「参入障壁の低い」業界から学ぼう

こんにちは。

今日は、こちらのテーマで少し書いてみたいと思います。

「参入障壁」とは、簡単に言ってしまえば、その業界で新しく事業をはじめるにあたってのハードルの高さと言えばわかりやすいでしょうか。(厳密に分るしいていくと色々な要素があるようですが、そこちらはwikipediaにまかせることにします。)

我々の建築業界を見てみると、一級建築士という国家資格があるわけで、事務所を開設するならば管理建築士出なければならないと一般的に定められています。

つまり、何の経験もなく設計事務所を開こうと思い立った人が、いきなり設計事務所開設ということは難しいわけです。大学や大学院での定められた、カリキュラム、相応の実務経験があって初めて、試験を受験する資格が与えられるというシステムになっているのです。

これは、「参入障壁」という視点で見てみると高いと思います。(もちろん、より難関な国家資格というものも世の中にはあるわけでして、そちらの業種「参入障壁」はより高いと言えます。)

そして、世の中を、見渡してみると、建築の世界よりも「参入障壁」が低いであろう業界は沢山あると思います。(ここで言いたいのは、障壁が高い業種が偉いとか、低い業種が偉くないという話ではもちろんありません。念のため。)

そして、私は、この「参入障壁が低い」業界ほど、新しいライバルの出現も多く、生き残る事が難しく、そして、生き残るためのアイデアというのも日々考えられ、実行しているのではないかと思っています。

例えば、飲食店の世界。私が通勤で通っている道にも、様々な店舗があり、日々新しい店舗が入れ替わるようにオープンしていたりします。そして、そのお店が数カ月で入れ替わってしまう事も目にしています。それを目にするたびに、飲食の世界で生き残る事は、凄く難しいんだろうなあと日々考えていました。

私は、日経MJ(マーケティング・ジャーナルの略)を購読しているのですが、その中に、飲食店の注目動向をまとめたページが毎回あって、その一角に地域の繁盛店の様子や、そこで実行されたアイデア、メニューのシステムなどが、毎回、詳細に紹介されている部分があります。

読み始めた当初は、本当に繁盛しているお店は凄いサービスを考えるんだなあと、興味本位で呼んでいたのですが、ある時これは、凄い学びの場で、サービスという視点で考えると、もしかすると建築業界よりも先を行っているのではと思うようになりました。

建築業界に比べ、資格等の障壁が低いがゆえに、そこでは、日々、色々なアイデアが実行され、生き残りのために皆が日々オリジナルなアイデアを出しているのだなという事に気付いたのです。

建築家の行う建築設計という行為ですが、一般的にデザイン・モノづくりといった視点で語られがちですが、これを「サービス」という視点で捉えなおしてみる。大きな視点で見れば、設計行為は「クラインアントの希望を形にするサービス」をしていると言えると思います。また、細かく見ていくと、設計や打合せの現場というのは、クライアントへの小さなサービスの積み重ねと言えるとも思います。(クライアントの意向に沿った建材を探し出したり、仕上げを考慮する事はまさにサービスですよね。)

その視点で見ていくと、実は、飲食店などの他業種のサービスと、建築家の行う設計という行為が、分断されたものではなく、地続きのものに見えてくるのではないでしょうか。

その視点でみていくと、飲食業界等の「参入障壁が低い」業界で行われているアイデアやサービスは、我々の先を行く学びの場であると言えるとも思えます。

私はこの事に気づいて以来、色々なお店のシステムやサービスのあり方が非常に興味深く思え、直接的ではないにしろ、自身の仕事にフィードバックできる学びの機会だと思えるようになりました。

例えば、スターバックスコーヒーなどは、一杯400円以上して、牛丼の価格などと比べると、一見すると割高だとも言えると思います。しかし、多くの人が日々お店を訪れて、コーヒーを飲んでいく。ここには、コーヒーに価値を感じてもらう巧みなブランド戦略が潜んでいたり、お店のデザインや、マークなど全てが、他の店舗との差別化のために使用されている事がわかります。

スタバだけ見ても、どのように我々が振舞えば良いのかという、大きな学びの場とも言えるわけです。

是非、皆さんも「参入障壁の低い」と言われている業界に注目してみてください。そこは大いなる学びの場であり、実践的なアイデアの宝庫でもあると思います。


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