今尾 礼子

死生学とグリーフからの癒しがマイテーマ。学んだこと、体験したこと、ポッドキャストでお話…

今尾 礼子

死生学とグリーフからの癒しがマイテーマ。学んだこと、体験したこと、ポッドキャストでお話してます。国際NGO勤務。上智大学グリーフケア研究所認定臨床傾聴士、アラン・コーエン認定ホリスティックライフコーチtanemaki.my.canva.site

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  • ポッドキャスト『ナミダの種まき』

最近の記事

053 「生きることとお金」”DIE WITH ZERO” を読んで

日本でもすでに25万部発行のベストセラー『DIE WITH ZERO』を読み、喜びを先送りするのをやめて、カリブ海クルーズに行ってきました。死というテーマは、いつも生き方を考えるきっかけをくれますが、この本は、生き方をお金の面から考えさせて行動するきっかけをくれました。 ”DIE WITH ZERO(ゼロで死ぬ)”の精神で行ったカリブ海で、ゼロで死ねない自分を痛感する出来事もありました。第53回エピソードでは、本を読んで感じたこと、行動したこと、そこから気づいたことをお話し

    • 051 ペットロスと「公認されない悲嘆」

      アメリカの老年学の学者、ケニス・ドカは、ペットロスを含む、社会から理解されにくく、認められにくいグリーフを「公認されない悲嘆(Unfranchised Grief)」という言葉で表しました。 動物愛護の先進国と言われるイギリスや、7割の世帯がペットを飼っているというアメリカでは、"ペットロス"を検索すると、非営利団体などの"ペットロスのためのグリーフサポートグループ"を見つけることができます。そうしたサイトでは、共通して「ペットの死はなぜこんなにも辛いのか」と「そのグリーフ

      • 050「亡き人の思い出が人生の道標になるように」 会葬礼状ライター 葉月美雨さん

        第50回目となる今回のエピソードは、世界でひとつのオリジナル会葬礼状の執筆を専門とする葉月美雨(はづき・みう)さんをゲストにお迎えして、インタビュー形式でお届けします。私は葉月さんに、父との思い出が詰まった文章を書いていただき、死という喪失から葉月さんに出会うことができました。 葉月さんから、会葬礼状ライターとなるきっかけ、思い出に残るエピソード、新しくスタートする「栞-shiori」や、ペットロスの心をケアするお取り組みについてもお話を聞かせていただきました。「夢は、オリ

        • 049 ときどき死生学

          11月というのは、1年の終わりを感じ始める季節なので、死と生について考えてみるのに良いタイミングな気がします。死について語ることはタブーとされる時代もありましたが、今はむしろ「どう死ぬか考えてください」と言われるようになったのかもしれません。11月11日公開の第49回目のエピソードでは、死生学は「死について学ぶことは、そのまま死までの生き方まで考えること」というアルフォンス・デーケン先生の言葉を頼りに、「もし自分に残された時間が年末までだとしたら」を少しだけ考えてみました。

        053 「生きることとお金」”DIE WITH ZERO” を読んで

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        • ポッドキャスト『ナミダの種まき』
          49本

        記事

          048 「見えなくてもある」金子みすゞさんの詩

          山口県の仙崎という港町にある、詩人の金子みすずさんの記念館に行ってきました。10月21日公開の第48回エピソードでは、全ての命の源までを包むような世界観が広がる金子みすずさんの詩をシェアさせていただきました。 「みんな違ってみんないい」「こだまでしょうか」などの詩がよく知られている金子みすゞさん。ご実家の文具店を再現した記念館には、金子みすゞさんの小さな頃から28歳で覚悟の自死をされるまでの懸命に生きた生き様や心情、死生観も、その詩や手紙などを手掛かりに辿ることができます。

          048 「見えなくてもある」金子みすゞさんの詩

          047 「Purpose(パーパス)」人生で大切にしたいこと

          ミシガン大学教授で、健康や幸福度、ウェルビーイングについて行動科学の観点から研究するヴィクター・ストレッチャー博士の講演をお聞きして、「Purpose (パーパス)」は、「私が人生で大切にしたいこと」であって、人生の困難を経て立ち現れて、日々立ち戻る場所でもあることに気づかせてもらいました。 9月23日に公開した第47回エピソードでは、ストレッチャー博士の講演から心に残ったこと、そこから私自身のPurpose(仮)を言葉にしてみたことなどをお話ししています。 本のご紹介ス

          047 「Purpose(パーパス)」人生で大切にしたいこと

          046 「聞いてもらう」から始める

          9月1日に公開した第46回のエピソードでは、臨床心理士の東畑開人さんの著書「聞く技術 聞いてもらう技術」をご紹介しています。 前回エピソードでは「弱さを開く」こと、そうすると誰かとの繋がりや、何か自分を支えてくれるものを見つけられるとお話しさせていただきましたが、その弱さを開くのが、なかなか難しいのも現実だったりします。 東畑さんの著書を読み、自分の話を聞いてもらって初めて、相手の話を聞けるようになることを知りました。聞いてもらうと聞くは繋がっているから、心の弱い部分をす

          046 「聞いてもらう」から始める

          045 自分の弱さを「開く」

          自分の弱さや脆さをなんとか隠して、強くなろうと抗いがちです。でも、弱さと強さは裏表で、抗うよりもほんの少し心を開くことで、他者との見えない繋がりや支えに気づくことができます。8月11日に公開した第45回目のエピソードでは、「弱さ」を巡る、私のささやかな出来事と、心理学者(スティーブン・マーフィ重松さん)と医学博士(宮坂道夫さん)の言葉を紹介しています。 本のご紹介 スタンフォード大学で教える心理学者のマーフィ重松さんの著書を読むと、Vulnerability(ヴァルナラビリ

          045 自分の弱さを「開く」

          044 日常の「祈り」について

          上智大学グリーフケア研究所グリーフケア人材養成講座の、キリスト教人間学という授業で、「祈る」というテーマで講義をしていただいたことがあります。そこでは、キリスト教における祈りには3つの特徴「神と共にいること」「人々と共にいること」「自分と共にいること」を教えていただきました。 広島の平和記念公園にある慰霊碑に、国や言葉や信条が違う人たちが皆、手を合わせて祈る姿を見ながら「祈るってなんだろう」と考えた時、宗教的な祈りとは違う、日常の「祈り」がありました。そんなことをお話しさせ

          044 日常の「祈り」について

          043 目には見えなくても 「感じる」

          風もないのに、神社の鳥居にかかっているしめ縄に結ばれている4本の紙垂(しで)のうち、1本だけがゆらゆらとはっきり揺れていました。目には見えなくても、亡き人の存在を近くに感じることはできます。 第43回のエピソードでは、亡き母の誕生日の朝の感動をそのまま言葉にしたくて、お話をさせていただきました。 批評家・随筆家の若松英輔さんは、多くの著書を通じて、死者の臨在について語ってくださっています。若松さんのコトバは祈りそのもので、深いところに響きます。 今朝の光景。左から2番目の

          043 目には見えなくても 「感じる」

          042 続・私のグリーフワーク「集中内観」

          葬儀などの直後の忙しさや混乱が落ち着くと、日常が戻ってきますが、自分のグリーフワークとして、そしてグリーフケアの学びを深めるために意識的に取り組んだことがありました。第42回のエピソードでは、恐る恐るトライした「集中内観」の体験、そこからの気づきについてお話をしています。 集中内観 集中内観では、1週間、スマホなど一切の情報を遮断して、1日15時間を内観法と呼ばれる手順に沿って、自分と身近な人との関係において自分はこれまでどういう態度や行動をとってきたか、相手の立場に立って

          042 続・私のグリーフワーク「集中内観」

          041 私のグリーフワーク

          noteでの投稿ができていませんでしたが、4月1日に第41回目のエピソードを公開させていただきました。父逝去の知らせを聞いた時のこと、そこからの自分の気持ち、驚き、諦め、安心、涙も笑いも全部ある、現在進行形の私のグリーフをことをお話ししています。 教えてください 番組の感想のほか、もし分かち合いたいグリーフのご経験をお持ちでしたら、ぜひこちらからシェアしてください。大切に読ませていただきます。 https://forms.gle/7qwwmifA9DGmWduN8 ポッ

          041 私のグリーフワーク

          040「タオと心の声に導かれて」  翻訳家・ライフコーチ うつつさんこと赤司桂子さん

          第40回目となる今回のエピソードは、翻訳家でライフコーチの、うつつさん、こと赤司桂子さんをゲストにお迎えして、インタビュー形式でお届けしています!(*所々私のイヤホンの擦れる音が入ってしまい、申し訳ありません…) うつつさんは、世界的ライフコーチにしてベストセラー作家 アラン・コーエンさんの日本事務局の代表で、ライフコーチのうつつさんが翻訳をされた『タオと共に生きる』は、2500年前の中国の哲学者、老師の教えをアランさんの言葉で語った一冊です。翻訳者から見た『タオと共に生き

          040「タオと心の声に導かれて」  翻訳家・ライフコーチ うつつさんこと赤司桂子さん

          039 「共に生きる」法要に込められた意味

          日本では、文化的に仏教の教えに倣った死者供養をすることが多いかと思います。私はある時まで、そうした法要を”定型的な単なる儀式”としか捉えられていませんでしたが、2015年に、臨済宗の僧侶で作家の玄侑宗久さんの講演をお聞きして、法要は長い年月に培われた「死者と共に生きる」知恵であることを知りました。 その時のお話を思い出しながら、第39回目のエピソードでは、中陰法要(初七日〜七七日)、年忌法要(一周忌、三回忌など)の別名に込めれた、残された人達(私達)が生きていく支えになるメ

          039 「共に生きる」法要に込められた意味

          038 はじめての「ナラティブ」

          死生学やグリーフケアについて学んでいると、「ナラティブ」「ナラティブ・アプローチ」、日本語にすると「物語」という言葉がとてもよく登場します。 医療におけるナラティブ・アプローチは、治療との両輪として、患者さんのケアに用いられていますが、どうやらナラティブの概念はもっととても大きいようです。第38回のエピソードでは、大きなナラティブ、自分自身や他者の理解の助けになるコミュニケーションとしてのナラティブを、「死生学研究」の授業で教授がお話しくださった点に、自分の体験も加えて、ご

          038 はじめての「ナラティブ」

          037 世界と日本の「スピリチュアル」

          「スピリチュアル」という言葉が日本では独特なニュアンスで広まっているように感じていたので、ポッドキャストでは意識的にその言葉を使わないようにしていました。(あやしいって思われたくないな・・・って思ってました!) でも、本来とても大切なものですし、医療の現場では、患者さんのスピリチュアリティへの配慮(スピリチュアルケア)がますます重要視されるようになってきている今なので、世界/欧米社会の「spiritual」と、日本の「スピリチュアル」のギャップも含めて、グリーフケアの学びの

          037 世界と日本の「スピリチュアル」