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稲荷との思い出

神仏との対峙シリーズでは妙見のおじいちゃんについてばかり書いていたので、今回は稲荷との思い出について書きたいと思います。

完全に笑い話です。

稲荷との出会いは、友人の浄霊をお願いし、先輩霊能者の元を訪れた時のことでした。

師匠が「因縁の処置を始めるか」と言って椅子に座った途端に、先輩霊能者の上にエボシをかぶり、顔を扇子で隠している何者かが現れました。お公家さんのようでした。不思議な気持ちで見惚れていると、先輩が「伏見が出た。」と言いました。

すると師匠が、「伏見、お前が一番最初に出てくるなんて珍しい。この家と何か関係があるのか?」と尋ねました。

するとこのお公家さんが先輩霊能者の身体の中に入り、コクリと頷きました。

それをみた師匠が私の友人に「家で稲荷祀ってるとか?」と尋ねました。

友人は「稲荷は一度お迎えすると代々ずっと祀り続けないといけないと聞いて、それは難しいので祀っていません。それに他の神様と別々に祀らないいけないと聞いて・・・」と答えると、師匠も先輩もキョトンとした顔をしました。

「いや稲荷はユニット名みたいなもので、正体は龍神だから私たちの身内だよ。そんなことは気にしないよ。」と説明しました。

「三大稲荷は祀っても問題ない。それ以外は人間が入ってるからやめた方がいいけど。」

伏見って伏見稲荷のこと?と思いました。あのお公家さん風が?

「伏見には三兄弟の龍神がいる。伏見のお兄ちゃんが一番古い、おねーちゃんも実力ある。あと弟。お兄ちゃんはあだ名が「まろ」」

まろ・・・

確かにどっからどうみてもまろ・・・

それが私の中に残っている稲荷との初めて出会った時の記憶です。

そして、それから2年くらいの歳月が経過し、口寄せができるようになったばかりの頃、毎日のように龍神たちに不当に食べ物をたかられていた時期がありました。

特に、妙見の、大量の霊を集めてきて私に取り憑けて霊障を引き起こし、自分で助けてお礼(好物)をゲットするという姑息なマッチポンプ霊障に悩まされていました。マッチポンプ霊障を見破ると、手を変え品をかえ、いろんな商法で食べ物を要求してきました。

しかも妙見だけでなく、他にも小狡い悪徳商法を模倣するじじいたちが後を経ちませんでした。

とにかく毎日毎日いろんな手法でお礼を要求してきました・・・

そんなある日、白髪で髭の生えたじじいが現れました。

お風呂でくつろいでいたら湯船に近づいてきて、話しかけてきました。

「お前の家が燃えたことがあっただろう?訳を知りたいか?」と聞いてきました。

確かに私の生まれる前に家が全焼したことがあったのは知っていました。

しかも母から不思議な話を聞いていました。

実は私の地元では、家を新築する際に行う地鎮祭は、教派神道である御嶽教の神官を呼ぶ風習がありました。私の祖母の弟さんが御嶽教の神官であったようで、新しく家を建てた際に地鎮祭をお願いしたと。

その際に、その親戚である神官が、「ここに家を立てるのか?」と聞いてきたと。

「はい。」と答えると、「おかしい。ここには家は立たないはずだ。敷地の西側に家を建てた方がいい。」とそうおっしゃったと。

でも母は、「もう決まっているので。」と言って、神官は疑問に思いながらも地鎮祭を取り行ってくださったそうです。

それから数年後、新しく建てた家は火事で全焼し、結局、敷地の西側に家を建てることになったとのことでした。幸い怪我人は誰も出なかったそうです。

母はこんな不思議なことがあるのかと思ったと言っていました。

その話を子供の頃から聞かされていたので、すごく不思議に思っていました。

あの火事の真相が少し気になり、その白髭のおじいちゃんに「何か霊的な原因があるの?」と尋ねました。

すると「稲荷だ。」と。

「稲荷がウキウキして。」と言ってきました。

え、ウキウキ・・・?

「どういうこと?」と聞くと。

「稲荷が遊んでいたら燃えた。」と言うではありませんか。

んだと?

「お前の家は稲荷の遊び場の中にある。」と。

「もう燃えないよね?」聞くと、「それはわからない。(自分が)稲荷に(燃やさないように)言ってやってもいい。」という回答が返ってきました。

なんだこのきな臭い展開は・・・

この時の私は、タダで稲荷と仲介してくれるなんていうお人好しは天界には存在しないことを理解していました。つまり「食べ物をくれるなら交渉してやってもいい」ということだと思いました。

この日の前々日くらいに妙見が自分の息子に好物をねだらせ、自分が上前をはねるという詐欺師まがいの事件を起こしていたので、何か嫌な予感がしました。すぐに師匠に連絡しました。

師匠に経緯を説明すると、師匠が「そのじじい、K(中国の地名)のじじいだな。豊川にいる稲荷はそいつの息子だよ。」と言って、「妙見と同じ手口。息子をダシに食べ物を要求するつもりだろう。」と。やはり妙見の模倣犯だと確信しました。

「直接、豊川と交渉した方がいい」と師匠に言われました。

師匠曰く豊川稲荷の上空に霊的な社があり、そこに龍神がいると師匠が言ってたのを覚えていました。その龍神は古代魔術の使い手だと。

どんな龍神なんだろうと思いドキドキしながら召喚してみました。

すると、やたら美形のホストみたいな龍神が現れました。ミュージシャンのGacktで脳内再生お願いします。

師匠曰く、「豊川にいる龍神はギリシャ神話にも出てくる。ナルシストの語源のあれ。」と・・・

そのナルシストなGackt様が「なんだよ」とめっちゃくちゃぶっきらぼうに現れました。

「私が誰かわかる?」と聞くと、「わかる。お前が生まれた時から知っている。」

と言いました。やっぱり豊川稲荷かと思いました。

「うちを燃やしたことある?」と聞くと。

「あぁ、ウキウキしてたら燃えた。」とあっさり燃やしたことを認めました。悪びれない。

「もう燃やさないよね?」と聞くと、「わからない。ウキウキしたらわからない。」と。

「燃やさないで。」と言うと「お前の家の者がオレの遊び場に(家を)建てた。」と言ってきました。

つまりお前らが後から来たのだから、立ち退かせたいなら対価を払えと言うことだと理解。

確かに・・・正しい・・・

地上げを決意しました。

「何か好物を食べて供えるから、遊び場を移転して欲しいんだけど。」というと、豊川は大きく目を見開いて「お前がオレに食べ物を食べてくれるのか?」と聞いてきました。

この頃すでに、私は自分が龍神にとっての優良胃袋であることを自覚していました。ほら、優良胃袋の私があなたのために食べ物を食べて差し上げますよ、ほらほら。

案の定、豊川は

「お前のような(魂が)美しいものは、生まれてすぐに上の者(じじいども)に目をつけられる(から自分の胃袋にはできない)」=お前の胃袋を使えるのはラッキー、と言ってきました。

しめしめ、思うツボ。

「何がいい?」と聞くと、「たくさんの稲荷ずし」と答えてきました。

本当においなりさんが好きなのか・・・

師匠曰く、本物の龍神がいる神社の周辺は、その龍神の好物がその土地でよく食べられていたりすると。例えば熱田はあんこ、豊川は稲荷ずしと言うように。名古屋の過剰なあんこ文化は熱田にいる龍神の影響、豊川稲荷付近で稲荷ずしが有名になっているのもこの龍神の影響だと言うのです。

たくさんの稲荷ずしを要求された私は、

「たくさんの稲荷ずしって何個くらい?」と聞くと。

「うーーーーん・・・500個」と、かなりの量を要求してきました。

私はその時、遠方に住んでいたので、その土地に住んでいる両親にも食べてもらう必要があると感じていました。自分が手伝ったとしても両親に500個の稲荷ずしを食べてくれ、は、さすがにハードルが高すぎると思いました。

「それだと多すぎて拒否される可能性もあるから50個くらいではどう?」と聞くと、「それでもいい。」と答えてきました。

やった、値切れた、と思いました。この頃、散々龍神に足元をみられてお供物をぼったくられていた私は自分で値切れたことを誇らしく感じました。成長したぞ、と。

しかしそのことを師匠に報告すると、「50個はぼったくられてる。」と言われてしまいました。「こっちで交渉するから。」と・・・

先輩霊能者と師匠に交渉してもらった結果、「うどんと稲荷ずしのセットでいいってよ。」と言われました。グッと減った・・・またぼったくられていたのかと悲しくなりました。「フルーツパフェでもいいと言ってた。」と。

どっちも食べます、と返事しました。

師匠とこのやりとりをした後、なんでぼったくるんだよ、くそ!と思って、思わずGacktに、「ぼったくりホスト!」と見た目を揶揄しつつクレームをつけました。

するとGacktが、「ホストってなんだ?」と言うので、「女性から好かれて貢がれるのが仕事の人。」と言うと、急にGacktの顔がパァッと明るくなり、「それはオレのことじゃないか。」といたく感心している様子・・・

ぼったくりは完全にスルー・・・

なんだか変な方向に行っちゃった気がしたのですが、まぁいっか、と思ってそのままにしておきました。

それ以来、Gacktがたまに現れてはホストについてあれやこれや質問してきました。適当に答えていましたが、その度にGacktは目を輝かせて私の話を聞いていました。

それからしばらくして、職場で一人で仕事をしていたところ、後ろに誰かがやってきた気配がしました。自分の後ろは霊視できません。

「誰?」と聞くと、

「伏見のホストじゃ。」

と名乗ってお公家さんが登場しました。

!!!!

思わず吹きました。

伏見のホストって・・・

「ホストって何か知ってるの?」と聞くと、「豊川から聞いた。」と。

「女に貢がれるのが仕事の者だろう?」とお公家さんまで目を輝かせている・・・

なんか稲荷の間でホストがものすごくいいものになっている・・・

私が「じゃぁ、ホストがいるところはホストクラブだから、伏見稲荷をホストクラブって呼んでいい?」と聞くと、お公家さんは「伏見稲荷はホストクラブじゃない。」と言ってきました。なぜかと尋ねると「ホストクラブは女の行くところだろう?伏見稲荷は男も来る。」

なるほど・・・

意外と分析力ある・・・いや感心している場合ではない。

何かがおかしいことになってしまいました・・・

もしどこかのお稲荷さんがホストを名乗ってきたら、私のせいです・・・

終わり。

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