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#文フリ東京 北欧フェミニズム入門 #文フリ #私の仕事

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文フリ東京に出す北欧フェミニズム入門の原稿 紙版はこちらで買えます。北欧フェミニズム入門(2019年11月24日文学フリマ東京) | hokuoufeminism https:/… もっと読む
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#文フリ東京 #文学フリマ 北欧フェミニズム入門、紙版通販しています。

2019年11月24日文学フリマ東京で販売した北欧フェミニズム入門、紙版、通販しています。 https://booth.pm/ja/items/1697358 note版とは一致してない部分もありますので、目次をお確かめください。北欧のフェミニズム書籍のブックガイドです。出版翻訳の仕事について、本の仕事で身を立てる難しさについても書いています。 (目次) はじめに 翻訳は主婦の小遣い稼ぎ? 第1部 フェミニズム運動が求めてきた権利1 教育を受け、職を持ち、自分でお金

テレビ番組『Øgendahlと偉大な作家たち』カーレン・ブリクセン編④最終

アフリカの日々/アフリカの農園 冬の物語 私は誰? アフリカの日々/アフリカの農園  続きです。文学批評家Anne Marie Maiはこう言います。 「1作目が出された3年後の1937年、『アフリカの日々/アフリカの農園』が出されました。これはご存知の通り、彼女の代表作です。これは彼女のアフリカでの体験、経験を解釈して書いた本です。色彩、景色、物語に満ちたこの本は、ムードたっぷり。比較文化的なものの見方がされています。ファンタスティックで読者の考察を促すこの本の世界に没

テレビ番組『Øgendahlと偉大な作家たち』カーレン・ブリクセン編③

『7つの素晴らしい物語』 アメリカ、デンマークでの受容、Isak Dinesenという筆名 ファンタスティックで、不条理で、不気味で、超自然的な文学 本嫌いな人に本に興味を持ってもらうための工夫 人間の多面性 芸術とは? 偉大な作家とは? ブリクセンと飛行機に乗って、鳥の目線で世界を捉える 『7つの素晴らしい物語』  前回お伝えした通り、絶望の淵に立たされたブリクセンですが、亡き恋人の”いつかこの物語を本にしておくれ。僕は君の物語が大好きなんだよ”という言葉だけを人生の道

テレビ番組『Øgendahlと偉大な作家たち』カーレン・ブリクセン編②

ブリクセンのモットーー勇敢でいよう、真実を語ろう 離婚と新しい恋人 鳥の目線で世界を捉える 恋人の死、仕送り打ち切り デンマークに泣く泣く戻る ブリクセンのモットーー勇敢でいよう、真実を語ろう  前回、アフリカでブリクセンが窮地に追いつめられたと書きました。  司会者のØgendahlが話していると、突然弓矢が飛んできます(この時の反応がさすがコメディアン、面白い)。 すると馬に乗ったPernille Højmark(女優で歌手で作家)が突然、ご登場~。弓を射抜いたのは

テレビ番組『Øgendahlと偉大な作家たち』カーレン・ブリクセン編①

カーレン・ブリクセンなんて読んだことないよ 女性が参政権を得ていない時代にアフリカで農園を営む 若い人への助言――”人を愛し、ユーモアと勇気を持とう” 父の自殺 ケニアでコーヒーのプランテーションを営む 夫の浮気で梅毒に カーレン・ブリクセンなんて読んだことないよ   『Øgendahlと偉大な作家たち』というデンマークの番組が好きだ。ナビゲーターのØgendahl氏はコメディアン。  カーレン・ブリクセンについてこう彼は言う。 「彼女はたくさんの本を著した。僕は読んでい

HSP(敏感すぎる人)日記

 私の感情は私のものだ。  誰かと同じように感じないから、おかしいだなんて、変だなんて、言われたくない。  私の感受性は私のものだ。誰にも侵してほしくない。  私の痛みは私のものだ。皆悲しんでいないのに、なぜあなたは悲しむの? なんて聞かれたくない。  私の感動も私のものだ。他の人にとってはとるに足りないことでも、感動して胸が熱くなって、目からはらはら涙がこぼれる。    私のおかしみだって私のものだ。他の人が笑わないことでも、私にはおかしくてたまらない。周りの顔色をうかがい

毒/結婚(Tove Ditlevsen)(1971年、140ページ、デンマーク)

(目次) Tove旋風が英国に吹き荒れる Tove Ditlevsenの結婚生活 現代にも通じるテーマ 小説のあらすじ 実際のToveの晩年 女性解放運動とTove フェミニズム小説? ウルフとTove 幸せな結婚生活を夢見る女心 ******************************************************* Tove旋風が英国に吹き荒れる Tove Ditlevsenの『毒/結婚』(Gift)は、デンマークを代表する作家、Tove

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北欧の児童書を使って考えるーー伊藤詩織さんが出演した北欧のトーク番組で、司会者達はなぜ彼女を責めなかったんだろう?ーー

北欧のトーク番組に伊藤詩織さんが出演 スウェーデンとノルウェーで共同制作・放送されているトーク番組スカヴラン(Skavlan)の2月16日放送回に日本人ジャーナリストの伊藤詩織さんが出演した。 司会者はノルウェー人のテレビ・パーソナリティ/ジャーナリスト、フレドリック・スカヴラン(Fredrik Skavlan)。向かって右手、赤い服の女性は英国の作家のジョジョ・モイーズ。 司会者は詩織さん登場前に、「次は日本――レイプ被害を受けた女性の4%しか警察に行かない国です。伊

ムーニーのCMが炎上。ワンオペ育児するのが、ママじゃなくてパパだったら? ノルウェーのジェンダーフリー教科書を使って考える

ムーニーのCMが、ワンオペ育児賛美ではないかと批判を浴びている。 家事と育児をママがほとんど1人でこなしていて、とても大変そうだ。いや、大変どころか、産後鬱にならないか、と心配になってくる。それでも「その時間が、いつか宝物になる」そうだ。はて、どういうことだろう? ノルウェーの男女平等の本 男女平等の先進国、ノルウェーで出された『男女平等の本』(日本での出版は1998年、インゲル・ヨハンネ・アルネセン、アウド・ランボー 作、カーリ・グローッスマン 画、ノルウェー男女平等

翻訳は主婦の小遣い稼ぎ? 北欧語翻訳者が #フリーランスが保活に思うこと イベントに参加して

最近女性の生き方についての議論が活発に行われているような気がします。 そうした記事や本、映像などに触れるうちに、人間として当たり前の権利を望む女性が、この社会で「フェミニスト」「生意気な女」というレッテルを貼られ、時にうとまれることもあることに気付き、歯がゆく思うようになりました。 そんなある日、9歳の娘に「大人になったら何になりたい?」と尋ねると、「パティシエとしてケーキ屋さんに雇ってもらって、昼間一生懸命働いて、16時か17時に帰ってきて、ご飯の準備をしたり、子どもの

スウェーデンの児童書で、子どもの進路と幸福を哲学する

子どもには苦労をさせたくない ママ友と久しぶりに夕飯を食べに行った。2人とも上の子がもう中学生。自然と塾や内申、受験の話に。子どもにどんな学校に進み、どんな職業についてほしいか、打ち明けあった。1人のママは「うちの娘には、手に職をつけてほしいんだ」と言う。 文学への思いを捨てられず、書籍翻訳者になった私も、娘には芸術の道に進んでお金の苦労をしてほしくないと思っている。また「女の子なんだし、家庭生活と両立不能な激務は避けてほしい」と願うのだった。

フェミニズムにまつわる典型的な疑問

このところ『北欧に学ぶ小さなフェミニストの本』の読書会やイベントをしてきた私は、いくつかの疑問を抱くようになった。その疑問とは以下のようなものだ。 1.男と女の性差をなくすことが、フェミニズムの目指すところなのか? (野中モモさんとのイベントで土木女子の話が出て、男性と身体的に異なる女性が男性と同じように働くことが男女平等なのか? という疑問が浮かんだ) 2.女性達が男女平等を勝ち取ろうとすることで犠牲になるのは子ども達なのではないか? 3.フェミニストは結婚生活や家

親を責めるのをやめよう/子育ての責任を負うのは親? それとも社会?

インターネット上に無料で公開されているデンマークの雑誌『児童/生徒』が本当に素晴らしい内容なので、要約して紹介したいと思います。 はじめに紹介するのは2018年8月号。「親を叩くのはやめよう」という文字が目をひきます。 子ども社会省の大臣、Mai Mercadoが「きちんとしつけされていない子どもを教育するのは非常に困難です。ですから、集団生活をきちんと送れるよう、子ども達をしつけるのは、家庭がすべき大きな任務なのです」と発言しました。大臣はそう言い残し、研究者達の反論を

Monica Isakstuen”Vær snill med dyrene”(動物に優しくしなさい)

Monica Isakstuen”Vær snill med dyrene”(動物に優しくしなさい)を読みました。Brage賞受賞作です。Monica Isakstuenは詩人でもあり、そのことが読み取れる技巧に満ちた文章が魅力です。随所に散りばめられたショートセンテンスも効果的に使われていて、唸らされました。 母親という役割に縛られる苦しみを感じている女性が、自分と母親との関係性と、自分と娘との関係性を重ね合わせながら子どもをただかわいいと思うだけでなく、同時に嫌悪してし