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レバ刺しのコンプライアンスについて

ひそかにnoteを書いていることがバレてしまい、「えー、作曲論とか書いているんですか?」と言われたので、レバ刺しについて書こうと思う。

もうずいぶん長いこと言い続けているのだが、僕はレバ刺しが好きだ。正確にいえば、好きだった。どれくらい好きなのかというと、猫と同じくらい好きなのだ。なぜそんなに好きなのか?愚問、猫が好きなのに理由がいるかい?という話だ。

しかし生まれながらにしてレバ刺しが好きだったのかというと実はそうではない。子供の頃、給食だったか夕食だったか覚えていないが、パサパサとした微妙なレバー焼きを食べてレバー独特の臭みに気持ち悪くなってしまって以来、レバーや生肉のたぐいが大の苦手となってしまった。今でもレバー炒めはあまり得意ではない。

思えば20歳かそこらの頃、当時の彼女に勧められて初めて新鮮なレバ刺しという禁断の果実を知ってしまったのが入り口だった。生の肝臓を刺身で頂くという、牛からみたらハンニバル・レクター博士並に猟奇的な所業ではあるのだが、その猟奇さも相まって、瞬く間に僕の「死刑執行前に食べたい最後の一皿」級に昇格した。それからはもう、一度人間の味を知ってしまった熊のようなものである。さっきからどうも例えが血生臭くて申し訳ないです。

ご存じのとおり2012年から食品衛生法で牛レバーの生食が禁止されたので、もう食べることはできなくなってしまった。深刻な食中毒事件もあり、生命に関わる危険があるのだからそれはしかたがない。理解できるとはいえ、この先レバ刺しが食べられる日はおそらく戻ってこないと思うと本当に悲しい。生食品加工技術の進歩に一縷の希望をかけるしかない。我慢してずっと待っているのでどうか、がんばっていただきたいです

僕のお気に入りの焼肉店では新鮮な国産牛のレバー焼きを提供している。もちろんこれもしっかり中まで火を通して食べなければいけないが、よく焼いてたっぷりと胡麻油と塩のつけダレに浸せば、脳内であの頃のレバ刺しにリアルタイム変換できる程度には新鮮な風味を残している。今はそれが欲求を満たす唯一の手段。

毎回そのお店にいく度に自分専用に2〜3皿注文して周りをドン引きさせていたのだが、最近はその光景にも皆んな慣れてきたのか、またハンニバル・レクターが何かやっとるわー、程度の扱いですんでいる。あえて目を合わせないようにしているのかもしれない。

とはいえ最近は、LDLコレステロール的な意味で気をつけたいお年頃なので自制している。健康は大事だ。レクター博士も血液検査くらいはしっかりうけた方がいいんじゃないかと思う。

先日、とある仕事の企画で好きな食べ物を聞かれたので条件反射的に「レバ刺し」と回答したら、「コンプライアンス的に問題あり」と事務所からNGが出てしまった。まぁ、おっしゃるとおりである。そりゃ今や合法的に食べられないのだから、「好きな植物は?」と聞かれて「大麻!」と元気よく答えるのと同じくらいグレーゾーン・・・というか、完全にアウトだ。うっかり炎上、どころか逮捕されるところだったと思うと、己の浅はかさを恥じるばかりである。

そういうわけで、今日も作曲論は書けなかった。また日を改めたいと思う。


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