心は銀色

鏡で自分を覗くように、私はその人を前に自分の心を覗いたようだった。


かとうさんを知る

スラムに入って2カ月になるのだが、初めてスラム入りした時からずっと気になっていた人とオフ会をしてきた。

かとう(加藤宥仁)さんである。


スラムに入ってすぐに目に入ってくる発言量。
スラムにどっぷり浸かっている人がいるな~
私が抱いた最初の印象だった。

何やら色々訳アリらしく、それをイジられたり受け入れられ、許されるような関係を築けているようだった。

自分は一度やらかした人間関係を修復できずにorしようともせずに、生きてきた節がある。そんな自分と対照的にも見え、かとうさんに益々興味を持った。

そしてオフ会に積極的らしいことをnoteで知った。
そのうちと自分の先延ばし癖をいかんなく発揮し、9月も月末にさしかかろうとしているときだった。
群研主催のハドルに参加し、そこで自分が認知されていたことを知った。
勢いに任せて1対1のオフ会を提案してみた。
この勢いに任せるような行動力はスラムに入ってから不足していた自分の能力が少し向上したと実感している。


オフ会までのやりとり

とてもスムーズに場所やら日時やら段取りが進んで、当日を迎えることとなった。
そして、やり取りも丁寧過ぎるくらいで、恐縮してしまうぐらいだった。
かとうさん自身これまでに、所謂社会的なコミュニケーションの取り方を勉強して学んでいるとのことだったので、ここに努力の軌跡を見た気がした。
何より場数を踏んでいるのだろう、オフ会慣れしている余裕を感じた。

かとうさんについて書かれたnoteを自己紹介代わりに送ってもらえたので一通り読んで会うまでの準備とした。

オフ会当日

約束の時間は14時だったが、かとうさんは1時間前には到着されていた。
早いですねとの返答に近所だからと回答が返ってきた。
この回答が私としては、かとうさんらしさを感じた。

お店に入り、すぐにかとうさんを見つけた。
挨拶をして間もなく、

「何飲まれますか?御馳走しますよ。」

と丁寧に贈与の実践を目の当たりにする。
場数の違いを思い知らされる。
こういったコミュニケーションも後天的に学んで身に着けたものなのかな?とあまりの自然さに少し戸惑った。

実際に会ってみた印象として、かとうさんは確かに邪気がなく、不思議なオーラをまとっているように感じた。
ある程度かとうさんのバックボーンや現在の生き方をnoteで知っていたところもあるのだが、表情も柔らかく、話しやすそうな印象を受けた。

せっかくなので自分の第一印象を聞いてみた。

「爽やかで優しそう」

とても肯定的で好い印象を与えられているようだった。
嬉しさと安心を感じた。

噓偽りのない自分の第一印象を知れるというのは貴重なことだ。
その言葉も本心だなと素直に受け止められるくらいに、かとうさんの純粋さも不思議と伝わってくる。
その純粋さ故にやらかした話や実践を繰り返して修正をしてきた話をしてくれた。
それでもその純粋さを曇らすことなく、外界との触れ方を整えながら生きることは容易ではない。
現に自分は曇らせてきてしまった感覚があるからわかるのだ。
曇らせずに生きられるとは当時は思えなかった。
しかし、目の前にいるかとうさんは純粋さを持ち合わせ、周囲に受容されている。
自分もこんな風に純粋に生きられた世界線もあったのだろうかと、過去の自分をかとうさんに重ねていた。

かとうさんはとてもよく話を聞いてくれた。
私の話をある程度聞いてもらい、いくつかの話題を消化したころに一言。

「何の人かわからないですね」

かとうさんは本当に正直である。
でも、これは至極当然で私が自己開示できていないからだ。
自分の属性やパーソナルな部分を話すことに恐怖を感じる。
そんな自分の心の動きを再確認した。

かとうさんはかなりオープンな方で自己開示ができる、というより隠匿していることの方が辛いとのことだった。
またしても自分とは対照的な考え方で面食らった。

かなり限定した自己開示しかできなかったのが事実である。
ある程度かとうさんについての踏み込んだ話をしたことに対して自分の開示した部分はあまりに少ないのだと思う。
関係を構築する上で重要なことだと理解している。
それでも表面的なコミュニケーションや別の話題に逃げようとする自分がいることを再確認した。
自己開示の度合いや距離感を見誤ってきた経験則から自己開示は避けるという、良くない癖を社会から断絶されていた間に忘れていた。
そんな自分を思い出せたのだった。
そして今、この文章を書きながらも自分を隠匿している。
どこまでも自分を隠したいと思ってしまう。
理解と実践には大きな隔たりがある。
かとうさんにも共感を得られて、今の自分が自己開示が上手くできなくて悩んでいることを理解してもらえた。
場数と実践頑張りましょと勇気づけもいただいた。
ポジティブに捉えて、これも自己開示できるようになる一つの場数だと考えたい。

2時間半ほどで店を後にして、オフ会は無事にお開きとなった。

オフ会を終えて

かとうさんの心の純粋さは鏡のようで、綺麗な銀色をしていた。
それ故に照り返される自分の本当の姿がよく見えた気がした。
今の自分はいぶし銀のようにくすんでいるだろうか。
いつか、理解と実践によって磨かれた綺麗な鏡に私もなれるだろうか。


このnoteを書いていて自分の文章構成力とまとまりのなさに絶望しているが、これが今の自分なんだと自己受容する実践をまさに今ここでしている。

他にも様々な内容を話しましたが、今回は自分の心の動きとして観察できた部分にフォーカスして文章をまとめました。
また、かとうさんはオフ会後にDMで丁寧に感じたことやアドバイスを詳しく送ってくださいましたが、その内容についてはここには書かないことにします。
オフレコならではの魅力があるのもオフ会の醍醐味ということで。

短い時間でしたが、かとうさんとでしか生まれなかった様々な気づきがありました。
かとうさん、本当にありがとうございました。







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