便利で愛おしい「合言葉」というツール

突然だが、私と旦那は一日40回ぐらいケンカする。
夫婦ともに家族の写真を平気でSNSにあげてるタイプなので顔バレもしていて「仲良さそうだね」と言われることもあるが、何を隠そう、まじでめちゃくちゃケンカする。いつもどおりの会話を繰り広げていたら、その場にいた友人に「いやちょっと人前でケンカせんといてくれる?」と言われることもあるのだが、大体そういう瞬間は「え?いまのケンカ?」とちょっと驚く。つまり、夫婦にとっての日常会話=周りから見たらちょっとした口喧嘩、みたいなことになっており、今さらどう軌道修正したら良いのか分からないから恐ろしい。お互いに頑固で譲らない、相手の言葉尻につっかかっていく、ウー!キャンキャン!!みたいな犬2匹(血気盛ん)という感じなので、彼と付き合ってから5年以上そんな感じでやってきたのだ。

たまにものすごい穏やかな夫婦の会話を聞いて、なんてオトナなんだ!と感涙しそうになることも。相手の小さな間違いに気がついても優しくスルーする柔らかく温かな対応。「あ〜我が家だったら絶対ここでケンカになるな」と思うポイントで穏やかな夫婦がどんな会話をしているのか聞けたら勉強になるだろうに、と二人で真面目に想いを馳せているが、我々夫婦に限っては何年経ってもその境地にいける気がしない。

そんな私たちのどうでもスゴイところは、一日40回ケンカしても、それと同じ数、仲直りしていることだ。。。なんて、まじでドヤるようなことではないのだけど、犬も食わないことでキャンキャンやりあって、数秒後にはそのケンカを笑いのネタにできている。その理由は「合言葉」のおかげだ。

合言葉=互いが味方であることを知らせ合うために、前もって決めておく合図のことば。「山」と言ったら「川」と答える類。
(明鏡国語辞典)

あるとき、夫婦で旅行に出かけようとしていた朝に、旦那が提案してきた。
「この旅行の中で、絶対にケンカすることになる。ケンカした時に ”これを言ったらケンカを止める” っていう合言葉を決めていこう」と。 なんやねんソレと普通なら突っ込んで終わりそうなところだが、ケンカ慣れしている私は「それええやん」と旦那の提案に乗った。二人であーでもないこーでもない言いながらその日の合言葉を決める。「ケンカするのはやめようよ」で良くない?と思われそうだが、それと合言葉はちょっと違うのだ。

そしてそんな仲睦まじい瞬間から数時間後、案の定、どうでもいいことで言い合いになる。電車の時間を確認したとかしてないとかそういう類のこと。そして、自分が言い過ぎたなと思ったり、相手がピリピリした雰囲気になりはじめたら「○○○!」と呪文のように口にするのだ。険悪な空気に放たれた一言に一瞬時間が止まり、その状況が面白くて笑えて、大体ここでケンカが終わる。言ったもん勝ち。「めっちゃええやん、合言葉!」と二人でワイワイ盛り上がり、また仲良しモードになる(以後、同じことが数時間おきに繰り返される)。

…と書きながら、壮大なノロケのように思えてきたけど、伝えたいのはそこではなくて「合言葉」ってなんかいいよねって話。目的は自分の身を守るためのものだけど、相方がいる ”合図の言葉” だから、英語の「password」とはなんとなく違う趣がある。日本語特有なのか、誰かと一緒に考えた時間の重みがあり、人と共有して初めて意味をなすもの。二人で決めた目的や意志を再認識しあうための言葉。

もっと抜本的に解決した方が良いのでは?という声も聞こえるが、ここで必要なのは、無意味な争いに翻弄される状況を回避してその場を楽しく過ごすということである。そのために合言葉がとても便利という側面はもちろんあるけれど、それ以上になんだか合言葉そのものが愛おしい。これを言えばケンカは終わり、というルールのおかげでお互いが魔法使いのような存在になるのだ。以来、家族でお出かけするときは「今日の合言葉は何にする?」と相談してから出発するようになった。

話は変わるが、そんな血気盛んな旦那はよく道でつまずく(あと、ビルからにょきっと出ているラーメン屋の看板とか、嘘でしょ?って思うような場所で頭をぶつけたりする)。

そこで毎回、「あー危ないよ足元!ちゃんと見なよ!」と言うのでは長ったらしくて間に合わないし、日々あまりにもこのセリフが登場しまくるので、せっかくだから聞いたら嬉しくなるような言葉にしようという旦那の提案のもと、この一連の注意を「ビスケット」と名付けた。

これが気付けば我が家で定着し、当初は「ビスケットだよ〜」とか「ビスケットだからね!」とかちょっと気取って(?)言ってたのが、今や「あ!危ない!」と思ったらすかさず「ビスケット!」と真顔で叫ぶようになっていた。周りからみたらキモすぎる。

もし我が家のようにケンカが絶えない人がいたら(兄弟でも、恋人同士でも、同僚でも)ぜひ試していただきたい。あと昔はそういうケンカよくしていたけど、最近はもうしなくなったよ、という方がいればぜひ真面目にアドバイスをいただきたい。。。

すさまじくどうでも良いnoteを書いてしまった。私には見える。こんな我が家の常識を「ふ〜ん、どの家庭にも合言葉があるんだ」と思って育った息子が「お前ん家の合言葉ってなに?」みたいなことを聞いて変人扱いされる未来が。ごめんよ息子。でもきっと君も血気盛んだろうからお互いに言動には気をつけよう。ビスケット!

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Fabulous!
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田中 伶

etc

コメント1件

夫婦で愉しんでるって感じが伝わってきて、1人で笑っちゃいました。合い言葉はないけど、うちの喧嘩は、激しかったです。叫んだりモノを壊し終えた後、お互いに納得行くまで半狂乱になりながら話し合いで、言っちゃいけないだろうことも言ってしまってました~。わはは。風呂に入ろうとマッパになったら、さっきのはまだ話終わってないだろ!って言われて、裸のまま風呂お預けになったことも今は笑い話です。合い言葉って2人だけのって感じでニマけちゃいます。
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