穴あきパンツと夫の背中

お世話になっている産婦人科の先生とこの前話していて、「旦那さん、よくやってくれていますか?」と聞かれた。「いやもうすごいですよ。なんでもやってくれますよ。彼ありきで子育てが回ってます。」なーんの変哲もない、普通のやりとり。ただよく考えると、このやりとりすらやっぱちょっと変なんだよね。「良いお父さんしてるらしいじゃないですかー!」と言われた夫も心なしかキョトンとしていた。たしかに、私も「良いお母さんしてるらしいじゃないですかー!」って言われたら、「しないと思ってたのか?」と嚙みつきそう(笑)

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先日、それぞれ単身でNYに来て(もしくはどちらかはこっち育ちで)、こっちで出会い恋をして結婚した日本人夫婦3組で週末お好み焼きパーティをしながら語らった結果、不思議な共通点を見つけた。

① 妻は細め、夫は太め(笑)
② 妻「わがままは言うもの」、夫「わがままは聞くもの」
③ 妻は酒が好き、夫は料理が好き
④ 妻は物を減らしたい、夫は物を捨てたくない
⑤ 夫は妻の癒し、妻は夫のエンターテイメント

途中までは、なぜ夫たちは破れたパンツを捨てないか、について公開処刑のようになっていたお好み焼き会も(ちなみに我が家の夫の言い分は、「布がまだたくさん残っているから」)、途中から「でもこの人たちに共通することって『優しい』んだよね。パンツのことも見捨てられないのかな。」となぜか好転しはじめ、結果、酔った妻のトンデモ行動を暴露する夫の逆襲により、ひとしきり笑ったのち妻たちはそれぞれの夫に深い感謝の意を新たにしたのでした。

いろんな夫婦がいるけれど、総じて夫婦仲って、妻が夫を信頼できていて、夫が妻を面白がっている夫婦の場合、すごく安定しているように感じる。お好み焼きパーティでトンデモ行動を暴露されてたその女子は、まあとにかく自分に正直で裏表がなくて表現豊か、想像の斜め上をいく発言が飛び出すかと思えば、官公庁の人ですか?と言いたくなるような礼儀正しい常識人な側面も持ち合わせていたりする。彼女の話は、彼女の旦那さんの口から語られると面白さが倍増して、こっちは一緒に飲んでしゃべっていると腹筋が崩壊する。この夫婦はまさに、旦那さんにとって彼女は見ていて飽きない、面白くてかわいくて愛おしくてしょうがない存在なんだろうなあと思った。そして彼女は旦那さんに全面の信頼を置いて心置きなく自分のままで生きている(ように私たちには見える)。まるでおんぶされた背中でグースカ寝ている赤子のように。
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最初の話に戻るが、「旦那さん、よくやってくれていますか?」に対し、私は「彼ありきで子育てが回っています。」と答えた。その昔「結婚と出産は別。結婚したいと思える人と出会わないなら、ひとりで子供を産むことも考える。私は一人でだって育てられる。」と豪語していた私が、かくもあっさりと「夫がいないと無理」と口にしてしまった。私も変わったなあ~と思った。たぶん私も、夫の背中でグースカ寝ているのだ。大丈夫、この背中はなくならないし、温かいまま、きっと素敵な場所に連れて行ってくれる。だからちょっと寝ておこう。そんなことが思えるようになるとは思わなかった。

娘よ、君のパパはすごいね。パパ大好きだね。パパにおむつ変えてもらおうね。パパにご飯もらおうね。そうそう、パパ、パパ。(笑)

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