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家庭科2

 小学校の家庭科を教えています。もうすぐ調理実習があります。今日は実習の事前学習でした。調理実習は作ったものを学校で食べることができるので、子供達もとてもワクワクとしている授業です。大人になって小学校時代のことを語り出す時、大抵 家庭科で作った食べた話が出てくるほど、思い出の1ぺージになっているようです。

 学校での調理実習は、時間の制約があるので、ゆっくりのんびり楽しみながら作るということが難しいです。また、グループで活動することになるので、全てを一人でできるわけではありません。そんな中で活躍する子は、やっぱり家で何かしら食事のお手伝いをしている子です。ちょっと机を拭く。調理器具を並べる。包丁一つとっても置き方から、取り扱い方、その子の動きを少し見れば、いつもどれだけやっているか、やっていないか、が一目瞭然です。家庭それぞれの考え方があって、小さい頃から包丁を握っている子もいれば、台所に立つことを叱られる子もいます。動きが鈍かったり、手間がかかったりすることで鬱陶しがられ、なかなか触らせてもらえない子もいます。

 かく言う私も、小さい頃から我が子と台所で一緒に立ったタイプかと言えばそうでもなくて、自分が料理が好きだったので得意になって一人舞台になっていた部類だと思います。今から思えば、もう少し一緒に料理をしておけばよかったなあと反省させられます。子供は不器用ですぐにはテキパキとできないものだから、仕事と家事で追われているとついつい手早くと思ってしまって、目先の料理を作る、食べることに集中していたと思います。私がもうちょっと子供心に付き合うゆとりがあったならば、教え伝えることができていたなあと思うのです。幸い、小学生ぐらいまでは真面目に料理を作り、美味しいものを食べさせたいと燃えていたので、その心意気が伝わったのか、二人の娘は自分で工夫して料理ができる子には育ちました。ありがたいことです。

 今回の調理実習では以下のことを子供達へ伝えました。

① 真心を込めて作ること。
② 段取りを考えて全体の流れを感じること。
③ 手を動かし続けること。
④ 「お願いすること。」「ありがとう。」

 
①の「真心込めて作ること」は、料理でも裁縫でもいつも伝え続けていることですが、ぞんざいに作ったものは美味しくないし、できも雑で美しくありません。真心こもったものは、力量の差はあるかもしれませんが、基本がわかっていれば大差ない出来のところに愛情というスパイスが入り素晴らしいものが出来上がります。それを子供達にも体験してほしいと思っています。

そして今回は、グループで個人差がある環境の中で調理実習しながら学ぶことを課題としました。なんでも事は段取り八分とよく言われるように、段取りが良いとほとんど仕上がりはよくなります。その感覚をグループで体感して欲しかったので、お互いの動きがわかる人はやってほしいことがある時に「お願いする。」そしてやって当たり前ではなくて、お互いに協力して助かったことには「ありがとう。」と声を掛け合うということにしました。手を動かさずボーっとしている人がいないように、手を何かしら動かし続けることを自分で考えてほしいと思いました。結果は、ドタバタで終わってしまうかもしれませんが、少しでも意識することで何かしら感じるものがあるといいなあを思っています。

 お家の人が当たり前のように毎日作ってくれる料理に感謝できる心が少しでも育ち、「ありがとう」と言葉に出して言える親子の関係性があったらいいなあを思いました。親は作ることが当たり前になりすぎていて、なかなか言われない一言ですが、ほんの一言が家族間でも大切だと思うのです。

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