見出し画像

やげんぼり お布団みたいな卵焼き

何本か目の路地にひっそりとしっかりと佇むお店に向かう。やげんぼり赤坂店。気に留めなかったら通り過ぎてしまいそうなのに、正面に立つと大きな存在感がある不思議なお店だった。
ランチの検索で幾度となく見て、ずっと気になっていたのだけど、やっと同僚に連れられて来ることができた。
人気店だしどうせ並びそうだし、なんて言い訳を並べて伺う機会を逃す癖があるので、様々なところに連れ出してくれる同僚がいてくれて嬉しい。

引き戸を開けると線香の匂いが満ちていた。どこか懐かしい、とても上品な香り。靴を脱いで下足箱に入れる。相席なら空いているとのこと。それでもいいことを伝え、店内に入ると右側にはカウンター席、正面にはテーブルが2.3ある。全て掘りごたつ式であった。二階は畳の上に椅子を置くスタイルらしい。
左奥の部屋に通された。夜は個室になるのだろう、大きなテーブルに座る。相席と言われたがまだ残りの席には誰もいない。席にはすでにお盆が人数分用意してあった。

「お昼のお献立」私のお目当てはだし巻き卵定食の八坂だ。

頼むとすぐにおひつでご飯が運ばれてきた。お盆に伏せられていたお茶碗にご飯をよそう。食卓で自分でご飯をよそうなんて、なんだか旅館の朝食のようだと思った。風情のある和室がさらにそう感じさせるのかもしれない。
テーブルの真ん中には京つけものがたくさん盛ってある。置いてある小皿に好きなだけ盛る。ご飯が進む美味しさ。ちりめん山椒もピリリと効いて、卵焼きが来る前に一杯目のご飯が終わってしまうかと思ったほどだ。なんとかセーブして待っているとお待ちかねの卵焼きが到着した。

想像よりも大きく、正方形に近い卵焼きがきた。思わず「お布団みたい」と呟き同僚に笑われる。ベッドならダブルベッドのサイズ。これがまたふかふかなのである。
ふかふかベッドに入る幸せのようだ。私はなんどもふかふかの卵焼きを口いっぱいに入れ幸せを感じた。

卵焼きがメインになれるのか?なんて思った人は一度ご賞味いただきたい。
間違いない幸福がそこにはある。

その後図らずもご飯を2回おかわりし、とても充実したお腹を抱えながらお店を後にした。(一杯が軽めだった、という言い訳をしておく。)和食って幸せだなと思う。

丁寧なお昼ご飯。午後の仕事はいっそう丁寧にしてみようなんて思いながらオフィスに戻った。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?