【プロセス】

プロセスとは、特定の達成目標を実現するために設計された一連の活動です。プロセスでは、定義済みのインプットを受け取り、定義済みのアウトプットに変換します。インプットはプロセスで使用されるデータや情報で、アウトプットはプロセスに期待する結果や成果物です。
プロセスには、アウトプットを確実に提供するために必要とされる役割や責任、手段などが含まれる場合があります。担当者が変わっても同じように作業できるように、達成目標を実現するための役割や作業手順を明確に定義することが求められます。

【プロセス・モデル】

プロセスの構成要素や活動などを表したモデルをプロセス・モデルといいます。プロセス・モデルは「プロセス」「プロセス・コントロール」「プロセスの実現要因」で構成され、プロセスの特徴を説明する時に使用されます。
次の図はプロセス・モデルの概要です。

1. プロセス

プロセスは、入力情報(インプット)をもとに、達成目標を実現するように活動して成果を出力(アウトプット)します。
インプットは別のプロセスからのアウトプットであることもあります。また、他のイベントによってプロセスが開始される場合もあります。これら、プロセスの活動を開始する要因のことを「トリガ」といいます。例えばサーバの障害は、イベント管理プロセスとインシデント管理プロセスのトリガになり得ます(これらのプロセスの詳細については、分野「サービスオペレーション」で解説します)。

2. プロセス・コントロール

プロセス・コントロールは、アウトプットを確実に提供できるようにコントロールします。

3. プロセスの実現要因

プロセスの実現要因は、プロセスが「リソース」と「能力」によって実現されることを意味しています。
リソースは、ITサービスを提供するために必要な、ITインフラストラクチャや人材、資金などの資産のことです。
能力は、ITサービスを提供するために必要な、ナレッジ(知識)や人材(経験、スキル)、組織などの、無形の資産のことです。

【プロセスの特性】

プロセスには、以下の4つの特性があります。

・測定可能性

プロセスは適切な方法で測定できます。プロセスが効率的に運用できているかなどを判断する際に、測定結果を使用します。

・特定の結果

プロセスは特定の結果を実現するために存在します。この結果は個別に識別でき、数えられるものでなくてはなりません。

・顧客

どのプロセスも、その主な結果を顧客(ITサービスを購入する人、またはグループ)などの利害関係者に提供します。ITサービス・プロバイダと同じ組織に属する内部顧客であっても、ITサービス・プロバイダと異なる組織に属する外部顧客であっても、プロセスは顧客の期待に応えなければなりません。

・特定のトリガへの応答性

プロセスは、そのプロセスを開始させたトリガを突き止められる必要があります。特定のトリガに反応して、プロセスは開始されるということです。

ーーー　　用語　　ーーー

ITILファンデーション試験で問われる、プロセスに関係するその他の重要な用語を説明します。

【機能】

機能とは、プロセスや活動を実施するために用いられる、人材で構成されるチームまたはグループと、それらが使用するツールやリソースのことです。企業のサービスデスク(ITサービス・プロバイダとユーザ間の単一窓口)などは機能の1つです。

【役割】

役割とは、個人やチームに与えられた責任、活動、および職権です。役割はプロセスまたは機能内で定義されます。1人の個人や1つのチームに複数の役割が与えられることもあります。

【RACIモデル】

責任と役割を明確に定義するための支援ツールとして、RACIモデルがあります。
役割を定義して割り当てる際に、責任の所在を明確にすることで、組織の意思決定を支援します。

RACIモデルの役割は次のとおりです。RACIはそれぞれの役割の頭文字です。

【プロセスの責任者：R】

実行責任者(Responsible)は、例えば全国の拠点ごとに置くなど複数の人に割り当てられることもありますが、説明責任者(Accountable)はタスクごとに1人のみです。

プロセスの責任者として、「プロセス・オーナ」「プロセス・マネージャ」「プロセス実務者」があります。

プロセス・オーナは、プロセスが合意および文書化された手順に従って実施され、プロセスの目的を満たしていることに説明責任を負います。
プロセス・マネージャの責任には、プロセスの実行、モニタリング、報告に必要とされるすべての計画立案と調整が含まれます。1つのプロセスに複数のプロセス・マネージャがいる場合があります。また、プロセス・オーナがプロセス・マネージャの役割を兼任することが多いのですが、大規模な組織では、これらの役割は分けて割り当てます。
プロセス実務者は、プロセスの活動を実行していきますが、プロセス・マネージャが実務を兼任することもあります。

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