面識のあるどころかこんなに凄い方に前回は「One」や「Dancing Queen」の振付を踊って頂いたのでさぞや嫌われていないだろうかと不安でいっぱいになりながらの再会となりましたが、にこやかな笑顔でこちらの心配を一掃して下さいました。

僭越ながら智恵さんの歌は「風」を感じます。というか、智恵さん自体が風なのかもしれません。いとも簡単にハイトーンな音程を奏で（簡単に、では無いことは重々承知しています）新緑の間を渡るそよ風を感じさせたかと思うと、包容力のある深い中低音はまるで枯れ葉を弄ぶ秋風。

「Sound of Music」のシーンでは歌っていない他のキャストさんにはゆったりと揺れていてください、とお伝えしたのですがその演出をかけるまでもなく皆さんは自然にアルプスの山の上で童心に戻り揺れていました。

「ジングルベル」のお茶目な一面はポッと心の中に暖かい灯を点して下さいましたし、中井さんとのデュエット、オペラ座の怪人「All I Ask Of You」も至極の一品でした。

でもね、僕が一番感動したのは「Gold」でロダン役の武藤さんに彫刻される智恵さんの姿、だったのです。長年ダンスに携わってきましたがあんなに美しい心と形を観たのは初めてでした。