滝沢さんの活躍に時々死んだ父が重なった

平成26年12月28日父は他界した。死因は急性心筋梗塞。享年57才。早すぎる死だったと思う。

そして令和5年4月30日、私はとある二人のファンになった。マシンガンズだ。

この間約9年である。

マシンガンズ自体はエンタの神様、レッドカーペットでネタを見たことがある。マクメンこと「MAXめんどくせぇ!」もリアタイしていた世代だ。しっかりと記憶に残っている。
なんならレッドカーペットのネタ終了後にセットに流されながらキレる姿をしたお二人も印象に残っている。何かとキレてる二人という感覚は私にもあった。

ここまでだったら私の父とマシンガンズの話に繋がりはないように思えるかもしれない。
だがマシンガンズの滝沢さんはある日、私の父と同じ職業に就いた。それがゴミ収集だ。

私は何かの番組で作業服姿の滝沢さんを見たとき、「あれっお笑いは…?」と複雑な感情になった。しかしゴミ収集の仕事をしていると話を聞き、「父と同じ職業の人だ」という意味でもなんか好きになっていた。
でも今ほど爆裂にハマったとかではなかった。なんか気になるという程度だ。

父は自分の仕事についてあまり多く語る人ではなかった。お世辞にも仕事ができる方ではなかったからなのかもしれない。
家に帰れば作業着は臭いし汚いし、触るのもなんか嫌という感覚だった。
でもいうほど親が嫌いとかではなかった。だからもしかすれば親に仕事のことを聞こうと思えば聞ける機会はたくさんあったのかもれない。
けれどそこまで深く聞いたのは小学生時代とかの「将来のことを考えよう!」みたいな宿題が出たときぐらいしかなかった。

だから父がどこまで大変だったのか、嫌なゴミに出会ったのかはよくはわからない。一言二言は語った記憶あるのだ。それこそ滝沢さんのツイート内容と被るときもあった。
ゴミ収集車の近くは生ゴミものだと冗談抜きできつい。臭いとかではない。きつい。
そんな中で働いているのだ。本来ならばよくやるよね、という仕事内容かもしれない。でも、当時の自分はそんなこともあまり深く考えていなかった。

でも、父は死んだ。突然死んだ。
仕事終わりに親子でテレビを見ていたのが救いだったかもしれない。ただ、あのときはテレビに注目していた。だから振り返ったら心臓発作真っ只中に入っていた。

そこからは本当に暗すぎる話になるので割愛するが、あの時期はちょうど「後妻業」というワードが話題を呼ぶ頃だった。だから検視など色々と厄介な目を喰らった。

あれから約9年、私は父と同じ職業の人を好きになった。しかもその人はアイドルとしてビジュ爆だと話題になっていた。
これだけだったらなんのことかという話だが、これが本当の話なのだから現実は面白い。
とはいえその方の本業はお笑いだ。そのお笑いで、漫才きっかけで一躍大人気となったのだからやはりかっこよく見えてしまった。

その男がマシンガンズ滝沢である。以降は滝沢さんと呼ばせていただく。

滝沢さんはTHE SECONDをきっかけに副業までもが再話題になった。更には「#滝沢の推し活はごみ分別」とのタグもでき、彼のファンとしてごみやリサイクルについても考えよう!という流れができた。
改めて考えるとすごいことである。

しかし、私はついつい父の事が頭を過るようになった。
そして今更ながら父の頑張りを滝沢さんのツイートなどを期に知ることとなる。遅すぎるタイミングだ。

滝沢さんはごみ収集業に驚くほど楽しさを見いだしていた。同業者の娘としては考えられないレベルだ。
だが滝沢さんは楽しんでいた。THE SECONDフィーバーが落ち着いたとしても週一で副業をやろうとしている。
それ以前に講演会などに出まくってもいる。
やっぱりあの父の娘としては衝撃的な程だ。よくやるわ、と思わされてしまう。

父はあの仕事を楽しんでいたのだろうか。よくわからない。ただ、父の墓はその職場の近くにある。
楽しんでたのならまだいい。違うのなら申し訳ない。

滝沢さんは相変わらずごみ関連のツイートを続けている。かと思えばインスタのストーリーで遊びだしてもいる。
これがどちらも一人の男なのだから恐ろしい。更には漫才のキレキレ姿もあるのだから尚更だ。

突然だが、東京では7月の半ばがお盆に入るらしい。以前新盆だからと、8月頭辺りに浅草で盆提灯を買ったら驚かれた。今買うの!?という空気を見せられた。
そのお陰で安く買えたからまだいいものの、地域によっては東京寄りの盆にしている人がいる。だから仏花がまぁまぁ売れている。

私も買った。本格的にお盆準備をするわけではないが、一応仕事帰りに仏壇用の花を買った。
花を持って帰る途中、私はマシンガンズのパブサをしていた。そしてパブサをした結果、
「そういえば自分のおとん(お父さん)も滝沢さんと同じごみ収集業だったな」
と思い返した。

故人のことを思い出すのはいいことらしいとはよく聞く。
普段リビングに仏壇を置いているので思い出していないこともないが、マシンガンズきっかけに割りと思い出す回数が増えるようになった。
ただし娘だからこそ言ってしまうが、本来父という存在は疎ましく思われかねないものだ。だから思い出したところで案外いい意味ではなかったりする。

ただ、マシンガンズのお陰で今はある程度変わった。
仕事をしている父の姿が頭に過ったりもするのだ。
小学校に遅刻しそうだからと父の収集車に乗ってちゃっかりと難を逃れたり、
どこかで父の仕事姿をみて勝手に照れたことも思い出した。
でもこれらは全て小学生時代だ。
次第に父の仕事に興味はなくなっていったのだから。

でも今は違う。多少なりとも父の職業に興味を持つようになった。
それも全てマシンガンズがあの大会で大活躍をし、ビジュ爆し、ご本人だけでなくファンの方までもがゴミの分別やごみ収集の仕事について話題にしていってくれたからだ。

だからこそ最後は他界した父の代わりにこれだけは、ここだけは敬語で言わせてください。

マシンガンズさん、THE SECONDで大活躍してくれてありがとうございます。
そして滝沢さん、これをきっかけに仕事のことを沢山お話ししてくれてありがとうございます。
奥様の描いた漫画も含めてみてます。父の仕事を今更ながら学べてます。

更にはファンの皆様、ごみ分別やごみ収集業に興味をもってくれてありがとうございます。
父の仕事仲間ももしかすればあなた方に助けられているかもしれません。更にはその先の焼却場などで助かってる方がいるかもしれません。

私は、あなた方のお陰で父の仕事の重大さがわかりました。社会にどれだけ必須かわかりました。

そしてお父さん、今更ながらでごめんなさい。 
今泣きそうになりながら書いてる親不孝な娘でごめんなさい。

だからこそ最後には感謝を伝えようと思います。
お父さん、ごみ収集業にも就いてくれてありがとうございます。お陰で他の方たちよりは少しだけごみ収集に苦労している人たちの気持ちがわかるようになりました。

当時の父は好きだったかと言われると微妙です。でも嫌いではなかったです。
だからこそ滝沢さんがやっている副業についても好きになれたのかな。

お父さん、ありがとう。
また8月のお盆前になったらちゃんと準備するね
ちゃんと忘れないようにするから!

……ちょっとギリギリになっちゃうかもしれないけど(苦笑)



(皆様、ここまで暗い話を読んでいただきありがとうございました)

以下5月26日時点でのツイートより