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「いちばんすきな花」最終回、藤井風さんがピアノ弾き語りで「花」を!

思えば10月12日以来、毎週欠かさずに見てたドラマ「いちばんすきな花」。
フジテレビの木曜劇場枠ってだけで、「恋愛もののトレンディードラマ? そんなドラマに藤井風さんの主題歌って、ちょっと嫌だな」とわけもなく偏見を持ってた私だけど。
それぞれの生きづらさを抱えた4人の男女が、一つの家に集うことで癒され、明日からの現実に立ち向かう力をもらう、というヒューマンドラマ。
あらゆる「○○はこうであらねば」という縛りから解き放たれたいと願ってもがく令和の若き日本人たちの群像劇として、最後まで興味深く見ることができた。

……なーんて堅苦しい感想はさておき。
この2ヶ月強というもの、SNSの風界隈で盛んに交わされていたワード。
「藤井風さんは果たして何らかの形で出演するのか?」
不動産屋さんだの引っ越し業者さんだの花屋さんだのの役柄でちょい役でもいいから出演してほしいという声なんかもあり、私もフジテレビの木曜劇場ってだけでそういう期待をちょっとしちゃってた。

かつて、木曜劇場のドラマ「親愛なる者へ」で、主題歌「浅い眠り」を歌う中島みゆきさんが女性産婦人科医役で出演してくれることなんてないですよね?というスタッフの一言から、それが実現したという出来事があった。
お父様が産婦人科医だったというみゆきさん、当初の台詞にかなり疑問を感じたそうで(中絶しに来た女性にこのような言い方はしない、等)、ほとんどみゆきさんヴァージョンと言ってもいいくらい書き換えたものをプロデューサー氏に差し出し、再検討を促したそう。
引き受けたからにはいい加減な関わり方はしたくない、という、みゆきさんの誠実さとプロとしての矜持が伺えるエピソードである。

とまあ、そのようなことがあったため、ちょっぴり期待はしつつ、だけど風さんに関しては役者としての出演はないかなとも思ってた。
どんなちょい役であっても、彼がすべてを持って行ってしまいそうな気がしたのだ。
それまで2ヶ月強の間、出演者たちが積み上げてきたものを全て根こそぎ彼が持ってっちゃう。彼にはそれくらいの存在感がある。
みゆきさんみたいにドラマの世界にすっと入って違和感のないタイプのスターではない(どちらが優れてるとかじゃなく、スターとしての在り方の違いだ)。
それはドラマとしては失敗だ。
何よりも彼本人もそんなことを望んでいないだろう。
だから…………やっぱり主題歌をピアノ弾き語りで歌う! これに尽きる。実現してほしい。でもどこで? どんなシチュエーションで?
なんてことを妄想しつつ、最終回を迎えた。

「めざましテレビ」に多部未華子さん他主演4人が生出演し、「これから、まだ撮れていないシーンを撮ります」と発言したその時から、「もうこれは風さん出演フラグだ、それも主題歌ピアノ弾き語りだ、絶対そうに違いない!」と舞い上がる心を抑えるのに必死で、その日一日はどう過ごしたか記憶にない。
受験勉強のため早々に自室に上がった中3の息子(リアタイしたかっただろうに、我が子ながら偉いと思う)を見送り、私以上にそわそわしている夫(あれ? リアタイするの?)とともに、ドラマの世界に入っていった。
いろんな小さな問題(赤田、峰子、純恋、相良などなど)が次々に穏やかな解決を見、美鳥がついに東京に戻ってきて学習塾を始める。もう、4人が集っていた椿ハウスは椿の家ではない。椿ハウスを失ってからも、4人は場所を変えて仲良く集い続ける。美鳥は順調に塾を経営する。美鳥を含む5人はそれぞれ少しだけ自信を持てるようになり、少しだけ見通しが良くなった日常を生きていく。
おしまい。
……………じゃなかった。
思わせぶりに映されるピアノを弾く美しい指。
カメラが徐々に引いていくと……。
♪枯れていく……♪
風さんだ。  「花」ピアノ弾き語りだ。
不思議と驚きはなかった。
舞い上がる夫を横目に、「やっぱり」と、どこか安堵しながら、黒髪に白っぽいスタイルの王子様みたいな風さんの歌に耳を傾けていた。

「椿ハウス」になぜか置かれたピアノ。なぜか弾き語りしてる一人の、現実味なさげな雰囲気の青年。2番に入ったところで部屋に入ってくる4人の主人公。普段通りケーキを食べておしゃべりしてる。青年が目に入らないかのように。青年が歌い終わると、4人の姿は消えている。
そんなシチュエーション。
やはりというべきか、「なんで急に藤井風が出てきて弾き語り?」「ドラマの流れとしてどうなの?」みたいな批判もあったらしい。
だけど、私的には何の違和感もなかった。
このドラマにおける藤井風は、5人目の主人公とまではいわないまでも、ドラマに通底するテーマを体現する歌をうたう人物。
そんな彼が椿ハウスに「棲んで」いて、誰にも見えないながらも「花」を歌っている。実はずっと前から歌ってたのかもしれない。
そんなふうに捉えることは出来ないだろうか?
風ファンじゃない視聴者はぎょっとしたかもしれないけれど、藤井風がすべてを持ってっちゃったという印象は、私は感じなかった。
唐突な感じもなく、かなり自然な流れだと感じた。
大成功だと思う。
風さんも自身のインスタグラムでこう言っている。
「これは幻だったのか…どっちが現で、どっちが夢だったのか。
どっちでもいいんじゃない?」
決めつけない。「ドラマはこうあるべき」なんて誰にも定義できない。各々の心の赴くままに解釈すればいい。自分の心を大事に、他人の心も大事に。みんな尊い。

歌う風さんは、黒髪に髭なしのせいもあってか、2年前の日産スタジアムをほうふつとさせる、すっきりとして少し若返った(若いけど)印象だった。表情の豊かさも相変わらず。
良かった。元気な風さんの姿を見ることができて。
「ねそべり配信」では若干疲れてるのかな? ちょっとテンションがいつもと違うかも、と心配になってしまったのだが(そんなことないよ、ねそべり配信ではだいたいこんなテンションだよ、とベテラン風ファンなら思うのかもしれないけど)、撮影後の笑顔の写真も見ることができ(主人公4人との5ショット)、これで年が越せそうです。紅白歌合戦には出ないんだろうけど……😢

今年一年、藤井風さんのことを思わない日は一日たりともありませんでした。
私だけじゃなく、母に夫に息子に息子の友人たちに先生方に、風さんの愛が広まった一年でもありました。
どうか来年も、風さんが心のままに歌い続けられる年でありますように。

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