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藤井風「花」(ドラマ「いちばんすきな花」主題歌)

秋に入り、あるドラマの予告が風ファンを騒然とさせた。
主題歌を歌っているのが誰なのか、明記されていない。
そうなのかな、聴けば聴くほどそうとしか聴こえない、いや待て待て、藤井風と見せかけて実は全然違うそっくりな新人さんなんていう可能性もあるぞ、などと風ファンをざわざわざわつかせた、フジテレビ木曜劇場「いちばんすきな花」の主題歌。
はい、無事に藤井風の新曲「花」と発表されました🌸
こんなにもったいぶる必要あったんかな、と、今となっては思う。
これだけ私たちファンをやきもきさせたんだから、風さんにほんの少しだけでも出演してもらうとか(花屋さんの新人店員さん役とか。背中だけでもいいからっ)、そんなサプライズないだろうかな。

フジテレビ木曜夜10時、出演者も当代きっての人気俳優ぞろい、テーマは「男女の友情は成立するか」ですって? 
トレンディードラマなの? ラブストーリー? 
そんなドラマに我らが風さんの曲だなんて、ちょっといやだな。
とうとう風さんも、いわゆる恋愛ソングみたいなのを作らなきゃいけなくなったのかな。

という不安(と、トレンディードラマに対する偏見)を抱いていた私だけれど。
全然違いました。ごめん。
ペアになるのが苦手、本当に好きな人からは求められない、美人だからと何かと誤解される、誰にも真剣に向き合ってもらえない、と、それぞれの生きづらさを抱えた4人が出会い、ほぼ初対面であるにもかかわらず悩みを独白し……という、重ーい展開。
「何これ……? ラブストーリーどころかヒューマンドラマじゃん。これなら、風さんの曲が来ても大丈夫かも」と胸をなで下ろしたところに、重めのピアノのイントロが来た。
歩くようなリズム。ささやくような歌い出し。
サビでは伸びやかに、ファルセットも心地よく、秋の休日の散歩にぴったりな感じの、ストレスを与えない曲が、来た。
ほう……………。そう来ましたか。
放心状態の夫と私(夫も主題歌を楽しみにドラマを最後まで見ていたのだ)。

シティポップ、またはある種の洋楽ポップスを想起する人が多いみたいで、「It Never Rains in South California(カリフォルニアの青い空)」などを上げるツイートも見られた。
ちなみに、90年代~2000年のJ ポップ好きの私がまっさきに思い浮かべたのはこれ。
キリンジ「グッデイ・グッバイ」

ま、何かに似てる似てないはさておき、
「Workin' Hard」というある種実験的なスポーツ応援ソングを送り出して2ヶ月も経たない間に、今度はこんなにも親しみやすいポップスを出してくる、その振れ幅の大きさ、引き出しの多さに改めて驚いた。

いろんな解釈ができる歌詞だと思うんだけれど、私の勝手な解釈はこう。
「枯れていく」花、および「しわしわに萎れた花束」は、外部からの厳しい評価によって凹み切って自信を失ってしまった自分の心。
けれど、自分の中に揺るがない自信(「内なる花」)を持っていれば、どんなに厳しい査定を受けようと、不当な評価を受けようと、自分らしい色の花でいられる。
そんなふうに自分らしい色で咲いている花は、すべてが尊い。
だから咲かせに行こう、内なる花を。

「トレンディー(?)なドラマの主題歌。今度こそ普通の男女のラブソングを書かざるを得なくなったのでは……?」と、小さく広げた指のすき間から覗くように、こわごわ聴いてみたのだが。
杞憂だった。
なーんの心配もいらなかった。
ぶれてなかった。
藤井風は、どこまでもどこまでも藤井風だった。
自分を大切にすること。自分を大切にしている他人を大切にすること。
シンプルだけど難しい、だけどこれさえできれば、無用な憎み合いなど起こらないはずなのだ。
いま、いろんな場所で余裕がなくて、ギスギスして、ピリついてる人がいっぱいいる。私もそう。
そんな私たちに寄り添って一緒に歩くように、風さんが歌いかけてくれる。
「誰もが一人 全ては一つ」

10月16日現在、youtubeの「人気急上昇中の音楽#1」(1位ってことかな?)を突っ走っているこの曲。
MVが解禁されるのが待ち遠しいな。どんな素敵な映像が出来上がってくるんだろう。


(おまけ)
私「木曜日の『いちばんすきな花』っていうドラマ、風くんが主題歌やねんで!」
母「見た見た! 東京に奥さんと子どもを残して単身赴任して鹿児島に行って、花ちゃんっていう子に出会って……」
私「…………???」(そんなドラマとちゃうけど……)
(後でネットで調べると、テレビ朝日の土曜日のドラマ「単身花日」のことだったw おいおい)
私「ともかく、これからスマホを開いたら、藤井風「花」が出てくると思うわ」
母「そうなんよ、ユーチューブ開くたんびに、♪みんなよう頑張っとるわ♪ とかいう曲、あれ何やったっけ?」
私「Workin'Hardな」
母「そうそうワーキングハード、あれ最近までしょっちゅう聞かされとったわ(聞かされてたんじゃなく、自主的に聴いてたんじゃないのー?w)」
てなわけで、これからは「花」が、喜寿の母の暮らしの彩りになってくれることでしょう。

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