「パートナーの存在が、人生の幸福度をあげてくれた。」2人の女性が共同創業し、同じビジョンの実現に挑戦するようになるまで。

「好きなことを、仕事に。」が、合言葉のように語られるいま。しかし自分の「好き」を見極め、形にしていくのは、容易なことではなかったりもします。でも一人ではなく、二人、三人だったら?同じ夢を語り合える人たちが、集まっている場所があるとしたら。MicrosoftやApple、Twitterなども、ひとりのカリスマが生み出したのではなく、それぞれの力が掛け合わさったことで、世界を変えた企業のひとつ。

女性たちが、自分が本当に"好き"なものを見つけ、それを生かして働くための学びや仕事機会をサポート提供する場所『SHElikes(シーライクス)』(https://likes.she-inc.jp/)を主要事業とし、SHE株式会社を立ち上げた中山紗彩さんと福田恵里さんは、お互いを「大事なパートナー」と語ります。おふたりは「女性の可能性をもっと広げたい」そんなビジョンに共鳴し、共に創業することに。

しかし、もともと親しい友達でもなかったふたり。どのように関係性を築き、好きなことを、一緒に形にしてこれたのか。お話を伺いました。


接点のないふたりを繋いだのは、
頭の中に描かれていたビジョン

ー おふたりは、同じリクルート出身で起業されていますよね。もともと知り合いだったのでしょうか。

紗彩
「出会いは、私が担当した前職でのイベントで、恵里に登壇依頼をしたことでした。当時は、特に親しい友達だったわけでもなく。第一印象としては、華やかな見た目だなって。でも登壇してもらった時、目指したい世界観、社会に与えたいインパクトについて初めて聞くことができて、ギャップに驚いたんですね。私たちが、起業家のパートナーとして『合うな』と思ったポイントとしては2つあって。1つ目が、彼女が目指すビジョン。恵里はデザインスクールを起業していたのですが、その理由が『女性や人間が何かを学ぶことで、可能性を広げられたらいいな』という想いだったんです。その想いが自分の人生を通して成し遂げたいことと一致していることに驚きました。もうひとつが、日本を超えて世界にインパクトを与えたい、新しいカルチャーを創りたい、という起業を通じてもたらしたいインパクトの一致でした。これらの共通点があることにビビッときて、自分から『もう一度、会いたい』と連絡しました。」

恵里「中目黒のスタバで話をしたんですけど、リクルート時代は紗彩の方が一年上の先輩という立場だったんです。なので、「先輩に呼び出された!なんだろう...」って。(笑)もともと、私もリクルートに入る前から、いつかは起業したい、自分の名前で事業を起こしたい、と考えていたんですね。行ってみると、紗彩から今後のビジョンや何らかサービスを立ち上げたいと思っている話が聞けて。そこから話し合いを重ねるうちに、一緒に起業しようという結論に至りました。リクルートでは3年程働いてから起業しようと思っていたので、最初は戸惑いましたが、自分で事業を起こせると思って最後は決めました。」

ー お互いに求めていたところがハマったという感じですか?

紗彩「会社を始める時に、目指すゴールが明確に合致する自信が持てていたことに加え、明確なスキルセットや役割の違いがある2人だったので『うまくいくな』と直感で感じました。ただ一緒に起業すると決めた1番の理由は、目指すゴール感(ビジョンやもたらしたい定量インパクト)の一致でしたね。

ー おふたりにとっては、世界観が一致したことが1番大事だったんですね。

恵里「友達だったわけではなく、出会って数回で一緒に起業するという意思決定の場面になったのですが『世の中に、こんなに自分と同じ価値観を持つ人がいたんだ』と、衝撃を受けたんです。自分のミッションや、何をやりたいかを語り合ったのですが“人の可能性を広げたい”という点がとにかく一致していて。紗彩は学生時代の起業やリクルートの新規事業経験を、自分は学生時代からデザインガールズという事業をやっていたのですが、根底にある考え方には一貫性もあり、マッチしたんですよね。もともと、私はクリエイティブやユーザーインサイト把握を中心にしたプロダクト作りが得意で、紗彩はマーケティングやアライアンスなどが得意だから、私が作って紗彩が広める。そこの明確な役割分担がすごく相性が良かった部分もありますね。」

ー ふたりで良かったな、という面はやっぱり多いですか?

紗彩「(共同創業者が)二人が良かったか三人以上が良かったかは正直わからないけど、一人ではないことは明確ですね。私自身が、ひとりで何かをやるということに興味がなくて。チームでそのメンバーの才能をぶつけ合うことによって生み出せるインパクトに価値があると思って生きてきているので。」

恵里「過去にはかなり、衝突したこともあるのですが、本当にふたりでやってこれて良かったなって思ってます。今はすごくいい関係性です。」


関係性を築くことを、
決して諦めずアクションし続けた日々

ー 起業を決めた時点で、お互いを知るところから関係性を築くのは、より難しそうですよね。

紗彩「そうですね、でも私は、最初は価値観のすり合わせのための衝突は生まれて当たり前だと思っています。だって実際、話したことが数回しかなく、育った環境も違うし、ある意味で信頼関係も特にないところから毎日多くの困難が生まれるハイプレッシャーな環境で、毎日密にコミュニケーションを取ることがいきなり始まったら、どう考えても衝突しますよね。難しいけど逃げちゃいけないプロセスだと今となっては思っています。

恵里「恋愛と一緒だなって思うんです。好きだから、許せないこともあって。価値観の違いに絶望して、別れてしまいたくなる時もありました。でも根底では尊敬していますし、人間としては好きだから、どうにか理解しようと関係性を改善するためのアクションを続けたんです。その中で、紗彩の美学だったり嫌だと思うことがわかってきて。お互いにコミュニケーションの取り方を学べたんです。いい部分は補う、悪い部分はサポートするということが、少しずつできるようになりました。」


ー お互いを理解するために、話し合うこと、ぶつかり合うことって本当に大事なんだなって。

紗彩「そうですね。例えば、私は日々気づいたことを対話ではなく一方的に言っちゃうこともあって。でも、そこに対して恵里はしっかり向き合ってくれたんです。その対話の積み重ねが私たちの関係を良い方向に導いてくれたと思っています。」

恵里「考え方や感覚が真逆の部分もあるけれど、理解できる部分や共感する部分も多くあるんです。なので、とにかく対話が大事だなって思っています。」


ー 擦り合わせていくっていう行為を、ふたりでしっかりやってきたんですね。

紗彩「ベースの想いは共通しているので、基本的には何でも解決できると思っていて。今でも継続的にお互い改善の余地があるところは指摘しあうことはあります。でも、激しくぶつかることは減りましたね。」

恵里「正直、お互いの折り合いがつかなくて、ものすごく苦しい時期もありました。でも何かしら改善するべきことについては努力して変えていく、という姿勢はふたりともにあるので、その気持ちはすごく大切にしています。」

ー サービスに対しての愛や、育てていきたいという気持ちが支えになった部分もきっとありますよね。

恵里「本当にそうですね。私一人でやっていたなら、投げ出したいと思う時は今以上に沢山あったと思います。でも、今は会社のメンバーをはじめ、SHEの会員のみなさんへの愛がものすごく強くて。その気持ちがあるからこそ、自分一人では頑張れないことも、日々頑張れているのだと思います。」


ー 共同創業者として、お互いがいてくれて良かったなと思う点はどんなところですか。

紗彩「もちろん恵里に対してもそうですが、今のメンバーは本当に皆才能があって、その才能を開くことに貢献したいなと思っています。サービスに対する愛と同じくらい、信頼できて同じ夢を見られるこのメンバーたちと、末長く自分たちにしかできないことを仕掛けて働き続けていきたいという想いが強いです。それがこの会社を守りたいと思う一つの原動力になっていますね。」

恵里「やっぱり紗彩と一緒だったから、今のSHEがあると思っています。紗彩は理想主義、最上志向なので、CEOとして理想を描き続けてくれることで、チーム全体の基準を引き上げてくれているなと感じますね。」


ー 関係性を円滑にするために、ふたりで設けているルールや指標はありますか。

紗彩「何だろうな。お互いの守備範囲が分かれているので、意思決定の時には、相手が得意な分野は割り切って任せていますね。」

恵里「そうですね、基本はその砦を守っている人が最適な人だと思って配置しているので、紗彩も私も、皆の意思決定を尊重したいと思っているんです。ただもちろん、サービスについてなどはお互いの役割や枠を超えて、正直にフィードバックをしあっています。」

ー お二人だけでなく、他のメンバーも巻き込みながらコミュニケーションされているのを感じました。女性二人での起業ってまだまだ日本では一般的ではないのかな、と思うのですが、ここは「自分たちの会社ならでは」と思う点はどこでしょう。

恵里「会社の意思決定って、ともすると数値偏重になりがちなんですけど、SHEでは感性の部分も非常に大事にしていて『いかにこの施策が人の心を動かせるのか』『社会にインパクトを与えることができるのか』を軸に意思決定できるのは、私たちならではなのかな、と思います。短期的な数値ではなく、ブランド資産にフォーカスする姿勢は強い会社だと思います。


それぞれが自分の「好き」を見つけて
選択できる社会をつくりたい


ー 感性を大事にしているんですね。ふたりいると、例えばどちらかが出産ってなった時なども、心強いということがありそうですね。

恵里「そうですね。私たちは自分たちのライフステージ変化に合わせて、必要な解決策を自分たちで作り上げて生きたいなと思っています。例えば子供が生まれたら、会社に連れてこられるようにするとか。実際今はSHEの一部が会員さん向けのコワーキングになっているのですが、そこに赤ちゃんを連れて出社されている方々もいらっしゃいます。その入居者の方も会社を経営している方で、今、そのお子さんを会社のメンバー全員で育てていらっしゃるんです。例えばお母さんが打ち合わせに行っている間は、他のメンバーが面倒を見ていて。子供がいない人も、皆で一緒に育てることで子育てとリアルな働き方を学べているのかなと。私達も、疲れたらたまに遊びに行って、癒されたりしてますね。」


ー 私自身、東京で子育てしながら仕事するって、実は全然想像ができていなくて。でも、産んだとしてもこういう場所があるんだなって知れたら全然違うと思うし、いかに周りを巻き込みながら子育てできるかって、これからの課題な気がしますよね。おふたりが考える、女性が輝く社会ってどんな社会でしょう。

恵里「男女平等って、もちろん概念としては大切ですが、実は全てに適応することは難しいと思っています。体力の差、感覚の差は、人それぞれあると思うんです。だから、全員を一律で、同じ基準にする必要はないなって。得意な部分を尊重し合い、互いの良さが発揮できる社会になると良いなと思っています。家庭に入りたいと思うことが悪いことでもないし、例えば全ての女性が管理職に昇進して、めちゃくちゃ働きたい!と思っているわけでもないんじゃないかなって。」

紗彩「私自身、女子校で育ったのも影響していると思うのですが、未だに自分の中に埋め込まれてしまった『女性はこうあるべき』という価値観によって『自分は弱い存在であるべき』だと定義してしまっている自分に気づく時があります。こういったサービスをやっていながらも、まだ女性として存在することに対して、固有のイメージを持っているんですよね。例えば仕事をして家に帰った時、『疲れた〜。』とパートナーに言ったとしても、それは自分が女性だから女性らしく振る舞おうとして発せられた言葉なんじゃないのかって思ってしまったり。自分がもし男性だったら、きっと行動が変わるだろうな、と想像することもあります。仮に、『君は男性だ』と言われて育てられていたら、心の持ちようが今と変わっていたのかなと考えたりするんです。いわゆる、男性は家族を支えるために強くありなさい、稼ぎなさい、女性は女性らしくしとやかにいなさいと、いう価値観が強く残っている世の中だと思うんですね。だからこれは難しい問題だとは思うのですが、男性だから、女性だからという定義が教育や価値観や人々のコミュニケーションから取り去られて、本当にフラットに一人ひとりが自分らしい選択肢を見つけ生きられるようになったらいいな、と思っていますね。」

恵里すべての女の子が、正しい知識をつけ、自分自身の幸せの形に気づいて、能動的に人生の選択ができるようにしたいです。小さい頃から教え込まれた価値観ってなかなか拭えないですよね。知らないから、それしか選択肢がないという状況を変えたいなって。紗彩も、小さい頃に起業家育成講座に行った経験から、起業という選択肢の楽しさを知ったそうなので。人の可能性を開花させるために、まずは壁を取っ払っていきたいですね。」


ー SHEは、まさにすべての女性が同じようにチャンスを掴めるような場所を創っていますよね。自分たちでサービスをつくるって忙しい毎日だと思うのですが、生活と仕事のバランスを取るのは難しくないですか。

紗彩「ネガティブに忙しいと思ったことはないです。嫌なことはやってないからだと思います。今の方が物理的には忙しいですが、会社員時代に、ビジョンが見えない仕事をするとか、モチベーションの高くない同僚と仕事するとか、頑張っても自分の意思が尊重されないとか、投下する時間やリソースが蓄積されないことの方がストレスでした。今はもちろん肉体的には疲れたりもするけれど、精神的にはあまり疲れないので楽しいですね。」

恵里「私も同じです。今はとにかくこの場所と、メンバーが大好きなので。好きな人たちと、好きなことができている。これ以上に幸せなことはないな、って思っています。」

紗彩「恵里は去年結婚してプライベートも充実しているのですが、たまに私がこんなに才能ある恵里を一人占めしすぎて、旦那さんから嫉妬されているんじゃないかって心配になります(笑)。」

ー 各方面で、違う形のパートナーがいるからこそ日々が豊かになっているんですね!

恵里「私の場合は、本当にパートナーシップのあり方で人生の幸福度が変わったひとりだと思います。会社には紗彩がパートナーとしていてくれて、家には大好きな旦那さんがいる。それに加えて会社のメンバー全員も愛おしいなって。昔は、人に対してそこまでの愛を持ったことがなかったのですが、今は、愛おしい人たちと一緒に仕事できているから、幸福度が高いんですよね。自分の周りが、愛のあるパートナーシップであふれているから、人生の中でも今が一番楽しいかもしれないなって。」

ー 日常に、愛ある関係性って溢れていると思うんです。もちろん結婚相手もそうだけれど、おふたりのようにビジネスパートナーや会社のメンバーもそうかなって。それに気づくことができたら、強く生きていける気がしますよね。人生、倍豊か!みたいな。

恵里「本当にそうですね。人は自分一人のためには頑張れないと思うんですよ。守るもの、応援したい人がいるから頑張りたいと思う。それが力になっているなと感じます。」

ー 最後に、二人にとって、パートナーシップって何だと思いますか。

紗彩自分の人生だけでなく、相手を尊重して、相手の人生にも責任を持つことかなと思っています。」

恵里同じ夢を見て、それに向けて励ましあいながらともに歩む人との関係性ですね。でも、ゴールに到達することだけが目的でなく、そのプロセスが大切だなって。その相手が、ビジネスの仲間でも、旦那さんでも。そのプロセスの中で、たまに離れたりすることもあるかもしれないけれど、対話しながら相手を慈しんだり、関係を強固にして、構築していくことがパートナーシップだと思います。

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いま、まっすぐ同じ方向を見て、夢を描ける関係性に至るまでに、きっとたくさんの紆余曲折を経てきたおふたり。同じビジョンを持つことや相性もとても大切な要素ですが、ふたりの強さは、目の前の関係性をより良いものにするための、歩み寄る力だったのだと思います。

パートナーシップの強さは、
たまたまの相性ではなく、諦めない心がつくる。

そんなことを教えていただいたインタビューでした。すべての人が自分の意思で選択できる世の中をつくること。アプローチは違えど、Re.ingが目指す未来と、SHEが目指す未来はきっと同じ。5年後、10年後にまた、おふたりにインタビューできる日を楽しみに。

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Re.ingでは、様々なパートナーシップのあり方について「皆さんと気軽にお話ができる場所」として月に一度、交流イベントを実施しています。様々な方のパートナーシップの考え方を聞いたり、お話をして誰かと生きていく際のヒントが見つかるような場にしています。ぜひお気軽にご参加ください!
次のテーマは、「AIや2次元キャラクターとの結婚」です!
→2/23(土)イベントお申し込みはこちら!



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インタビュー

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