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あらわしの美"SLパレオエクスプレス秩父鉄道"

お正月、実家に帰ったついでに久々秩父鉄道に乗った。
SL機関車は1日1本熊谷から三峰口の間を往復する。
都心から一番近くで乗れるSL機関車らしい。車内アナウンスで秩父出身の林家たい平氏がそう言っていた。

SLパレオエクスプレスは、C58形という種類で昭和13年から22年まで製造され、客車も貨物もひく万能な機関車だった。1972年の引退後は吹上町の小学校でのんびり過ごしていたが、1988年のさいたま博を機に、車籍を復活し、秩父鉄道での運転を開始した。

SL機関車側面
SL機関車前面

1.鈍く光るパーツの数々に見惚れる


現代の電車や新幹線は風の抵抗を極力無くすために、滑らかなフォルムのものが多い。設備部分については内臓され耐久性やメンテナンス性も考慮されている。
一方SL機関車はあらゆるパーツが剥き出しになっていて、車輪が動く仕組みも見てわかるようになっている。その他あまりに配管や棒状、蓋状のものが多く、これは何のためにあるのか思いを馳せるのも楽しい。

運転室
客車内

2.蒸気と煙が作り出す幻想的世界

石炭をボイラーで燃やして水蒸気を作り出し、その蒸気がピストンを動かし動輪を回す。釜の中の温度は1200度までに上がるという。その後水を蒸気に変えた後の煙は煙突から外に出される。
熊谷駅ではJR側のホームにいてもその煙が確認できる。汽笛においては、街中に響き渡るため、時計代わりにもなっている。
SL機関車はノスタルジーな雰囲気を街に与えながら出発し、車窓からも終始煙が見え、その景色を幻想的な世界観へと変えていく。

長瀞の岩畳
荒川橋梁からの眺め

3.秩父山地の景勝地を巡る

熊谷から寄居辺りまでは盆地で住宅と田畑が広がる。その先からは秩父山地に入っていく。長瀞の玉淀や岩畳、荒川橋梁など秩父線からは美しい秩父の景勝地を眺めることができる。
岩畳は薄いミルフィーユ状の岩石が幾重にも重なり、数千万年の時を超えて、侵食と隆起により今の姿となっている。
長瀞も秩父もその間の皆野町にも友達の家があり、皆毎日熊谷まで通学していたので、私にとってはただの同じ学区なのだが、あらためて訪れるとその自然の素晴らしさに気づかされる。

プラレール好きのしっかり予習した息子も凄そうなカメラを抱える大人も皆SL機関車の虜になる。そのかっこよさは、配管など機能があらわしになったボディ、原始的な手作業での石炭の燃焼、車両を動かすな構造など現代では見られない手間や無骨さにあるのかもしれない。

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