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NHK解説委員と電通若手(2016年2月7日)

【2022年3月7日追記:下記の拙稿の公開日時は、2021年11月18日です】

 筆者に文才がないのか、世間的な信用というものを築いてこなかった不徳の致すところなのか。理由はともかくとして、以下に書き記す内容を信じる人はたぶん多くないと思うのだが、2016年2月7日に東京都内で見聞きした当時のメモを、このサイバー空間の片隅に書き記したい。

「キミは、これまで僕が見たこともないほど勉強している人だ。しかし、それを、外に向かって書かなきゃ」

 2008年3月9日。河原町から十三(じゅうそう)までの阪急電車・快速急行の車内で筆者にこう語った木村汎先生(2019年11月14日物故)の3回忌も過ぎた。論文投稿で本稿を問うことは、査読者に、その真実性を訴えることがかなわないため、以下は、学術論文としては不適格である。ロシア学徒として、恩に報いるどころか「背信行為」であると地獄の門前で申し開きをすることになるかもしれないが、筆者が大阪府警外事警察の民間協力者だということを当時に明かすことは、自らの学徒としての政治生命を失うことと同義だった。今は、違う。

さて、ここでの主人公、石川一洋NHK解説委員は、ナルイシュキンSVR長官からのアプローチにより、インタビューしたという人物である。

石川一洋「ロシア対外諜報のトップが語るアメリカと中国」
https://toyokeizai.net/articles/-/335666
2020年3月11日付、東洋経済ONLINE
(2021年11月17日アクセス)

「ロシア対外諜報のトップが語る日本との関係」
https://toyokeizai.net/articles/-/335961
2020年3月13日付、東洋経済ONLINE
(2021年11月17日アクセス)


もう一人の人物は、その会合をセッティングした電通若手社員なのだが、当時は右も左もわからぬ若手だったので、N氏と記載しよう。ほかにも登場する人物の所属する会社名をあげたが、以下の内容が真実性を伴うものとして認知されるには、具体的に言及しなければなるまいと思い、記している。


木村汎先生。北方領土返還運動。2016年2月7日の式典の後に、こんなことがあったのです。彼らは、木村汎先生の前ではまるで就職活動をするマキャヴェッリのように流麗な社交儀礼をつくすのでしょうが、それは円錐を天上から見た一面にすぎません。

木村汎先生は、誰に対しても、ざっくばらんに語られるお人柄でしたので、気付かれなかったことでしょう。しかしながら、山の麓の住人たちは、標高や水脈という足下を見ながら、モノ申すものであるということを、申し上げなければなりません。ここでお見せするのは、山を統治する方法論でも山上の景色ではなく、麓の住人の振る舞いです。大阪府警を通じて防諜部門には報告していますので、オオゴトにならずに誰かが処理されているハズ。では、皆さん、ご笑覧を。

「『テレグラム』って知っていますか?パリ同時多発テロでテロリストが使っていた連絡手段です。LINEと違って履歴が残らないので、捜査機関も足取りをつかめなかった。『テレグラム』はロシア製です。もしかするとロシア政府は(通信履歴などを)握っているのかもしれませんが」

 2016年2月7日15時頃。石川NHK解説委員は、新橋駅から徒歩3分ほどのダイニングキッチンと、facebookを通じて参加募集がかけられてつどっていた学生に気さくに雑談をふった。13日の金曜日に起きたパリでの同時多発テロの情報も、電通若手N氏のセッティングした会合では、お茶話にすぎない。

 筆者が問題にしたいのは、電通若手のN氏が、facebookを通じて緩やかな募集(参加条件は、「北方領土に関心があること」の一点だった。ちなみに本稿執筆時点(2021年11月)に筆者はfacebookのアカウントをもっていないので、facebookの「神谷英邦さん」は別人である)をかけながら会計管理や名簿作成といったロジをせず、

「企画した人がリスクを背負うなんて、ワリにあわないじゃないっすかー」

 といった、一言である。「電通」とは、こういうノリで社外の人とプライベートの昼食をセッティングできるのか。昭和生まれの筆者にはマネのできない芸当だ。「電通」というステイタスがなければ、人数・料理の量・予算をそれなりにととのえて、参加者にも場所を提供してくれるお店にも利益を出すのがそれなりの礼儀だと思うのは、「昭和」の価値観なのだろうか。

「電通」って、すごいね。当時はこんな言葉はなかったが、「上級国民」だ。

「今日の式典。ロシア大使館員はいたのでしょうか」

 筑波大学の大学生が筆者に尋ねた。彼女は式典には参加していないと言っていた。石川一洋NHK解説委員を奥にしながら、周囲には式典参加者が取り巻いていた。式典参加者にしかわからない内容で、参加していない者へのガードをしていることは容易に察せられる。こう、露骨にやられると、「『北方領土返還運動』ってなんだろう」という気がする。

「ロシア大使館員が式典会場にいたか、いなかったかは、問題ではありません。その雰囲気を知る人をネットワークの中に取り込んでいるとみるべきでしょう」

 彼女は筆者の一言にギョッとしたように瞳孔が収縮した。
 目の前に、大阪府警の民間協力者が正体を隠して活動している。
 彼女は式典には参加していない。石川解説委員と電通若手のN氏を中心にできたそのお茶会では、式典に参加した者と参加していない者との間で、「階級」というべき空気が蔓延していた。大事なことなので二度書いた。

 式典に参加した者は、N氏のスピーチが良かったとはいうが、その中身については言及しない。彼ら彼女らは式典で渡されたとおぼしき資料の紙袋を持っており、「記号」として機能するのに十分だった。

村上春樹氏は、ノーベル文学賞の名前が毎年あがるのは日本だけと言われるものの、式典での村上春樹氏のスピーチは大文豪の名に恥じない迫力だったらしい。内閣総理大臣のスピーチは時として日露間に緊張をもたらすが、村上春樹氏のスピーチが外に出ないのは、不思議だな。せめて、この場にいた席で文豪の言葉を共有することはできなかったのだろうか。

マックス・ウェーバーのスピーチであれば、『職業としての政治』『職業としての学問』と岩波文庫で出版されているほど、言葉には「力」があるのに。その場に居合わせたのなら、言葉の力を熟知している石川NHK解説委員に、その力を、式典に参加していない者にも伝えてほしかった。まさか、石川一洋NHK解説委員の周囲にいる少数の学生が式典に参加しているからといって、それが全員だとは思わないだろう。二つ三つ隔てた「しま」では、式典に招待されなかった若者が複数、石川一洋NHK解説委員の会話に参加できずにいる。

石川NHK解説委員は饒舌だ。これは、ムリもない。NHK内定者とおぼしきリクルートスーツの学生や、「石川一洋(NHK)」の名前のもとに集まったfacebookのオフ会イベントなのだから、誰もが石川NHK解説委員を相応にもてなすものだ。

「NHKは、新人や5年以内の若手を地方に配属します。一番苦労しているのは、『大阪府警』です。全国紙の西日本ブロックでは、取材先の大阪府警にエースをバンバン投入して、『大阪府警』が記者の取材対象としての頂点になっているのですよね。そんなところに『地方配属の若手、NHK』が取材するなんて……勝てっこありませんよ。相手にすらされません」

筆者は、石川NHK解説委員の言葉を帰宅する小田急車内で逐一思い出してメモ帳に筆記した。そのメモ帳は、おそらく町田の閑居にある。ボールペンで手書きしたメモ帳を、PCに書き起こす。「大阪府警」の言葉が出たら聞き耳をすます。

筆者のコードネームをとって「武藤メモ」としよう。武藤メモは、コピペして、大阪府警外事警察のカウンターパートに送信する。カウンターパートからは、「消去してください」と言われていたが(大阪府警には申し訳ないのだが)、筆者(政治学徒)としては、自分が見聞きしたことを記録するのはたしなみ。当時のカウンターパート(大阪府警警察官)は、職務遂行中は手錠や拳銃を所持することが許されていても、出世と給料と賃下げに苦しむ市井の人なので、名前を記さない。

下記の拙著(電子書籍Kindle)

に登場するカウンターパートには、長門・三好というコードネームを割り当てているが、これらは筆者のつけた仮名である。

饒舌に話す石川NHK解説委員。「油断」という言葉が筆者の脳裏に浮かぶ。
参考情報として、大阪府警には石川発言の裏に次の情報を加えている。

「橋下徹前大阪市長はTwitter上で全国紙記者の個人名をあげて公開処刑していたが、なぜかNHKが糾弾対象になったことは記憶にない。そうか、NHKは『痛くもかゆくもない』取材しかやっていないのだろうな。大阪府警の不祥事では、よほど綿密な取材をしないと記事化できない種類の『不祥事』がバンバンネット上の記事になっていることにかんがみて、エース記者が大阪府警に取材攻勢をかけていることがイメージできる」

筆者にとって、大阪府警警部補は、情報を買う顧客だ。彼らにとって、警察情報は重宝されているようだ。筆者が大学生の頃に北海道警察の裏金や神奈川県警がオオゴトになったが、大阪府警外事課長は、警視庁警視総監・警察庁長官といった警察トップにとって典型的なポストだ。それはその通りのようなのだが、警察庁キャリア官僚にとって「大阪府警」は重要な通過点のようだ。

このお茶会に、三井物産新人のT氏が登場。ロシア業界では知られた人物だ。ずいぶん出世しているみたいだね(2021年11月)。激務を武勇伝として語る彼は、「睡眠薬を処方された」と座の人気者になろうとするが、筆者が、「マイスリーですか、それともデパスですか?」と有名な睡眠薬の名前をあげたら凍りついていた。申し訳ないのだけれど、そのくらいの安い「武勇伝」ならばいくらでもある。こういう風に話を大きく演出するのが「三井物産」なのかね。違うよね。

筆者も人が悪い。石川一洋NHK解説委員の席からやや離れていることをいいことに、T氏と話した。

「サハリンに行った時のことです。鈴木宗男先生のそばを離れず行動していましたが、『ここから先には来るな』と強く言われた小屋(部屋?建物?)があったのですね。その後、バッジをたくさんつけた人、つまり、北朝鮮の高官が入っていったのです。昔のことですが(武藤註:3-4年前。2012-2013年頃?)これ、ゼッタイにオフレコでお願いしますね」

 「オフレコ」など知るものか。あいにくだが、キミの「オフレコ」を得体の知れない筆者に漏らさない方がよい。

「鈴木宗男と北朝鮮の接触をにおわせるエピソード」

T氏は、素性も知らぬ筆者に、武勇伝の一環として全員の前でのスピーチで言ったのは大失態。彼のような自己PRに秀でたような人材が、伊勢志摩サミットで「ユースサミット」(?)のメンバーとして選抜されているらしい。伊勢志摩サミットでテロを起こさせまいとして予行演習をしている警察の地道な働きが彼の想像に入ることは、おそらくない。

「住友商事は資源開発で順位が落ちた。そのうちにウチが吸収合併して『三井住友物産』になる」

「『新日鉄』を担当していますが、『新日鉄』は大変キツいですよ。JFEを担当している同期はラクそう」

 筆者は社会人1年目のT氏をたしなめる意味で「新日鉄住金」という言葉をもりこんで婉曲的にいさめたのが、

「住友金属ですか?吸収合併された会社ですね」

と筆者をあしらう。あの時のちょっとした怒りが、鈴木宗男先生の「オフレコ」をネット空間に展開させる導火線になる。三井物産のために弁護しておくと、T氏の属人的なエリート意識が、この言動につながったとみている。三井物産に限らず、総合商社勤務の知人は、勤務時間外にも、ものすごく勉強している。

そんなこんなで、一次会は終了した。
一次会で帰る者と二次会に向かう者にわかれるが(T氏は帰った)、石川一洋NHK解説委員は楽しいひとときだったらしく、

「2月7日が『日曜日』になるのは、次は何年後でしょうか」

ともらした。
時はさかのぼるが、2006年頃。佐藤優氏が、自らが北方領土返還運動式典参加後のデモ行進に参加したことを引き合いにして、「日頃から筆者(佐藤)を批判し、実態は4島ビジネスをしている木村汎教授や袴田茂樹教授こそ、式典に参加して『日本は本気で4島返還を望んでいる』とロシア大使館員に        本国へ報告させるよう仕向けるべきだ」とネット記事で書いていた。

式典には、招待者しか参加できない。筆者は過去に、北方領土返還式典に参加しようとして、ようやく会場を知ることができた年があった。ロシア学徒として、その周囲の雰囲気くらいは知っておきたいという思いから会場に向かったが、会場周辺のお手洗いで袴田茂樹先生と遭遇した。

ヘドリック・スミス『ロシア人』を鞄から取り出し、「今、読んでいるところです」と挨拶したことがある。袴田茂樹先生が『日本経済新聞』の書評の末尾で同書を推薦していたので、アマゾンの中古品市場で買い求めたのだ。この一幕を袴田茂樹先生が覚えておられるとは思えないが、佐藤優氏の批判は、「次に2月7日が日曜日になるのはいつなのか」という一言をもらした石川一洋NHK解説委員にあててはいかがか。百年たっても「北方領土ビジネス」を展開する言説は、石川一洋NHK解説委員の「次に2月7日が日曜日になるのは何年後」発言に対して向けられるべきだろう。


二次会(電通本社?46F)は「北海道」という名前のお店。

おいしいお店なのだろうけれども、「北海道」の店舗シンボルは北海道の地図をモチーフにしたもので、北方領土がみごとに描かれていない。北方領土返還運動式典に参加した後に、この店をセレクトするのは、さすがにマズくはないか。居酒屋「北海道」に何らのとがめられる筋合いはないが、北方領土返還運動式典をした後の会場としては、いかがなものか。二次会への道すがら、電通若手のN氏は、石川一洋NHK解説委員に

「昨日までのイギリス出張でJTのプロパガンダをしていました」

という話は、電通という会社に所属しているのだから、まぁその通りだろうし、若手にありがちな「自分を大きく見せる言動」として流すことは簡単なのだが、距離の離れた雑踏の筆者の聞き耳で受信されるのは、脇が甘い。

北方領土返還。2月7日の式典に参加した後に、北方領土が描かれていないロゴを使用している居酒屋で宴席をセッティングするという場面を、ロシア大使館員やその協力者に目撃されたら大変だ。東京オリパラ2020も衆院選2021も終わった今だから、書いている。天下国家を論じる前に、脇をかためてくれ。

石川一洋NHK解説委員は、「役者」である。これとは別の異業種交流会の勉強会・懇親会に参加した時のこと。記者証を懇親会会場で落としたのを、筆者が手渡したことがある。重大な事案なのだろうけれども、このときは何事もないかのように一笑を筆者にくれただけで、その場を乗り切った。石川一洋NHK解説委員が相応の人物でなければ、本稿でも実名で書くことはしないだろうが。

次の発言は、正確な事実を記そうとすれば、一次会と二次会の話を混同させた「誤った情報」なのだが、読みやすさを重視して筆者が編集した発言である。

「(式典に)政治家で来ていたのはアベくらい(呼び捨て)。日曜ってのに誰もこないなんて。ムネオも来なかったなぁ。鈴木宗男さんが来ていなかったのは、娘さん(鈴木貴子氏)の選挙の関係があるのでしょう。いつもなら最前列で腕をくみながらふんぞりかえっていますが(笑)。娘さんは自民党に入ろうとしても入れない事情があります。民主・比例で通っているという事情がありますから、選挙でちゃんと通らないと自民党には入れません」

衆院選2021の直後に公開した拙稿なので、鈴木貴子衆院議員の立場がかわっているのは報道の通り。「『ムネオ騒動』の中で、『ムネオの娘』という立場で壮絶な少女時代を送ったと思う。でも、一人の人間として、つぶれてほしくない」。「ガルージン大使の日本語の方が父の日本語より上手だと思う」と笑いを誘いつつ、堂々たるスピーチ(2018年4月4日、鳩山会館)、お見事でしたよ。議員会館で、鈴木宗男・佐藤優両氏の講演会を本座にすえてfacebookで集客し、前座の街頭演説で鍛え上げられましたね。

鈴木宗男・鈴木貴子。所属政党は異なることは承知。鈴木貴子さんが、鈴木宗男さんの「父の背中」を見たように・・・・・・ではなく、鈴木ムネオおじいちゃんが孫をかわいがる姿を私的空間で大切にされることを前提として、公的には「鈴木貴子」として、政治家として鈴木宗男を食ってのしあがってほしい。

本稿に「アベ(呼び捨て)」と記したのは、元となった武藤メモ(筆者作成)の通りにあったからである。本稿公開の2021年11月18日16時からさかのぼること6年弱を経過しているが、2016年当時に「呼び捨て」とPCに入力したのは、石川一洋NHK解説委員に何らかの感情がこめられていると感じたからである。公正に・客観的に・正確に論じることは、難しい。語気や表情などの端緒を積み上げることを通して、より精密な情報を大阪府警に報告する。それが武藤の役割だ。

たしかに、「アベ」という名前は、モーニング娘。かAKB(?)のアイドルの「アベちゃん」のように、呼ばれやすい苗字である。筆者が新卒で入社した生命保険会社(2003年)にも同期にアベ君がいたが、彼も「アベちゃん」と呼ばれていた。

鈴木宗男氏には、「ムネオハウス」「ムネオ騒動」などの強烈なインパクトをもたらしたし、議員会館で演説する時にも親しみやすいキャラクターを演出していたので、筆者が「ムネオ」と表記しても悪意を感じることは、おそらくない。石川一洋NHK解説委員が会話の中で「ムネオ」と呼び捨てをしても、武藤メモには「ムネオ(呼び捨て)」とは書かない。「アベ(呼び捨て)」と表記基準を分けたのは、当時の筆者の判断である。

さて、石川一洋NHK解説委員。気持ちが良くなると、昔話をしたくなるものだということは、筆者もわかる年頃になった。新卒で入社した生命保険会社(2003年)での思い出は、4ヵ月で早期退職して、筆者の政治的生命は絶たれたけれど、甘美な思い出だ。

「私(石川)が最初に配属されたのは秋田支局でした。配属されて何ヵ月もしないうちに『秋田県政最大の汚職事件』と大騒動になった、林野庁を巻き込んだ事件がありました。秋田県警の捜査2課長に密着取材しているのに、地元紙の魁新報にどうしても勝てない。

ある時、魁新報の幹部記者が「オレを取材しろ」といいました。『お前(石川)は取材対象を間違えている。オレ(魁新報)の記事を読んで、2課長が追いかけているのが実態だ。オレを利用しろ!』と。まさかそういうわけにもいかないですから、(席の遠い武藤、聴取不可能)」

武藤の席は遠かったので詳細を聞こうと耳をすますも、限界がある。ジンギスカンが注文されていたが、武藤の席にたどりつくのは、ひなびた状態になった野菜ばかり。末席の人に何を書かれるのかこわいな、という思いが少しでもあれば、追加注文するなり気遣いをすると思うのですがね、電通若手のNさん。

「ソ連崩壊時、私はモスクワ配属になりました。私にとっては秋田での取材経験が糧になりましたMGU(エム・ゲー・ウー。モスクワ大学)やMGIMO(ムギモ。モスクワ国際関係大学)の学生を200ドル/月くらいで使うのです。若手記者の私にはカネがなかったので幹部(NHK)局員みたいに交際費を使うことができませんでした。だから、学生に金を払って情報収集をしたのです。彼らは必死になって情報を集めてくれました。当時学生だった彼らも今はえらくなって、今でも交流があります」

 石川一洋NHK解説委員の経歴については、東洋経済オンラインを2021年11月18日時点では情報源としておすすめしたい。本稿では「石川一洋NHK解説委員」と表記しているが、当時の肩書きは「NHK解説主任」なので、武藤メモでもそうなっている。ただ、石川一洋NHK解説委員がNHKを退職しても、ジャーナリストとしての活動を筆者は評価しているので、公の場では、東洋経済オンラインをおすすめした。脱線して失礼。
      
「取材方法が変わる頃合いだったので、私のような新参者が(コネクションを築いていた)共産党幹部に取材をしていた幹部局員よりもネタをとってくることができました」

 情報提供者に金銭を払う。
 ジャーナリストの某氏は、外事警察と元・民間協力者の筆者の金銭のやりとりを心底から軽蔑したらしく、

「『売った』んだな、お前は・・・・・・!」

 と吐いたが、当時(1990年代)のロシアとはいえ、NHK記者という立場がなければ、立ち入れない領域があったと思う。「取材活動にカネを払う」是非についてはつい今しがた(2021年11月11日午後)にもTwitterで話題になっていたが、メディア関係者が「情報を買った」という証言を聞いたのは、筆者はこれ以外には、寡聞にして知らない。

 居酒屋「北海道」。ジンギスカン。羊の肉はまわってこなかったが、筆者としてはまずまずの成果だった。色々と「本音」を集めることができて楽しかった。電通若手のN氏が、石川一洋NHK解説委員を、他の参加者をエレベーター前に待たせながら、照明の暗い高級感を醸し出したバーへと案内している。

電通若手のN氏の宴会奉行としての実力ははなはだ疑問なのだが、社外の有力者に取り入る素質はあるようだ。N氏は他の参加者にもそれなりに遇されていたが(私的な時間の過ごし方なのでそれはそれで当然なのだが)、筆者に対する態度と落差を感じざるをえなかったというのは、鈍感な筆者でも気付く。

帰りのメトロ銀座線車内で、石川一洋NHK解説委員と筆者は二人きりになった。石川解説委員は3-4杯をストレートで飲んだウィスキーの酔いに身を任せるようにしていたが、そこに無粋な質問をしたのか、露骨にイヤな顔をされた。

「『ロシア情勢懇談会』は学生を応援するために立ちあげられたのですか?」
「彼ら(学生)は彼らで勝手に動くでしょう」

石川一洋NHK解説委員は憮然とした様子を隠さず答える。「ロシア情勢懇談会」とは、本稿で話題としたfacebookのコミュニティ名称だ。

表参道駅で石川一洋NHK解説委員と、筆者は乗り換えで別になった。表参道駅で別れの挨拶をしようとした筆者に先んじる形で、

「じゃっ(短音)」

ときたない発音を石川一洋NHK解説委員は発した。ホンモノの役者なら、筆記文書では「じゃあ」という感じの言葉を出したのだろうが、筆者を拒絶するような口吻。返礼をしようとする筆者に即座に背を向けて筆者に対する拒否感をかくさなかった石川一洋NHK解説委員。

「石川解説委員は役者だ」と買っていた筆者を失望させた。

一次会のみの参加だったが、国際法局条約課長・毛利忠敦氏(毛利家第26代(?)当主)の親族の大学生も参加していた。彼が母親を経由して従兄弟の耳に入るというケースを想像するのは、げすの勘ぐりかもしれない。

木村汎先生。この「武藤メモ」のnote、ご覧になっていますか。

「僕は『ワープロ』ができない」

とおっしゃっていましたが、ご著書の参考文献にはインターネット情報とアクセス日時を明記されていること、どうしてそんなことが可能になったのかということは、又聞きながら先生のご葬儀の帰途のJR東海道線車内でうかがいました。「ワープロ」は使えなくても、文献に目を通されているその正当性に合点がいきました。

2008年3月9日。京都市内での講演会終了後の懇親会で、こうおっしゃっていましたね。

「今日は楽しかった。みんな、熱心に僕の話を聞いてくれてありがとう。この中に、『ビザなし交流』に行ってみたい人は、いるかい?僕ができることといえば、『ビザなし交流』を紹介することしかできないのだけど、『行きたい』という人がいたら僕に言ってね。・・・・・・でも、勉強はしてね」

 この勉強会で即席販売されていたのは下記。
新版 日露国境交渉史 北方領土返還への道 (角川選書)

表紙は変わっているし、Kindle版でしか見つからなかったが、内容はおそらく同じ。

 2020年から2021年にかけて、相次いで安倍晋三政権の北方領土交渉に関する書籍が続々と発行された。


安倍vs.プーチン ――日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか? (筑摩選書)

消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う

北方領土交渉史 (ちくま新書)

 後日譚なのだが、筆者(2008)は、木村汎先生のお手をわずらわすまいと、自分でビザなし交流を申し込んだ。経歴や職業などを根掘り葉掘り聞かれた末に邪険に扱われたのだが(仕方ないですね)、その対応を木村汎先生に伝わることはさすがにはばかられたので、本の感想を礼状として木村汎先生にお送りした。

 佐藤優氏が名指しで批判した袴田茂樹先生と面識をもつのは、同年(2008年)の愛知県内で開かれた学会である。休憩時間ごとに新参者の筆者に紳士的にご教示くださったことは、筆者にとって大切な思い出である。

 佐藤優氏なら、

「『北方領土ビジネス』は、『北方領土問題が解決しない』のが好都合」

とどこかに書き散らしていたと思う。しかし、

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―(新潮文庫)

 に書かれたような「佐藤優」は、どこへ行かれたのだろうか。

 多くの方が口をそろえていう。

「北方領土問題の解決のためには、国民的議論が必要」
「北方領土問題の解決のためには、政治的決断が必要」

 だとすれば、北方領土返還運動の仕上げである、式典の後に、どのようなことがあったのかを、誰かが、問題提起しなければなるまい。筆者のことを「公安」「特高」などと批判してもムダ。その通りだし、ソトゴトとして身分を隠しながら暗躍することに誇りをもっていたからだ。

スパイの書いたスパイ小説ならば、拙著をどうぞ。

 拙著(電子書籍Kindle)は、読み放題サービスの対象商品となっているので、拙著をお買い求めいただなくとも無料で読むことができる。購入者の属性(ましてや購入者・読者)を調べるほど筆者は営業熱心ではないので、ご安心いただきたい。

 北方領土問題。本件を議論の本題とすることは、「公益」だと筆者は認識している。実名をあげて北方領土変化運動式典後の私的な行動について、公然と書いたのだが、実名をあげずにその真実性を証明することは不可能だと筆者は判断した。

営利目的ではないか・・・・・・商品リンクを貼っても、アマゾンギフト券500円が筆者のもとに手にはいれば万々歳。拙著1冊につき筆者のフトコロにはいる売上は259円(税引前)であるが、電子書籍にアクセスできないという方で、筆者の連絡先を知っている方であれば、レターパックでプリントアウトしてお送りしよう。

 木村汎先生。筆者は、末次一郎氏を存じ上げません。今頃は泉下で末次一郎氏と国策を論じておられるのでしょうか。浅学非才の身ながら、2021年内ビザなし交流が終わる季節(「例年10月までが実施期間」時事通信電子版、2021年7月31日アクセス)の今、木村汎先生の御名のもとに公然と問う僭越の失礼をお詫び申し上げます。

 北方領土交渉の「交渉」という過程だけを取り上げれば、関与できるのは正当性を与えられた「有権者(権限者)」に限られる。しかし、その正当性を付与するのは北方領土返還運動など国民世論であり、政治家に何らかの政治決断をなさしめるのは、代議制民主主義であると、筆者は考える。

2021年11月18日16時
神谷 英邦(KAMITANI Hidekuni、武藤頼尚)

【追記。2022年2月6日加筆】

Amazonアソシエイツで売り上げ目標を達成できなかったので、アフィリエイトを除名されたことから、同サービスのリンクをはずしました。

拙著リンクは、改めてURLをはりました。お買い上げくださると幸甚です。アフィリエイトを除名されるほどの商才をお察しください(苦笑)。

【追記。2023年6月19日加筆】
アマゾンへの拙著のリンクを「カラー」に変更しました。

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