私達のはじまり

Vtuberである凪乃ましろさんのファン小説(二次創作)第一話目です。全二話ですので良ければ読んでみて下さい。
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「……ここは、どこ??」

目を覚ますと、眼前には海が広がっていた。
陽の光を受けてキラキラと輝いているそれは、私の住んでいる所には無いはずのものだ。

「えっ、海……!? なんで!? 私、家で寝てた筈なのに……」

混乱しながら辺りを見回すと、少し離れた所を1人の少女が歩いているのが見えた。
真っ白のロングヘアーはサラサラと風になびいており、足取りはとても楽しそうだ。

う〜ん、ここがどこだか分からないしあの人に聞いてみるか。
見た感じ誠実で優しそうだし。

「あの〜、すみません」

そう言いながら私が近付いていくと、少女がクルッとこちらに振り向いた。
後ろの海と同じ色のキラキラとした瞳が私の姿を捉える。
彼女の容姿は非常に整っていて、見ていると何だか守ってあげたくなるような感じだ。

その子は、私の方を見て可愛らしく小首を傾げると小さな桜色の唇を開く。

「こんにちは。頭まっしろ歌うポンコツライバーの凪乃ましろです! よろしくお願いします」

唐突な自己紹介。
彼女はペコリと丁寧にお辞儀してから、私の方へ向かってニッコリと微笑んだ。

私はというと、とても困惑しながら頭を下げる。

「えっ? あ、はい……よろしくお願いします」
「はい! えへへ、会えて嬉しいなぁ〜」

……何で? 私は一般人だよ!? 何で会えたことを喜んでくれるの!?

この時点で私は何となく察した。

ああ、そうか。
この子はきっと天然なんだ、と。

「貴方はどこから来たんですか?」

ましろちゃんがそう尋ねてきたので、私は山の方を指差しながら答える。

「え、ええっと……あっちの山の麓の方かな、たぶん」
「そうなんですね! 山か〜、山菜の天ぷらが食べ放題ですね〜。ふふふ」
「え? ああ、はい……」

この子、やっぱり天然だ!
そして食いしん坊だ!!
だって、天ぷらの事を思い浮かべてるのか、幸せそうな顔して目を閉じてるし、口元が緩んでる!!

まったく……何か気が抜けるなぁ。
私はここがどこだかもまだいまいち分からないし、帰り方も調べないといけないのに。

でも、たまにはこういう風にのんびり気楽に過ごすのも悪くないのかも。

そう思いながらトリップしているましろちゃんの事を微笑ましく眺めていると、彼女が突然ハッと我に返った。

「はっ! ごめんなさい! 私、食べることが大好きで、つい美味しいものの事を考えてぼうっとしちゃいました!」
「ふふっ、そうだと思いました。別に大丈夫ですよ。気にしないで下さい」
「ありがとう〜!! あっ、そうだ! 私、これから大福を食べに行く所だったんです! 良かったら一緒に行きませんか?」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん! さあ、行きましょう!」

ましろちゃんはそう言うや否や、私の手を取って元気に走り始めた。

「ふふっ、何だか妹が出来たみたい」

思わず、私の口からポロッとそんな言葉が漏れ出した。

「え〜っ!? 私、絶対お姉さんだと思う! だって、この前も皆からましろちゃんはお姉さんぽいって言われたんだから!」
「えっ、それはないと思う」
「何で!? 初対面だよね!? あれ!? おかしくない!?」
「ふふふっ、ごめんごめん! でも、ましろちゃん可愛いから、つい」
「もう〜!! 絶対私はお姉さんです!! いいですか!?」
「はいはい」
「もう〜、ちゃんとわかってるのかな〜」

ましろちゃんはブツブツ言いながらも私を連れて大福屋へ向かって走っていく。

この子、やっぱり可愛いな。
私、ましろちゃんのことをもっと知りたい。
そして、仲良くなりたい。

ここがどこかは分からないけど、それは大福でも食べながらゆっくり聞いてみよう。
今は……辛い現実を思い出したくないし。

to be continue……



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