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作品名称は、どう見られたいかの意思表示。それによって認識は確実に変わる。

こんにちは。

アーキテクチャーフォトの後藤です。

今日は、建築作品の名称について書いてみたいと思います。建築家が作品を発表する際には、現在、それ固有の名称をつけることが一般的です。商業店舗の場合、そのお店の屋号やお店の名称が、そのまま作品の名称になることもあります。住宅などの場合は、建築家自身が、その作品にふさわしい名称をつけることが多いと思います。

例をあげてみていきますと、
建築家の島田陽さんなどは、「○○の住居」というように、全ての作品がシリーズとして認識される名づけ方をされています。
403architecture [dajiba]は、作品の地名+建築の部位の組み合わせで名称を付けることが多かったと思います(「海老塚の段差」など)。
磐田の建築家・渡辺隆さんは、住宅に関しては、その名称にカタカナを用いることが多いです(「イワタノイエ」のような)。
中山英之さんは、最新作の住宅を「弦と弧」と名付けたのも印象的でしたね。

このように様々な建築家が様々な意図で、作品の名称を決めていると思います。

この名称ですが、私は、作品を鑑賞、閲覧する際の導入として大きな役割を担っていると思います。もちろん、街でその建築作品に突然であった人にとっては、名称を知るすべはないので、例外だと思うのですが、
雑誌やウェブなどのメディアを通して作品に接する際には、その名称を認識してから写真をみていくことが一般的でしょう。

そのような流れに意識的になると、作品名称は、閲覧者が作品を理解しようとする際の最初のキッカケとして機能させることができると考えています。

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ここで、プロダクトと、その商品名に関する興味深いエピソードを紹介してみたいと思います。

こちらにも記載されているシュレッダーバサミという商品があります。

こちらがオリジナルの商品なのかを判別することができないのですが(類似商品が色々なメーカーから出ている)、このシュレッダーバサミという商品ですが、現在非常に売れている商品だそうなのですが、もともとは板海苔を刻み海苔にするために開発された商品なのだそうです。
しかし、海苔を刻むという商品として売り出していた際には、それほど売れていなかったそうなのです。全く同じ商品を書類を切り刻む「シュレッダーバサミ」という見せ方で売り出したところ、凄く売れたのだそうです。

こちらにエピソードが紹介されていました( http://www.mag2.com/p/news/260058 )。

シュレッダーハサミは、元々海苔を千切りするために開発された商品でしたが、個人情報保護の時流にものって、手軽にシュレッダー出来るハサミとして販売したところ爆発的に売れました。

これは、人の認知の仕組みの一端を垣間見られるエピソードだと感じます。
同じプロダクトであっても、その商品の見せ方、売られ方、名称によって、それを理解するということだと思います。
海苔を刻む商品、と最初に説明されれば、それは、海苔を刻む用途のものとしか認識できなくなってしまうのです。そのように売られる商品に出会って、これを「シュレッダーの代わりに使える!」と気づく人は、かなり少ないでしょう。

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私は、上記のエピソードは、建築作品と作品名称の関係にもあてはまるのではと思っています。具体的にアイデアを書いてみます。

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