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障害児の母としての話

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映画「月」を観てきました。

映画「月」を観てきました。

相模原障害者施設殺傷事件の映画です。
軽度知的障害・自閉症児の母であり、知的障害者施設の職員でもある自分の感じたことは、まず同じ立場の親御さんに向けたい。
2018年の映画「岬の兄妹」と同じですが、これは健常者と社会に向けて作られていると思います。当事者家族は、無理に観なくてよいと思います。

この映画は「問いかける」なんてものではない。
「突きつける」ですら生ぬるいと感じる、放たれる言葉の数々。

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花のような人 星のような人

花のような人 星のような人

私は先月48歳になりました。人生を折り返してしばらく経ちます。
軽度の障害のある一人息子は22歳になり、就労支援施設で元気に働いています。コロナで一変してしまった世界で、この2年弱の間に、たくさんの方が亡くなって、私の周りでも、8人の人が亡くなりました。
親友のお母様、手伝っている障害者施設の同僚のお父様が2人、施設の利用者さんのお母様が2人、1人の利用者さん、役者の窪寺昭さん、そして神田沙也加さ

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乗り越えたわけでも、立ち直ったわけでもなく

乗り越えたわけでも、立ち直ったわけでもなく

アベプラで、不育症の特集があった。
妊娠はするのだけど、流産を繰り返し、
なかなかお子さんが授からない方々についてだ。
 
不妊・流産の悲しみに限らず、
自分の人生に起きた不慮の出来事を
自分が真に受け止めるまでには、ものすごく年月がかかる。
「人に話せるようになるまで」時間がかかる。
それは詳しく言うと、
「人に話して、相手がどんな反応をしたとしても、
ある程度、心が大丈夫になるまで」という意味

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「保護責任者」とはどういうものだろう

「保護責任者」とはどういうものだろう

障害児を持つ親として、昔からよく考えることの1つだ。
 
◆コトバンクには
 
老年者・幼年者・身体障害者・病者など
保護を必要とする者の生命・身体を危険から守る責任。
刑法218条で保護責任者に課せられている法律上の義務。
要保護者を遺棄したり必要な保護を行わなかった場合、
3か月以上、5年以下の懲役に処される。
 
とある。
親ではなく、兄弟や親戚が、
「一人で暮らせないだろうな」と思うレベル

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「岬の兄妹」を観てきました。

「岬の兄妹」を観てきました。

「身体障害のある兄が自閉症の妹に売春をさせて生活する」。
この前振りだけで、相当な勇気と覚悟がいったのですが、
知人の映画関係者が揃って絶賛するので、
覚悟を決めて新宿バルト9のレイトショーに行ってきました。

ただ、大前提として、私は「当事者」なので、
おそらく確実に、一般の人とは見方も、受け止めたものも違うと思います。

私について箇条書きにするとこんな感じ。

・19歳の一人息子が軽度の自閉

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舞台「幸福な職場」

谷口賢志くん出演の舞台「幸福な職場」を観てきました。

はじめにお話しておくと、私の一人息子は現在17才で、
特別支援学校の高等部に在籍しています。
軽度の自閉症と知的障害があり、
身体的にはてんかん発作と重度の不整脈があります。
障害は3才のころに正式に診断されたので、
私は障害児の母としては14年目、14才です。
 
障害者を雇用した会社の物語…という前情報を見て、
正直、ちゃんと観れるかどう

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「私の視界」の話

「私の視界」の話

※写真やイベントの仕事とは無関係の、個人的な話です。
 
人間の目も耳も「選択通過制」なんだって
教えてもらったのは17ぐらいのときだった。
人間は自分の見たいものしか見ないし、見えない。

今年6月ぐらい。
明治通りの広尾あたりを歩いていたら、ホームレスがいた。
普段、広尾にはあまりいない。
50〜60才ぐらい。髪も肌も服も黒く汚れた小柄な彼は、
ゴミ置き場にしゃがみ、
白いコンビニ袋からカラス

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町田誠也作・演出舞台「継承」を観て来ました。



※画像は、小人症の俳優、ピーター・ディンクレイジ。
海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のティリオン役で、
エミー賞助演男優賞と、
ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞された。
 

昨日、町田誠也作・演出舞台「継承」を観て来ました。
「ダウン症のある方々と共に創るプロジェクト」と冠されていて、
メインキャラクターの3人を含め、
出演者のうち8人がダウン症の方々だった。※年齢はわからない。

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