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【日記】生活とたべもの

3月5日

20歳にして初めてお吸い物をつくる。
アラ汁はよくつくるのだけど、「お吸い物」にはすごくハードルを感じる。繊細でありながら奥深いはずの汁物料理。インスタントしか作ったことがないわたしはかなり緊張していた。

理想的なお吸い物ってなんなんだ?
料理イベント会場近くのスーパーに入る。
しばらくミツバが見つからなかったけど店員さんにきくのが恥ずかしかった。

キッチンに帰ってきたわたしは、何もわからず昆布をただ煮込んでいた。香りだけ完璧。ふとお吸い物とすまし汁の違いが気になったので調べる。明日にはきっと忘れているようなことこそ教養っぽい。

理想のお吸い物はラーメンのスープみたいに後をひく味付けではないはずなので、できるだけ目立たない味を目指す作業に徹する。

麩を入れるタイミングが分からん。いつまで昆布を煮たらいいのか分からん。みんなでちらし寿司を作る会なのにこんなにもお吸い物に対して本気を出しているのか分からん。

蒲鉾をつまみ食いながら鍋に入れる。
立つのに疲れて火を止めた。

お吸い物を紙コップに注いで、みんなの席の前にこっそりおきにいく。
反応は「美味しい!美味しい!」ではなかったけれど、「誰これ作ったの、天才じゃん、、」って言ってもらえていてキッチンでニヤニヤしてしまった。
今日のメインはちらし寿司。お吸い物はスーパーサブ。

お吸い物を作っている時、わたしはお吸い物みたいな人にはなれないなと思っていた。
1番を目指さず、誰かのサポートに徹底する裏方みたいな存在。サポート自体を楽しめる人って周りに結構居る気がする。
私もいつか楽しみながら誰かを応援できるようになれたら良いな。

磁石付いたらIH対応

3月6日

起き抜け、バイト前にファミマコーヒー。
こんなに美味しかったのか、と知らなかったことを反省。

フタの下唇が付く部分に突起があってゴワゴワしているところがすごく良い。コーヒーの味だけでなく「飲む体験」まで考えてくれている感。視座高いコーヒー。開発者の誰かのこだわりが、ちゃんと私たちのささやかな喜びになることって素敵だと思う。デザインした人はちゃんと会社で褒められていて欲しい。

やらないといけないことが進まないことに嫌気がさして、さらに動けなくなる自分に呆れる。

先月シモキタ(言ってみたかった)の日記屋さんで買った『おだやかに生きたい』を読みながらバイト先のでっかいコミュニティキッチンへ。
ずっと平らな曇り空みたいな日記。みこさんの痛々しいほどの感性が妬ましい。書き続けてくれてありがとうという気持ちになった。

今日も京都ではたらく。
お金がないことが不思議になり、お小遣い帳アプリをダウンロードした。


3月8日

知り合いから、朝活zoomのお誘いをもらった。

「わたしはパン屋バイト5年目の朝活プロやぞ!」って言っときながら7:00に起きれず。情けないし、ギャグとしても面白くない。

自分の共感できないことに対して一定の熱量を持つ人を「意識高い」と無意識に分別することをやめたい。みんな違うものにモチベーションがあることなんてわかっているはずなのに。

二度寝してから起きた。昨日の残りのサンマと肉うどん。
ラジオ「知らねえ単語」をききながら食べる。内容も声質もスラスラ流れるような感じ。すごくちょうどいいって感じ。
りんちゃんが「投稿数上げたい、もっと話したいから」って言ってたのが良かった。

油断してるとサンマの骨が舌に突き刺さった。
おまえは死してなお人に影響を与える存在なのか。

そういえば、インターン先でもポッドキャストを始めることになった。
「プライベートでもラジオやりたくて、昨日実は録ったんです」ってミーティングで話したら、「早ようきかせてくれ」と言ってもらえて嬉しかった。恥ずかしいので「無理です、今は」と断ってしまった。


3月11日

「マタノ生き急いでるよね、私もそうだったけど」

なんか嬉しい気もする。よくわからない。

ここ最近どんなに面白い文章を読んでも、何度も見直すほど好きだった動画を見ても熱中できない。何をしていてもボーっとしているかんじ。時間が経つのがすごく早い。

先月から積読していた『日本のまちで屋台が踊る』をちびちび読み進める。
透明なビニールの装丁がすごく綺麗。屋台を引く人は、雨に濡れる。

ひさしぶりに地元のマクドナルドへ。
最近、衝動的にポテトが食べたくなることが多い。野菜なのでセーフセーフ。

横に座っていたキッズが、「伊藤健太郎に似てるって言われませんか?」っておそるおそる声をかけてきた。誰かに似ていること=顔面偏差値が近しいではないと思うけど嬉しかった。がきんちょ!見る目あるぞ!笑

この前までマクドに集まって一緒にモンハンをしたりウイイレをしていた友達が、歌手になったり美容師になったりしているのを見て焦る。自分なりの目標や喜びを明確に持っていることが羨ましい。
みんなではなく、わたしにしか見えないものってなんなんだろう。

あったかくなってきたと思いきや、今週すごく寒い。
今更、のそのそ掘りごたつの準備をした。
すごく眠いのに眠れない。


3月12日

余裕を持って生きるためには、2段階の余裕が必要だと思う。
平常時に限界が来た時のための余白と、それが埋まった時にも対応するための余白。例えるなら人生にはサブバッテリーとモバ充が要るってこと。でもそれを買うお金がないんですよね。

夜はレンタルキッチンのバイト。
鰯のおろし方を教えてもらって、黙々と作業していた。
「股野、エプロン似合うね」とか「めちゃ綺麗におろせてるじゃん」って言ってもらって調子に乗る。
先輩スタッフにも褒めてもらえるかなと自慢げに見せたら、「全然ダメ!」って言われた。
悔しかったけど、そらそうだよなって落ち込みはしなかった。

その後はおつかいに行ったり、洗い物をしたり。

帰る直前、「マタノ、さっきは強く言ってごめんよ」と先輩に呼び止められた。
「お客さんにお金を払って食べてもらう以上、味だけではなくて、美味しそうな環境で料理しているのかも大切なんだよ」と教えてもらった。

そういえばわたしのまな板はイワシの臓物で真っ赤だった。
いつも先輩には教えてもらってばかりだ。

muqueを聴きながら帰宅。腹の中にスッと入ってくるような音。

花粉症なのか風邪なのかが分からん。

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