リーマンショックのすぐ後から買い始めて16年近く保有を続けたインデックスファンドを全て解約し「厳選投資」型のポートフォリオへの移し替えを考え始めています

株式投資、投資信託を活用した資産形成を始めて21年になろうとしています。

これまでの過程で最もお世話になっているファンドの一つについて書いてみます。

そのファンドの最初の取得時からの経過を振り返ってみます。


2008年10月から現在まで、その成果とは?

過去の取引履歴を調べてみたところ、最初の買付は2008年10月16日でした。リーマンショックから1ヶ月経ったところですね。その日のファンドの基準価額は5,659円(一万口当たり)でした。その日以来、2017年1月24日まで分配金の再投資含めて合計131回の取引がありました。全て取得で解約は一度もありません

2017年1月25日以降、追加取得は一度も行っていません。しかし、依然として1口も解約することなく保有し続けています。これまでの経過をグラフにしてみました。

オレンジに塗られた面積。時間は与えているものの追加取得していないので累積投資額は2017年1月25日以降、全く増えていません。

2017年1月24日までの131回の取引経過をグラフにしたのがこちらです。

2017年1月24日の取得単価は7,340円(一万口当たり)。この時点での評価損益率(:時価➗取得単価 - 1) は +97%。この頃の時価は累積投資額の約2倍となっていました。

2017年1月末時点、僕のポートフォリオの時価のうち、このファンドの占める割合は30.9%でした。

では、2017年1月末以降、評価損益率がどう推移したのかを月末基準で毎月の推移を見たのがこのグラフです。

2017年1月末以降、ファンドは分配金を払い出すことは一度も無かったため、取得単価は7,340円のまま変動はありません。

2024年3月末、このファンドの基準価額は42,390円まで上昇。評価損益率は+477%、投資元本の5.77倍に達しました。

2017年1月末の基準価額は14,633円でしたから、ここを起点にした評価損益率は+190%ですのでこの7年2ヶ月で時価は2.9倍になりました。

保有口数の推移はこんな感じです。

一番最初の買付で取得した口数を1として指数化してみました。2017年1月24日までに取得した総口数は196。上述の通り1口も解約していないので、現在最初に取得した口数の196倍の口数を保有しています。

僕自身のポートフォリオに占める割合ですが、このファンドが依然として3割を占めています。

ポートフォリオ全体でのこのファンドの貢献

ポートフォリオ全体でのこのファンドの貢献をもう少し詳しく見てみましょう。

このファンドの追加取得を止めた2017年1月。その月末までのポートフォリオ全体の軌跡を示したのがこのグラフです。

2017年1月末の全体の時価は 1,651

ポートフォリオ全体の2017年1月末の時価は1,651でした。このタイミングでのこのファンドの時価は510でした。

2024年3月末までグラフを伸ばしてみます。

ポートフォリオ全体の2024年3月末の時価は4,911でした。このタイミングでのこのファンドの時価は1,478です。

この2つの時点の間に時価は 3,260 増加しました。このうち968がこのファンドです。追加取得はゼロ。ただ保有しているだけで増加分の3割近くの貢献をしてくれたのです。

あらためて振り返ってみて、これまで僕の資産形成に非常に大きく貢献してくれたことを認識しました。感謝しなければなりません。

でも、このファンドとはお別れしたい。徐々に解約を進めていずれはポジションをゼロにしたいと考えています。

お別れしたい理由。現金化したいニーズがあるわけではありません。別のアセットクラスに移してポートフォリオ全体のリスクを抑えたいわけでもありません。解約して得た現金は別の株式、投資信託の取得に充てる予定です。

このファンドのポートフォリオを保有し続けるのは、もうそろそろ終わりにしたい。それがお別れしたい最大の理由です。

このファンドポートフォリオ、保有資産

このファンドのポートフォリオ、保有資産は2023年11月時点で株式が1,210銘柄、投資信託受益証券、投資証券が60銘柄で構成されていました。

合計で1,270銘柄です。多い、多過ぎます。

保有している資産の一部です。

名前を見ても中身がさっぱり知らない、わからない銘柄がズラッと並んでいます。

1,270銘柄のうち、その証券を発行している会社の名前と事業のイメージが湧く会社もいくつかあるのは確かです。しかしながら、大多数は、名前をなんとなく聞いたことがあるけど事業はわからない、名前も聞いたことがない、そんな会社です。

このファンドの投資先の会社に、その事業に、自分のお金を通じて関わっています。1,270もの事業体に。でも、事業に関わっている、参画している意識を持つのが極めて難しい、はっきり言いましょう、無理です。

このファンドに投資することで得られるリターン、成果の源泉は何でしょうか。

ファンドが保有している資産の発行体、それらの会社等が持続的に社会に価値を提供し続ける。それが業績、財務に反映される。それを株式市場が評価する。

このプロセスがリターン、成果をもたらします。

それなのに、投資を通じて関係している会社を、事業を、まったく知らない、わからないのです。ざっと眺めてみるだけでも多くの時間が必要でしょうし、眺めたところで記憶に残るのはごくごく一部でしょう。

自分の保有している資産がどんな価値を実現、提供しているかを、ざっくりと「メンテナンス」することすら、ほぼ不可能です。投資先企業の事業への参画感覚、当事者意識を持つことはまずあり得ないでしょう。

そもそも、なぜこのファンドは1,270銘柄も保有しているのでしょうか。このファンドはこれだけの数の銘柄を保有しなければならない理由があるからです。

このファンドは、MSCIコクサイ・インデックス(配当込、円換算ベース)に連動することを目指すことを投資家に約束しています。この数値に連動するためには、これだけの種類の資産を保有しなければならないのです。

次に考えたいのは、MSCIコクサイ・インデックス(配当込、円換算ベース)に連動するリターン、成果ってどうなの?本当に魅力的なのか?です。

MSCIコクサイ・インデックスのパフォーマンスってどうなの?

MSCIコクサイ・インデックスへの連動を目指すファンドの中に、

ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン

があります。1998年12月の設定です。

このファンドのウエルスアドバイザーさんで提供されているデータを元に、ローリングリターンを確認してみました。ローリングリターンについては こちら をご覧ください。

ローリングリターン

ローリングリターン 1年

1年で見ると、マイナスのリターンが数ヶ月連続した時期があったことがわかります。

2000年2月末〜2001年2月末 から 2002年6月末〜2003年6月末 までの29期間のうち 1期間:2001年3月末〜2002年3月末 を除いてマイナスリターンでした。

29期間ですから、2年以上です。ITバブルが弾けたその後、ですね。

最も大きなマイナスは2002年2月末〜2003年2月末の ▲32.9%でした。

続いて、マイナスリターンが長く続いたのは、2007年1月末〜2008年1月末から 2008年9月末〜2009年9月末 まで 21期間連続でマイナスリターンとなりました。21期間連続ですから1年9ヶ月です。

この中での最も大きなマイナスは 2007年12月末〜2008年12月末 の▲55.3%、リーマンショック、金融危機の真っ只中でした。これがデータのある期間で最も大きなマイナスとなった期間です。

2007年12月末に保有の資産は1年後、半分以下になったということです。

次にマイナス期間が連続したのは、2010年9月末〜2011年9月末から2011年7月末〜2012年7月末までの期間です。11期間。2010年9月末ー2011年9月末に▲11.6%となった直後の2010年10月末〜2011年10月末は+0.5%とプラスに転じましたが、次の期間から9期間連続でマイナスとなりました。

2011年9月の株価下落は欧州債務問題が影響していたようです(記憶に残ってません)。

この次にマイナスリターンが連続したのは、2014年12月末〜2015年12月末から 2015年11月末〜2016年11月末 まで12期間です。期間中の2015年6月末〜2016年6月末の▲19.4%、マイナス幅が最も大きくなりました。

BREXITですね。

実は、この期間以降、3期間連続でマイナスになった期間がありません。

コロナショックのあった2019年3月末〜2020年3月末 は▲11.9%でした(月末基準で見ればコロナショックの期間もこの程度の下げだったのです)。次の期間もマイナスになりましたが、2019年5月末〜2020年5月末にはプラスに転換していました。

2015年12月末〜2016年12月末 から 2023年3月末〜2024年3月末 まで88期間ありますが、マイナスリターンとなった期間数は9期間しかありません。

8年以上ずっと上げ基調だったことになります。2015年12月末を起点にすると、2024年3月末には+186%となっています。年率換算すると13.6%になります。

ローリングリターン 1年をまとめると、こうなります。

2015年11月末〜2016年11月末の205期間のうち マイナス期間が79ありました。出現率は38%。この出現率を2015年12月末〜2016年12月末以降で8ポイントも引き下げました。

1年リターンの平均値でも顕著な差が出ます。上記205期間では5.5%ですが、2015年12月末〜2016年12月末以降の88期間では15.2%となります。

ローリングリターン 5年を見てみましょう。

ローリングリターン 5年

マイナスリターンが続く「谷」に見えるのは2箇所。

1998年11月末〜2003年11月末 から 2000年9月末〜2005年9月末 まで23期間連続でマイナスとなっていました。期間中のマイナス幅が最も大きかったのが1999年6月末〜2004年6月末の▲22.4%でした。

次のマイナスリターンの「谷」がやってきたのは2003年10月末〜2008年10月末。リーマンショックですね。

以降、2008年2月末〜2013年2月末までの53期間のうち、2005年4月末〜2010年4月末の1期間(+3.2%)を除いた52期間でマイナスリターンとなりました。

この「谷」が終わった2008年3月末〜2013年3月末以降、133期間連続でプラスリターンが続いています。コロナショックのあった2015年3月末〜2020年3月末も+3.4%とプラスをキープしていました。133期間連続ということは、11年ということになります。

1年リターンで最も大きなマイナス(▲55.3%)2007年12月末−2018年12月末。この2007年12月末を起点とした期間を5年にすると▲29.5%まで回復していました。

5年のデータをまとめたのがこちらです。

マイナス期間の出現率は31%ですが、この10年以上マイナスは出現していません。

ローリングリターン 10年です。

ローリングリターン 10年

マイナスリターンの「谷」は一つだけですね。

1998年11月末〜2008年11月末 から 2002年5月末〜2012年5月末 まで43期間連続でマイナスとなっていました。しかし、これ以降マイナス期間は出現していません。

10年保有で最もマイナス幅が大きかったのが1999年2月末〜2009年2月末の▲42.8% でした。10年保有していたのに、4割以上毀損したのです。

一方、1年リターンで過去最悪だった2007年12月末を起点とした場合も10年経つと+55.8%とプラスに転じています。

10年保有するとプラスリターンという状態が142期間続いています。12年近くということになります。しかし、10年保有していてもマイナスとなった期間がそれなりの数存在していたことは記憶に留めておきたいところです。

ローリングリターン 15年になると、マイナスリターンの「谷」が無くなります。

ローリングリターン 15年

上のグラフ、足元で急激に上昇していますが、これはリーマンショック、金融危機の頃を起点にした期間です。2009年2月末〜2024年2月末は +763%。当時取得した資産が8倍以上になっています。

ローリングリターンを眺めてきましたが、1年、5年の様子から上げ基調が長く続きすぎているのではないか、という感触を個人的に持っています。風船が膨らんでいるような感じです。

言い換えると、風船が破裂する可能性の高まりです。

このリターンの基になっているのがMSCIコクサイ・インデックスは本当に魅力があるのだろうか、と考えると、疑問符がたくさん、日に日に増えていくような感覚を持ち始めています。

そう考えると、MSCIコクサイ・インデックスに連動するためのポートフォリオのポジションをなるべく早く小さくしたい、という考えが強くなっていくのです。

バリュエーションはどうか

https://www.ssga.com/library-content/products/factsheets/mf/apac/jp/111001-state-street-foreign-equity-index-open-20240329.pdf

2024年3月末の上位10銘柄

ポートフォリオのバリュエーションを眺めてみます。注目するのは P/E です。利益の何年分で株価が付けられているか、に注目します。

2024年5月2日のスクショ

PERは30倍近くとなっています。向こう1年の利益、予想EPS(1株当たり利益)の30年分で株式市場が評価しているわけです。

続いて

こちらも26年分の利益で株価が付けられています。

次、いってみましょう。

予想EPSを基にすると35年分ですが、実績のEPSだと70年分の利益という評価のようです。

Amazonも50年分の利益で株価が付いています。

こちらは少し穏やかな数値に見えますね。

次はなかなかぶっ飛んでます。

予想EPSで58年分、実績EPSなら111年分の株価が付けられています。

こちらも実績EPSでは46年分。それが予想EPSでは26年分となっています。予想EPSが大きく増加のシナリオなんですね。

EPSの11年分。この数字がとても穏やかに見えます。

マグニフィセント7 と呼ばれる会社の株式市場での評価を見ると、かなり買われているように感じられます。

実績の利益の100年分以上の株価を付けられている会社も、このインデックスに含まれている限り、市場が付けた価格でポートフォリオに組み入れ続けなければなりません。

このマガジン で週次で主だったETFのPERの数値をトレースしています。

毎月最終週の数値の推移を見たグラフです。

MSCIコクサイ・インデックスではありませんが、S&P500、MSCIオールカントリーワールドに連動を目指すETFのPERの推移です。

2022年末にかけて下がっていきましたが、またじわじわ数値が大きくなっているのが見て取れます。こんなところからも風船が膨らんでいるように見えます。

MSCIコクサイ・インデックスに連動するリターンを得るには、それを構成する会社の株式を株式市場が付けた価格の割合で保有する必要があります。上記に挙げた会社の株価が高過ぎるかどうか、はお構いなしです。

上記で挙げた会社の株式市場が付けている評価の理由は想像できる面もあるかもしれません。しかし、このファンドには1,000を大きく超える銘柄が含まれています。そのそれぞれの業績やその予想、それに付けられた株式市場の評価に注意を向けることはまず無理でしょう。

それが「分散投資」だ。以前の僕はそう割り切っていました。

しかし、非常に少ないウエイトとはいえ、過剰とさえ思える評価になっている、名前も事業の内容も全く知らない非常にたくさんの会社の株式を保有することへの違和感が強くなっています。

いや、違いますね。名前も事業の内容も知らない会社、その個々の株価が高いとか安いとか、何年分の利益で評価されているのか、過剰な評価なのかどうかすらまったく分かっていないのです。

MSCIコクサイ・インデックスへん連動を目指すポートフォリオを保有し続けることへの疑問符はさらに多くなっていきます。

投資先の業績はどうか

MSCIコクサイ・インデックスに連動するETFがiSharesシリーズにあります。

このページにはポートフォリオの特性のデータがあります。

PER は21.77となっています。

2024年5月2日のTOK の 1口当たりのNAVは $ 104.22。

PER 21.77 で割ると1口当たり利益 EPSが計算できます。

EPS は 104.22 ➗ 21.77 =  $ 4.78 となります。

TOKのPER、2019年5月2日の数字を持っていました。PERは 18.16です。

2019年5月2日の NAVは $ 67.90

EPSは 67.90 ➗ 18.16 = $ 3.74。

5年 で EPSは 4.78 ➗ 3.74 = 1.2780

5年で+27.80%の伸びとなっています。年率換算で +5.07% ということになります。

https://www.wealthadvisor.co.jp/FundData/SnapShot.do?fnc=1998120128

  MSCIコクサイ・インデックスに連動する日本籍のファンドは5年で年率18.89%(2019年3月末〜2024年3月末)。5年で2.37倍になっています。

ドルではEPSが年率 5%強の伸び、PERは 21.77 ➗ 18.66 = 1.198、年率では3.69%の伸び。この2つの要素では9%弱しか説明できません。

残りは何でしょうか。為替です。年換算で9% 円安が進行した結果がこの数値になっています。

企業業績のパフォーマンスへの寄与度よりも、為替の影響が格段に大きくなっていることが分かります。

調べられないけれど気になること

インデックスを構成する銘柄の出来高。そのうちどのくらいの割合がインデックスファンドによるものなのか。気になりませんか。

というのも、ベンチマークを構成するウエイト下位の銘柄になればなるほど、その株価を決めているのがインデックスファンドになっている可能性が高いと想像されるからです。

たとえば、こんな会社の株式が構成銘柄に含まれています。

https://finance.yahoo.com/quote/CLVT

こうした銘柄の出来高ってどれくらいがインデックスファンドに支えられているのか、と疑問に思います。

「分散投資」って、そもそも何のためでしたっけ?

僕の考える分散投資の効用。それは値動きが違う資産を組み合わせて期待リターンをなるべく維持しつつリスクを抑える。こう理解しています。

外部環境の変化で想定よりもプラスになる会社の株式と一緒に、その変化でマイナスの影響を受ける会社の株式を持つ。これで分散効果を得られる。

ただ、この前提は外部環境や見通しの変化で投資家の投資行動が変化することを前提にしています。

ところが、です。

インデックスファンドの投資行動には、上記の前提がありません。株価を参照して買付量を決めているはずですが、上記のような投資行動をしている投資家が少ない場合、インデックスファンドへの資金が流入すればするほど、買い上がるばかりになっていくものと推測します。

逆にインデックスファンドから資金が引き揚げられると、、、どうなるのでしょうね。何が起きるか、自分で考えておきたい問いです。

なぜその評価になっているのか、名前も事業の内容も全く知らない非常にたくさんの会社の株式を保有する「分散投資」

「ファンドの保有する投資先の多寡」「ファンドの個々の投資先への関わり、エンゲージメント」という二つの軸で考えてみるとインデックスファンドはこの位置になると思います。

名前も事業の内容も、市場の評価もよくわかっていない数千の会社で構成されたポートフォリオ。株価の大きな調整があった際、20%、30%下落した際、このポートフォリオを保有している投資家はそこでどんな行動を取るでしょうか。

上述の通り、この数年、この種の事態は起きておらず「風船が膨らんだ」状態です。その風船が破裂したら何が起きるでしょうか。

解約に走る投資家が多数出現する可能性も十分にあり得ます。

MSCIコクサイ・インデックスに連動を目指すポートフォリオ、インデックスファンドを16年近く保有し続けてきた結果、僕自身の資産形成に多大な貢献を果たしてくれました。しかし、以上のような理由からなるべく早くそのウエイトをゼロにしたいと考えています。

MSCIコクサイ・インデックスに連動するパフォーマンスを得るために、名前も事業の内容も知らない、その個々の株価が高いとか安いとか、何年分の利益で評価されているのか、過剰な評価なのかどうかすらまったく分かっていない会社の株式を数千銘柄保有することは止めたい、ってことです。

もっと限られた数の投資先で、せめて名前を知っていて事業の内容、業績の動向もざっくりとイメージできる会社の株式で構成されたポートフォリオにシフトしたい、そう強く考えています。

誤解しないでください。インデックスファンドがダメ、ということを主張したいわけではありません。自分の資産として何を保有しているのか、自分の投資の成果をもたらす源泉は何か、と自分で考えてみた際、インデックスファンドとは別の、異なる資産を保有したい。そう考えるようになったということです。
大事なことは、自分の保有している資産は一体何か、その資産がどのように成果、リターンを生み出すのか、を自分で考えてみるってことです。


そのポジション変更のオペレーションを実行する上で障害となっているものがあります。

税金、NISA

リーマンショック直後から取得を始めて16年近く保有を続けているこのインデックスファンドは証券会社の特定口座にあります。ですから、解約するとキャピタルゲインに20.315%の税金が課せられます。

先ほど計算してみました。今、全部を解約してしまうと、僕のポートフォリオ全体の時価の5%が税金になります。この税金はいつかは必ず支払うべきものです。ですから、今解約するのも一つの選択肢だとは考えています。

ただ、できれば、NISAを上手く使いたいものです。このファンドを解約して得た現金で取得する資産はNISAで保有したい、ということです。しかし、今年はもうNISAの枠が残らない見通しです。

今解約した現金で取得した資産は特定口座に入れるしかありません。その場合、いつかは課税される運命となってしまいます。

このファンドをどう解約するか、どんなペースでゼロにしていくか、をNISAと絡めているのが実際のところです。

風船は膨らんでいる

ここまで述べてきた通り、MSCIコクサイ・インデックスに連動するポートフォリオの時価には「風船」的なものを感じています。さらに、その中身は、なぜその評価になっているのか、名前も事業の内容も全く知らない非常にたくさんの会社の株式で構成されていますし。

「厳選投資」のポートフォリオに転換したい。これが基本方針です。税金は掛かってしまうけれど株価の調整(風船の破裂)の可能性を考えれば、NISAの枠があろうがなかろうが、解約を少し始めてみる、「厳選投資」ポートフォリオに移動させ始めるのも一つの選択肢かもしれない、そんな考えも頭に浮かんでいます。

ここまで1万字近く書いてきましたが、リーマンショック直後から16年近く保有を続けているファンドの名前を書くのを忘れていました。

このファンドです。

冒頭でご説明の通り、僕の資産形成に大きな貢献を果たしてくれて、そして、今現在もポートフォリオの3割程度を占める存在です。有り難い存在でしたが、これから徐々にその割合を減らしていきたい、最終的にはゼロにしたいと考えています。

投資とはどんな行動、行為か。投資の成果の源は、どこで誰が生み出しているのかを、自分で考え始めて、考え続けた結果の結論です。

ポジションを早くゼロにしたいと考える最大の理由

最後に、最大の理由。それは、自分のポートフォリオを受け継ぐ人に確かなメッセージを刻んでおきたい、というものです。

かつて長い期間、僕は大きな錯覚をしていたと感じています。投資の成果を大きく左右するのは、フィー(コスト)だという錯覚です。投資の成果を決めるのは、何を持っていたか、どんな資産を保有していたか、それ次第だという実に当たり前のことを気づかずにいました。

自分の保有している株式を発行している会社がどんな事業を営んでいるのか、どんな価値を実現しているか、それらに対する関心が著しく乏しい、そんな時間を長く過ごしてしまいました。

インデックスファンドが大半を占めるポートフォリオでは、この資産を受け継いでくれる人(息子たち)は、「投資の成果を決めるのは、何を持っていたか、どんな資産を保有していたか、それ次第だ」を読み取ることができないかもしれない。

フィー(コスト)を最初に見るのではなく、投資を通じて関わっている会社、事業に関心を向ける、そんな株式投資の構え、姿勢を、なるべく早い時期に感じ取ってほしいのです。

それを感じ取ってもらうには、「厳選投資」のポートフォリオ が一番の教材になると信じています。

これが、僕がリーマンショック直後から16年近く保有を続けているファンドをポートフォリオから除きたい、ゼロにしたい、「厳選投資」のポートフォリオに全て置き換えたい最大の理由です。

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