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お金を稼ぐ場所は、社会の変化に合わせて移り変わる。数億円稼ぐ地方の美容室の事例をキッカケに考える。

久々になってしまいました。
アーキテクチャーフォト後藤です。

恐らく有意義な話になるのでご容赦ください。

(ウェブ仕様のザックリテキストで失礼します!)

タイトルに書いた美容室の話。
ふと最近思い出して、頭の片隅に置いていたところ、様々な業界で今起こっている現象や、建築の世界の状況を見ていても共通するところがあるなあと、気づきまして、そのことを書いてみたいと思います。

この数億円稼ぐ美容室のお話は、ぼくが以前通っていた美容室の美容師さんに教えてもらいました(この二つの美容室は別のところですよ)。

美容業界では当たり前の手法かもしれませんが、建築の世界にどっぷりつかっているぼくにはとても新鮮でした。

まず、結論を書くと、オリジナルシャンプーの販売で「億」を稼いでいるのだそうです。
美容室なので毎日のようにお客さんが髪を切りに来ます。そこのお客さんに、美容室がオリジナルで制作した(OEMだと思います)シャンプーをお勧めして売るというのです。

美容師さん曰くシャンプーはかなりの低コストで作ることが可能なのだそうです(というのは主成分が水だからだそう)。

その美容室では、如何にそのシャンプーをお客さんに売るのかという練習も行っていたそうです。

ぼくらのような業界外の人からすると、(特にぼくのようなカットしかしていない人にとっては)美容室の主たる仕事は「髪の毛を切る」ことであり、その行為によって営業が成り立っている、という無意識の思い込みがあったことに気づかされました

もちろん、カットすることで成立させている美容室が大多数かもしれません。しかし、僕が本業だと思い込んでいたカット以外で、大きなビジネスを成立させている美容室もあるというのは事実です。

「本業」「副業」という言葉があるように、ぼくらは何かをメイン(主たるもの)と決めて、そのメインの仕事でお金を稼を稼ぐもの、お金を稼がなければいけないと思い込んでいるということにも気が付きました

それは、過去の社会の仕組みがよりシンプルだった時代には「本業」=「収益」だったのかもしれません。しかし、社会の仕組みが複雑になった現在においては、主たる活動と、お金の生み出されるポイントが異なっているケースも多数あるのだと気づきます

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事例をいくつか紹介していきます。

ぼくはtofubeatsさんの講演の動画を見ていて知ったのですが(探したけど無くなっていた)、チャンスザラッパーというミュージシャンがいます。2017年にグラミー賞も受賞しています。

こちらのwikipediaにも紹介されているのですが、この人は音楽活動をしているのですが、その音源でお金を稼ぐことはしていません。製作した楽曲は全て無料で配信しているのだそうです。では何でお金を稼いでいるのかというと、ライブに出演する際のフィーや、Tシャツなどの物品販売で利益を上げているようなのです

ぼくたちのような90年代のCDを買うことが時代と一体感を得られる方法の一つだった頃を経た人たちにとってそれは驚きでもありますよね。

音楽の世界では、ネットの普及以降、音源の違法コピー等によって、音源が売れなくなるということは盛んに語られています。しかし、それは音源によってお金が稼げないということであって、音楽が人々に求められていない、ということではないのだなと、チャンスザラッパーさんの活動を見ていて思います。

音源にお金を払いたくないけど、音楽を欲しい人は減っていない。そういう社会状況だとすれば、音源を思い切って無料にしてしまうことで、その音楽をより多くの人に聞いてもらう状況は加速されるはずです。
そして、その音楽を聴いてコアなファンになってくれる人たちの中で、ビジネスを成立させているのです。

音源自体がお金になった時代が終わり、次の時代にシフトしつつあるわけです。

なので、「収入」という視点で本業を決めてしまうと、チャンスザラッパーさんはTシャツ屋さんということになってしまうかもしれません。が、現状そうは見られていませんよね。
自身の音楽が起点となり、お金を生み出すポイントはそことずれているけど、総体としてみれば成立している。ミュージシャンとして活動していくことができている。
そんな仕組みをつくることで(つくらなければいけない)時代なのかもしれません。

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もう一つの事例として、手前味噌ですが、アーキテクチャーフォトも全くそのようなモデルとして成立しています。

建築に特化したメディアとしての「アーキテクチャーフォト」が主たるプロジェクトとして存在しています。

こちらは、完全に無料で閲覧が可能なメディアです。運営する過程において、このメディアを有料化してビジネス化することができるのでは?と何度も考えました。しかし、無料が前提だった期間の長いインターネットの世界でそれは厳しいという判断が勝り、そこちらの行動はとりませんでした。

(いまは、noteが有料でコンテンツを買うという文化を構築しようとしてくれていますよね。こちらに関して僕はかなり応援する気持ちがあります。)

では、どうしたか?
並行する形で、建築系の求人情報を有料で掲載できるサービスを開始したのです。これが、アーキテクチャーフォトジョブボードです。

こちらのサイトに有料で掲載していただいた情報を、先の建築メディア「アーキテクチャーフォト」でも拡散する。そうすることで、求人を掲載くださったお客さんにとってもメリットが生まれます。

また、メディアに訪問してくれた人が喜んでくれるであろう商品を取りそろえたオンラインショップ「アーキテクチャーフォトブックス」も運営しています。


それぞれ単体ではビジネスとして成り立たないであろうサイトが、お互い関係をもって運営されることで、総体としてみるとビジネスとして成立したのです。

私自身は、主たる活動は、ウェブ上の有益な建築情報をピックアップし、独自の視点で編集し紹介する「アーキテクチャーフォト」だと自負しています。ですが、実際にお金を得るポイントはそことは別に存在している「アーキテクチャーフォトジョブボード」や「アーキテクチャーフォトブックス」が担っているのです。

このように、何が本業で、副業か、曖昧というか複雑になっているのが現代だといえると思います。

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ここから先は、ぼくの専門としてる建築業界のことを考えてみたいと思います。


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