰かの何かの役に立てること、活躍できる場があるということを気付いてもらうために、企てをもって関わっていく。

そう考えると、私たちの仕事はある意味壮大なお節介なのかもしれないね。

 お節介のその先に、新しい可能性に気付いて自分らしく輝く利用者さんの姿をイメージできるからこそ、私たちもそのために考え悩み、工夫してもっと良い仕事をしようと思えるじゃないかな。

求められることだけをやってていい仕事なんてないよね!

さてこの記事を読んでワクワクしてしまった方、きっとこの仕事向いてます。
一緒に仕事しましょう!

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